『新解釈・三國志』ネタバレ/豪華キャスト陣によるクセ強ユルユル映画でした

突然ですが、ゆるい映画を観たくなるときってありませんか?
筆者はそういったとき『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』や『明烏』、はたまた海外のコメディ映画なんかをつけたりします。
こういったラインナップに加えたいのが、今回紹介する『新解釈・三國志』!

残念ながら、レビューがあまり高くない作品ではありますが、筆者にいわせてもらえば「理想が高すぎる」という感じです。
このゆるさこそ福田雄一だろうが!

普段はU-NEXTで配信待ちの筆者ですが、久々に映画館まで足を運んだ作品『新解釈・三國志』を、ネタバレ込みでゆる~く語っていきます。



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評価は低め? 監督などなど映画の基本情報まとめ

 

2020年公開 113分
監督:福田雄一
音楽:瀬川英史
脚本:福田雄一

主題歌:福山雅治「革命」

 

脚本、監督ともに福田雄一が務めたことで注目を浴びた本作品。
福田雄一といえば、実写版『銀魂』『今日から俺は!!』や「勇者ヨシヒコ」シリーズでコメディ界でも有名な監督ですね。

筆者も、福田監督のオリジナル最新作として『新解釈・三國志』に注目しました。
俗に「福田組」と呼ばれるキャスト陣で脇が固められ、脚本も福田監督直々に手がけたとあらば、独特のテンポで面白おかしく「三國志」が語られるに違いないと、確信したからです。

筆者としては「まぁ、こんなもんだろうな」という期待通りの内容でしたが…CMなどで煽られたほど抱腹絶倒、大爆笑しなかったのは事実です。
でも、福田作品といえばクスッと笑えるのが定番では…?

『新解釈・三國志』のあらすじ

「三國志って、名前は聞いたことあるけど全然知らないなぁ」なんて人も大丈夫です。
何せ、筆者もミリ知らで観に行きました(「赤壁の戦い」すら聞いたことがあるなぁ、レベルでした)。

言わずと知れた中国の歴史書・三國志。
魏の国を建国した曹操、呉の国を建国した孫権、そして蜀の国を建国した劉備という三人が、それぞれの仲間達とともにわちゃわちゃ…もとい、中華統一を目指して奮闘する様子が描かれています。

福田監督によって「新解釈」された劉備は、超絶にぼやきながら黄巾、董卓、そして曹操と渋々戦う日々を送っていました。
そして物語はついに、三國志の中でも特に有名な「赤壁の戦い」に突入して――。

大まかな流れは三國志と同じらしいですが、端的に紹介すると、福田節が炸裂するキャラクター達が、ぐだぐだ中国の歴史をなぞっていく感じです

 

注意
※以下より、ネタバレを大いに含みますのでご注意ください。

 

登場人物&キャスト紹介

 

本項では、大泉洋演じる劉備など、主要な登場人物たちを簡単に紹介していきます。
※実際の三國志的な人物ではなく、映画『新解釈・三國志』としてのキャラクター紹介をいたしますので、あしからず!

 

劉備(りゅうび)/大泉洋

よく愚痴る人。
戦いには超後ろ向きで、後に蜀(しょく)となる軍のリーダーを嫌々やっている。
酒を飲むと気が大きくなって、人々を導きがち。

孔明(こうめい)/ムロツヨシ

調子のいい人。
まだ隠れた逸材「伏龍」として噂になるほどの軍師…のはず。恐妻家。

関羽(かんう)/橋本さとし

劉備軍の堅物、もとい真面目な人。腕っ節は強い。
劉備と義兄弟の盃を交わしたがゆえに、苦労する次兄ポジション。

張飛(ちょうひ)/高橋努

劉備軍のツッコミ役。腕っ節は強い。
関羽同様劉備と義兄弟の盃を交わし、三男ポジション。少し怒りっぽいところも。

黄夫人(こうふじん)/橋本環奈

孔明の妻。『新解釈・三國志』における孔明の功績は、すべてこの妻が立案したもの。
口が悪い上にかなりおっかない夫人だが、頭の切れは天下一。

趙雲(ちょううん)/岩田剛典

自称劉備軍一のイケメン。
腕っ節は確かなものの、会話の間が長くて鼻につくと、もっぱら評判。

貂蝉(ちょうせん)/渡辺直美、広瀬すず(シークレットキャスト)

独裁者・董卓を討つために差し向けられた刺客。
本来の姿は時代考証的にとても醜い(広瀬すず時)ですが、時代考証的美女(渡辺直美時)に変装しています。

孫権(そんけん)/岡田健史

誰の言うことも聞いちゃう、素直でちょっとおバカな呉の君主。

周瑜(しゅうゆ)/賀来賢人

熱血漢で声が大きい、呉の司令官。孔明のことを一切信用していません。

曹操(そうそう)/小栗旬

戦好きでカリスマ性に優れた、魏のリーダー…らしい。飄々としていて、少しいい加減な性格。
『信長協奏曲』とか『銀魂』が脳裏によぎりがち。

夏侯惇(かこうとん)/阿部慎之助

従兄である曹操に仕える、優秀な武人。魏の国一番の苦労性でもあります。

 

他にも、語り部に西田敏行さん、福田組の山田孝之さんは黄巾役、佐藤二朗さんは冒頭で活躍する暴君・董卓役、人気俳優の城田優さんは董卓の頼れる部下・呂布役で出演されています。
さらに、山本美月さんや矢本悠馬さん、半海一晃さん、磯村勇斗さんなど、右を見ても左を見ても、超豪華キャスト陣で固められており、異常に安定感のある映画となっていました。



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『新解釈・三國志』ネタバレ解説

 

※以下、敬称略で紹介していきます。

福田雄一監督の代弁者的なキャラクター、歴史学者・蘇我宗光(そがむねみつ/演:西田敏行)が、淡々と語っていく『新解釈・三國志』。

笑いあり、成長なし、涙もなしという激ゆる映画のネタバレを、私見込み込みでしていきます。
なお、キャストで注目された作品でもあるので、登場人物紹介の項目にないキャラクターについてはキャラ名(よみがな/演:キャスト名)といった形で記載させていただきました!

それぞれの俳優の味が色濃く出ている作品なので、好きな俳優がいたら、ぜひ観ることをオススメしたいです。

 

【映画の内容・起】劉備、嫌々ながら義勇軍を発足す

 

約1800年前の中国。
そこには乱れた世を憂い、民が平穏に暮らせるように義勇軍を立ち上げた男達がいました。
後の蜀の国の将軍である関羽、張飛、そして初代皇帝となる劉備です。

義勇軍発足のいきさつは、酔った劉備が吐いた大言壮語を、関羽と張飛が本気にしたからでした。
二人に引っ張られる形で、劉備は渋々グダグダなままに義兄弟の契りを交わす羽目になります。桃園の誓いですらなく、まさかの桜の樹の下での誓いに、劉備はぼやきが止まりません。

 

「桃園の誓い」とは?
三國志を元にした小説『三国志演義』などで書かれる、劉備、関羽、張飛による義兄弟の契りを描いた場面のこと。

 

劉備の酒癖の悪さというべきか、良さというべきか。
酔っ払い劉備の人徳の元に集まった義勇軍は、やたら黄金比について語る迷惑な反乱軍・黄巾(こうきん/演:山田孝之)との初陣を、無事勝利で収めました。
なお、黄金比云々は山田孝之のアドリブらしく、掛け合いに役者の技が光ります。
黄巾にかけてるんだろうなぁ…。

続いて、劉備率いる義勇軍の前に立ちはだかったのは、当時の帝を盾にやりたい放題していた、董卓(とうたく/演:佐藤二朗)という男でした。
三國志のトップ悪役ともいえるらしい彼には、呂布(りょふ/演:城田優)なる三國志上、最強の男がついています。

反董卓軍には、のちに敵国となる魏・曹操の姿もありました。
が、戦地に劉備の姿はありません。サボりです。三英傑たる劉備、関羽、張飛は揃い踏みとなりませんでした。
なお、小栗旬演じる曹操は、実写版『銀魂』をイメージするといいでしょう。

無敵と名高い呂布に苦戦を強いられた反董卓軍は、その後寄せ集めだったために解散。
劉備軍では、改めて作戦を練ることにしました。
劉備が思いついたのは、女好きな董卓と呂布に美女をけしかけ、仲違いさせる「三角関の計」というもの。調べたところによると、これはどうやら三國志にはない設定のようです。

趙雲の紹介でやってきた時代考証的美女・貂蝉の手引きにより、作戦は見事大成功します。
貂蝉にそそのかされ、呂布が自らの主である董卓を裏切って、滅ぼしたのでした。

 

【映画の内容・承】軽薄軍師・孔明、加入す

 

勢いを増して北からどんどん領地を拡大していく曹操と、南の豊かな地を守る孫権。
一方、やる気があんまりない劉備は、二人の領地を避けてうろちょろしつつ、楽したい一心から有能な軍師を雇い入れることにしました。

関羽に説得されて「三顧の礼」も辞さない覚悟の劉備でしたが、孔明は「諸葛、了解孔明!やる男です」と、あっさり劉備軍入りを決めます。むしろ売り込んでくる。
死ぬほど軽いのが、ムロツヨシ孔明の持ち味です。

 

「三顧の礼」とは?
目上の人が三度、もしくは何度も赴いて、礼を尽くしてお願いをすること。

 

その頃、曹操は帝からの信頼を得て、天下でNo.2のポジションについていました。
織田信長を演じたことがある小栗旬には、ハマりどころともいえる展開に思えますが、曹操は超絶女好きとして描かれます。
この英雄は色しか好まない上に、大して戦好きじゃなさそう。

曹操の元へ届いたのは、天才軍師・諸葛亮(しょかつりょう)孔明が、劉備軍についたという一報でした。
そこで曹操は立場を利用して、劉備軍と孫権軍が逆賊というお触れを、帝に出してもらいます。
これにより劉備軍は、民を連れて各地を逃げ回ることになりました。

そしてあるとき、劉備の妻である糜夫人(びふじん/演:清水くるみ)が逃げ遅れてしまいます。これがいわゆる「長坂(ちょうはん)の戦い」というやつですね。
単身、糜夫人と劉備の息子を助けに行った趙雲ですが、逃げ場なしと悟った糜夫人は井戸に飛び込んで自害。趙雲の見せ場エピソードらしく、鮮やかなアクションが光ります。

さて、苦しめられる劉備軍は孔明の助言の元、曹操と孫権どちらにつくかで悩んでいました。
曹操につけば追いかけ回されることはありません。
しかし「たぶん曹操は褒めてくれない上に気が合わない」ということで、劉備はなんとなくチョロそうで褒めてくれそうな、孫権と同盟を組むことにしました。

 

【映画の内容・転】赤壁の戦い、新解釈を一考す

 

おバカな孫権と、頭に血が上りやすい周瑜をそそのかして、なんとか同盟を組もうと画策する孔明。
蜀と同盟を結ぶことに猛反対する周瑜に、孔明は「呉にいる絶世の美女、小喬(しょうきょう/演:山本美月)を引き渡せば、曹操と和解できる」とうそぶきます。
小喬は周瑜の妻であり、あっさり煽られた周瑜は、呉の軍を率いて曹操との戦いに乗り出しました。

曹操も、劉備&孫権による連合軍を倒すべく、大きな船を大量に率いて長江を下ってきます。
長江を隔て、相見えた劉備&孫権連合軍と、曹操軍。
これが三國志前半における最大の盛り上がりポイント「赤壁の戦い」だそうです。

さて、シラフでは全てにおいて逃げ腰弱腰の劉備は、曹操軍の規模の大きさに、負けを確信していました。
曹操軍80万に対し、連合軍はたった3万しか兵がいません。
孔明の言う「ネバギバ」では、どうしようもない戦力差です。

周瑜も黄蓋(こうがい/演:矢本悠馬)の言葉で、孔明に騙されているのでは…と勘づきました。
なんとか曹操軍に勝って、天下三分の計を成立させたい孔明に、周瑜は無理難題を突きつけます。

それこそが「矢を十万本用意せよ」というものでした。

ミスター安請け合いこと孔明は「三日もあれば充分です」と快諾。
当然、普通の手段では用意できるわけもありません。

ここで登場するのが、孔明を内助の功で支える…というか孔明のブレーンこと、黄夫人です。
実は周瑜を戦う気にさせる作戦も、黄夫人が立案したものでした。

黄夫人のアドバイスで、孔明は周瑜に「藁を厚めに被せた大きめの船を、20艘ほど用意していただきたい」と頼みます。
今回ばかりはさすがに無理では…、と劉備達も見放し気味になるものの、孔明は黄夫人の作戦を遂行しました。

黄夫人の作戦は、濃霧に紛れて人が乗っているように見せかけた船を曹操軍に近づけ、太鼓の音で威圧し、矢を打たせるというものです。
作戦通り、敵襲と勘違いした曹操軍が、藁の船に矢の雨を降らせたことから、孔明は無事、大量の矢を入手することができました。

この作戦、映画『レッドクリフ』なんかで知ってるよ、という人もいるんじゃないでしょうか。

実際、孔明は気象学や兵法などを、妻である黄夫人から教わっていたのではないかという説があるそうです。
確かに『新解釈・三國志』の中で黄夫人が立案する作戦の多くは、気象学や有名な兵法に則ったものが多いのでした。

 

【映画の内容・結】曹操を前に、孔明逃亡す

 

矢を盗まれた形となった曹操軍ですが、圧倒的兵力差があるだけに、曹操に焦りはありません。
「三日後、対岸を攻める」と宣言をした曹操は、部下と一緒に一足早く勝ちどきの宴と洒落込んで、どんちゃん騒ぎに興じます。

このどんちゃん騒ぎを大いに盛り上げた集団腹踊りによって、曹操軍は半ば自滅に追い込まれてしまいました。
兵の多くが疫病、すなわち風邪を引いてしまったのです。
元気なのは腹踊りの発起人である許褚(きょちょ/演:一ノ瀬ワタル)と、曹操だけでした。

一応、曹操軍が疫病によって苦しめられたのは本当らしいです。腹踊りが原因ではないでしょうけど。

さて、曹操軍に疫病が流行っていることは、連合軍にも知れ渡る事態となりました。
ビビりな劉備は疫病を恐れて、撤退を決意。
しかし、孔明は呉軍に残ることにします。

孔明は秘策でもって、曹操軍を打ち破るつもりでした。
秘策の内容は「神風を吹かせて風向きを変え、火攻めを行う」というものです。

しかし季節柄、追い風が吹くことはないように思われました。
どこまでも口が軽い孔明は「吹かせて見せましょう、追い風を」と、劉備に負けず劣らずの大言壮語を吐きます。

もちろん策などあるわけもなく、またもや孔明は黄夫人に泣きつきに行くのでした。
呆れかえる黄夫人ですが、彼女の見立ては「いや吹くよ、追い風」という明るいものです。
赤壁付近の山向こうに雲が出たら、それが追い風の合図だと教えられた孔明は、合図にあわせて「風を呼ぶ儀式」を行うことにしました。

一方、絶賛帰途についていた劉備軍は、疫病に対抗するためにもスタミナをつけるべく、道中発見した牛の群れで、バーベキューをすることにします。
彼らの頭にはもはや、曹操はおろか、孔明のこともなさそうでした。

孔明は宣言通りに追い風が吹かなければ、曹操軍に襲われる前に、周瑜の手によって斬首されてしまいます。
なかなか吹かない追い風。絶体絶命のピンチに陥る孔明を心配してくれるのは、呉軍の中でももはや、同じ軍師の魯粛(ろしゅく/演:半海一晃)だけでした。

頼りの綱である黄夫人でさえ、夫の心配はどこ吹く風といった様子で(おそらく当時はないんじゃなかろうかという)麻雀を楽しんでいます。
とはいえ曹操軍も、蔓延する疫病のせいで身動きがほとんど取れません。
圧倒的有利だった戦局なだけに、引き際を見極めかねている様子でした。

迫る孔明の斬首、夜も更けた頃に追い風はようやく吹きました。

この展開に至るまでに実は、日本では「苦肉の策」で知られる黄蓋の「苦肉の計」があり、曹操軍をさらに混乱させるそうなのですが、こちらは尺の問題か、カット。
あくまで主役は劉備軍ということで、話がかなりシンプルになっています。

さて、孔明を全く信じていなかった呉軍は、火攻めの準備などしているはずもありません。
ここで光るのが、孔明の策…ではなく黄夫人の策です。
孔明を見捨てて帰路を進んでいたはずの劉備軍が、対岸にいる曹操軍を火攻めにし、軍勢を率いて奇襲を掛けていました。

退路を塞がれた曹操軍は、大混乱に陥ります。
曹操軍の陣地では、バーベキューでベロンベロンに酔っ払い、気が大きくなった劉備が大暴れしていました。

呉軍では孔明が、ネタばらしに見せかけて、うまいこと話を作ります。
「敵を騙すにはまず味方から」と言い、劉備が疫病を怖がって逃げたのは、曹操軍を油断させるための嘘だったと、嘘をつきました。

実際は黄夫人に言われた通り、それとなく趙雲に「野生の牛が多くいる」湿地帯を帰り道に通るように言い含めておいただけです。
黄夫人には、疫病が流行ったら、劉備が帰りたいとごねるところまで、予想がついていました。

バーベキューで余った牛の脂身は長江に流され、対岸から曹操軍の船の元へ、川の流れによって流れ着くことになります。
あとはそこにうまいこと火をくべられれば、火攻めは成せるという作戦でした。

語り部である蘇我宗光いわく、これまで語ってきたことのどこまでが真相だったかは不明だが、曹操軍が火攻めにあったという史実はある、とのことです。

これで少しでも三國志に興味を持ったなら、文献などを引っくり返してみて、自分なりの三國志を見つけられるはず、と蘇我が語り、映画は締めくくられました。

悔しくもその通りで、筆者は映画を観た後、軽くではありますが三國志を調べることになり、見事「黄夫人…いいな…」と、黄夫人の活躍を描いた作品に手を出すようになったのです。

 

まとめ

 

映画公開後は、そっとその名を聞かなくなった『新解釈・三國志』を紹介してまいりました。
正直、福田雄一監督の作品が好きであれば、少なからず楽しめる作品だと思います。
よって、筆者は下記のような方にこそ『新解釈・三國志』をオススメしたいと考えました!

 

  • 「福田雄一監督作品が好き」
  • 「何も考えずに観られて、時々クスッと笑える映画が観たい」
  • 「『水曜どうでしょう』的な大泉洋が観たい」

 

山はある、オチもなんとなくある、しかし意味があるのかと訊かれると首を傾げたくなる「福田雄一流・新解釈」で描かれた三國志。

映画館で観るにはちょっと…という意見は認めます。
ぶっちゃけ、筆者もちょっと思いました。
ゆるすぎて、映画としてどうよ…と。

ですが、このおうち時間が苦痛に思えてきたコロナ禍2021年には、このくらいゆるいほうがいいのかもしれません。

特に『水曜どうでしょう』が好きだった人には強くオススメしたい!
いじられ役でぼやきまくりの大泉洋が座長にいるせいか、雰囲気が完全に『水曜どうでしょう』のようになっていました。

現に映画を撮る際、福田監督も『水曜どうでしょう』を全シリーズ観たそうで「もっと早く観て組み込んどけば良かった!」と語ったほど。
そのくらい、大泉洋が自然体で劉備を演じていたのが、筆者としては面白かったです。

 

筆者的に特に面白かったシーン、ベスト3!

 

せっかくなんで、大泉洋さんもとい、劉備のシーン以外で、特に注目していただきたいシーンのベスト3を語らせていただきます。

1位…孔明と黄夫人のやりとり

2位…貂蝉の「絶対笑かす」挑発の舞い

3位…お茶目で格好いい曹操(初登場時&赤壁の戦い時)

まずは3位から!
筆者は『新解釈・三國志』を観てから、三國志の登場人物を把握したのですが、なんと曹操は三國志の中では嫌われ役らしいのです。
しかし、小栗旬さん演じる曹操は、茶目っ気溢れる好人物!メイキング映像でもいわれていましたが「ついていきたい!」と思わせる上司、曹操の活躍にはぜひご注目ください。

そして2位!
キャスト陣がたびたび話題に出した、渡辺直美さんのダンス…じゃなかった、舞いのシーンです。
劉備、関羽、張飛の前で舞いを披露するのですが、よく見ると一人一人目線がなんとなく下がっていき、必死に笑いをこらえているのがわかります。
あんなん目の前で踊られたら、そら笑う。しかも、渡辺直美さんは標的を定めて、一人ずつ丁寧に笑わせていったそうな。すげえ!

1位は…筆者が大好きな黄夫人のシーン!
有能な女性が好き、という性癖がある人には、ぐさっと刺さるであろう頭脳明晰毒舌美女・黄夫人。
夫である孔明こと、ムロツヨシさんとのかけあいは軽快かつ辛辣辛口で、容赦がありません。
何がいいって、命の危機にさらされても、孔明の「うちの奥さんがいうことは、ぜった~い!」主義がぶれないところ。透けて見える夫婦の厚い信頼関係は、ある意味、理想の夫婦の形の一つでは?

上記のような見所を発見させてくれたり、作品をより楽しくさせてくれるのが、メイキング映像!
リハーサルなどの様子を映した映像内では、本編より面白いのでは?と、思わせる名(迷)シーンが続出します。

これを観れば『新解釈・三國志』が、1800倍楽しくなること間違いなし!
まずはじわじわ、お手すきの際に「新解釈」の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。



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