【考察】映画『希望の灯り』のタイトルの意味とは?干渉しないという思いやりのカタチ

最近、人とのつながりを実感できていますか?

 

ナルホドくん

スマホがあるからいつでも誰とでもつながれるよ!

 

確かにつながるための機会や容易さに関しては実感できているかもしれません。

しかし、心理的にはどうでしょうか。

 

文面だけでトーンがわからない、表情が見えないという理由で

相手の考えていることがわからないといった経験は誰でもあると思います。

 

現代はある意味で人とのつながりが難しい時代なのかもしれません。

 

そんな現代において、一つのつながりのモデルを示してくれるのが

今回ご紹介する映画『希望の灯り』です。

 

本作品、原題は『In den Gängen(通路にて)』というタイトルになっています。

 

なぜ邦題は『希望の灯り』に変更されているのか。

 

本記事では『希望の灯り』を4回観た筆者が

邦題の意味について解説、考察を行っていく予定です。

 

ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

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あらすじ

 

引用:ayapro1000 チャンネル

 

ドイツ東部の都市・ライプツィヒ近郊。

 

どこまでも広がる田園風景とアウトバーン(高速道路)。

陸の孤島とも言えるそんな場所に彼らの働くスーパーはある。

 

旧東ドイツの雰囲気が残る職場環境。

そこではお互いを気遣い、けれども干渉しすぎないゆるやかな絆が育まれる。

 

閉店後の店内には「G線上のアリア」が流れ、

滑るように通路を行き交うフォークリフトたち。

 

それぞれ内に問題を抱えつつ、今日も彼らは灯りを目指してやってくる。

 

登場人物の紹介

 

クリスティアン

引用:『希望の灯り』 公式サイト

 

本作品の主人公。

上半身に犬やコンパスの入れ墨をいれている。

素行の悪そうな外見をしているが、真面目で繊細な青年。

当初はスーパーという未知の環境に戸惑っていた。

ブルーノたちのサポートを受け、次第に打ち解けていく。

マリオンに対して好意を持っている。

 

ブルーノ

引用:『希望の灯り』 公式サイト

 

飲料担当の責任者。クリスティアンの上司。

強面で口は悪いが面倒見はいい。

東ドイツ時代は長距離トラックの運転手として

ルディやクラウスたちと一緒に働いていた。

東西統一後の変化に戸惑い、東ドイツ時代を懐かしんでいる。

 

マリオン

引用:『希望の灯り』 公式サイト

 

スーパーではお菓子売り場を担当する。

夫のDVに悩まされている。

魅力的な女性でクリスティアンに好意を抱く。

 

ルディ

 

ブルーノとはトラック運転手時代からの同僚。

現在はスーパーのマネージャー的な役割を務めている模様。

 

クラウス

 

ブルーノ、ユルゲンと同様に元トラック運転手。

スーパーで唯一ハンドパレットトラック(ハンドキャリータイプの荷台運び機)の

使用を許可されている。

 

イリーナ

 

お菓子担当の女性従業員。

マリオンがクリスティアンとの恋によって傷つかないか心配している。

 

背景情報の確認

 

引用:『希望の灯り』 公式サイト

 

すでにご覧になった方ならご存知かと思いますが、

本作品は一見しただけではちょっとわかりにくい内容となっています。

 

なぜならストーリー展開から背景情報が

読み取りにくいという特徴を持っているからです。

 

セリフが少なく、ほとんどがスーパーの場面に割かれているといった点が

主な要因となっています。

 

しかし、これらの背景情報はタイトルを考察する上で非常に重要な存在です。

 

そのためまずは以下の4つの情報の確認から行うこととします。

・時代

・舞台

・職場環境

・労働

タイトルの考察まで少々お付き合いください。

 

時代

 

正確な年数は明らかにされていませんが、

東西ドイツ統一(1990年)から数年後に設定されているようです。

 

 舞台

 

物語の舞台となるスーパーは、

旧東ドイツ・ライプツィヒの近郊にあります。

 

かつてライプツィヒは工業で栄えており、東ドイツ第2位の都市でした。

 

こういった環境のため、ブルーノたちはトラックドライバーとして

各地を赴くことができていたのではないでしょうか。

 

また、このライプツィヒですが

東西ドイツの統一に関しても大きく関わっています。

 

ライプツィヒで行われた「月曜デモ」が

東西ドイツ統一の一因とも言われているからです。

 

このような土地柄のため、

登場人物たちが東ドイツ時代を懐かしむ様子がより強く印象に残ります。

 

職場環境

 

クリスティアンたちが働いているスーパーは

元西ドイツ(資本主義)の会社が経営しているようです。

 

現在のスーパーがある場所には

かつてブルーノたちが働いていた運送会社がありました。

 

スーパーの従業員はこの運送会社のメンバーが多く、

職場環境はいい意味で社会主義的です。

 

クリスティアンが困っていれば所属部署関係なく救いの手を差し伸べたり、

上司であるブルーノも彼と同様の業務を行うといった様子が作中では描かれていました。

 

彼らは平等に、共に支え合って働くという意識で働いているのです。

 

労働

 

ブルーノが東ドイツ時代を懐かしむのは、

暖かな交流があったからだけではありません。

 

そこには「労働」の意味も関係しています。

 

社会主義において「労働者」とは社会の主役であり、支配者です。

 

「自らが主役である社会のために働く。」

 

社会主義時代、人々は「労働」に対して

働くことに対してやりがいを持てていたのではないでしょうか。

 

しかし、資本主義では違います。

 

資本主義では資本家こそが主役です。

 

資本家は「労働者」を雇い、利益を上げます。

つまり、資本主義における「労働」とは資本家のためということです。

 

「自らの労働が社会に直結するわけではない。自分は社会の一部に過ぎない」

 

社会主義の元で働いていた人々はこのように感じても不思議ではありません。

 

社会主義から資本主義への転換は「労働」に対する認識の大きな変化をもたらしたのです。

 

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『希望の灯り』というタイトルの意味とは?

 

 

背景情報の確認が終わったところで

いよいよタイトルの考察を行っていきたいと思います。

 

タイトルに「希望」というワードが入っていることから

「希望」を求めている人が登場する物語ではないかと想像される方も

いるのではないでしょうか。

 

ご想像の通り、本作品の登場人物たちはそれぞれ悩みを抱えています。

 

彼らの抱える悩みとはどういったものか?

以下でご紹介していきます。

 

クリスティアン

 

クリスティアンが抱える悩みとは「自分の歩むべき道(人生)への迷い」です。

 

このことを象徴しているのが彼の着替えの場面です。

入れ墨を隠すように袖口を伸ばして制服を着るクリスティアン。

制服を羽織る際、うなじに入れたコンパスの入れ墨がちらりと映り込む。

作中、この場面が幾度となく登場します。

 

クリスティアンは鶏も殺せないほど繊細で、勤務態度もまじめな青年です。

 

一方で彼には過去に少年院に入った経験があり、

今でも悪い仲間とつるんでいたりもします。

 

なぜ彼の振る舞いはこのようにちぐはぐなのでしょうか?

 

その意味を表しているのが上述の場面です。

 

繰り返し登場するコンパス。

 

それは彼が方角を見失っていることを表す、

つまり自分の進むべき道を見失っている、ということを表しているのです。

 

MEMO
クリスティアンは人生について悩んでいる。

 

 

ブルーノ

 

ブルーノが抱える悩みとは

「東ドイツ時代へのノスタルジー(過ぎ去った昔を懐かしむこと)」です。

 

かつての彼の「労働」にはやりがいや誇りがありました。

 

トラックドライバーである彼は移動することが「労働」です。

移動した距離や回数が多いほど、社会への貢献度の大きさを示します。

 

ブルーノも自らの「労働」による社会への貢献を自負し、

やりがいや誇りを持っていたのかもしれません。

 

東西統一後、彼を取り巻く「労働」環境は大きく変化しました。

 

1日中、スーパーにこもって雇われ仕事を行うだけの日々。

資本主義下のため、彼の「労働」が直接社会の貢献に関わることはありません。

 

現代は「労働」を通じた社会貢献によって、やりがいや誇りを感じる時代ではない。

 

彼は統一から何年経ってもこのような価値観に馴染むことができていません。

 

このままではいけないことを自覚しつつも、

あまりの変化の大きさにどこか諦め気味のブルーノ。

 

「長距離トラックが懐かしい」と涙を浮かべたのは

このような背景があるのでしょう。

 

MEMO
ブルーノは社会情勢の変化に対して悩みを抱えている。

 

マリオン

 

マリオンが抱えている悩みとは「夫からのDV」です。

 

物語中盤、突如仕事を休み始めたマリオン。

 

クリスティアンは彼女を心配に思い、

ブルーノに尋ねることで夫からのDVが発覚します。

 

これまでも彼女はDVが原因で休んだことがあるそうです。

 

それならば夫と別れてしまえばよいのではないかと思うかもしれません。

しかし、彼女は何かしらの理由があって夫と別れることができないようです。

 

ただ、彼女がDVで悩んでいることは間違いありません。

 

その理由は彼女が自宅でビーチのパズルを行っていたからです。

 

なぜビーチのパズルが悩んでいることの根拠になるのか。

 

それはドイツの地理が関係しています。

 

トーマス・ステューバー監督によると

海に囲まれた国ではないためドイツ人は海に対する憧れを抱いており、

「海に行く=バカンス」ということを連想させるそうです。

 

バカンスとは、日常を離れてひと時の行楽を行うことを意味します。

 

つまりビーチのパズルを行うことは、

DVのある日常を離れて、穏やかな時を過ごしたいということを表しているのです。

 

MEMO
マリオンは家庭生活に悩んでいる。

 

彼らにとってスーパーとは?

 

結局、彼らにとっての「希望の灯り」とは何なのでしょうか。

 

それはスーパー(職場)そのものであると筆者は考えています。

 

スーパーは「生きること」に関して悩んでいる登場人物たちに

安らぎを与えてくれる場所だからです。

 

つかず離れずの距離感で自分のことを見守ってくれる上司たち。

 

共に東ドイツ時代を過ごし、気心の知れた同僚たち。

 

自分に好意を持ち、優しく接してくれる後輩。

 

このような暖かな交流がある職場によって彼らは救われています。

 

彼らの心象風景を思わせる荒涼とした田園風景の中、

煌々と輝くスーパーはまさに「希望の灯り」なのです。

 

感想

 

引用:『希望の灯り』 公式サイト

 

本作品を初めて観た際に筆者は

「すごく画がきれいな作品だな」

という感想を抱きました。

 

スーパーという舞台を活かした奥行きのある構図。

わずかに霞がかってぼんやりと光る照明設定。

 

本作品は例を挙げればきりがないほど美しい描写に溢れていました。

 

またストーリー自体もよく作り込まれており、見るたびに新たな発見ができます。

 

今回ご紹介した内容は本作品の魅力の一部です。

ぜひ本作品をご覧になって、自分なりの発見を楽しんでみてください。

 

まとめ

 

引用:『希望の灯り』 公式サイト

 

本記事では映画『希望の灯り』の邦題タイトルについて考えてきました。

 

結論としてこのタイトルは

「悩みを抱える登場人物たちが安らげる場所」

を意味しているのではないでしょうか。

 

登場人物たちはそれぞれ人生、仕事、家庭環境の悩みを抱えています。

 

しかし、彼らは全く孤独なわけではありません。

 

静かに寄り添ってくれる人がいることによる安らぎ。

 

本作品はそういったささやかな幸福を描いているのではないでしょうか。

 

結末は少し悲しいものですが、

視聴後に暖かな気持ちに包まれる理由もここにあります。

 

彼らには人とのつながりを感じられる場所がある、ということが

我々にも伝わっているからです。

 

過度な干渉はせず、ただ静かに寄り添う。

 

人とのつながり方が難しい現代。

本作品で描かれていたつながり方を一つの参考としてみてはいかがでしょうか。

 

本記事のまとめ

・本作品は悩みを抱える人たちの物語

・職場での暖かな交流によって登場人物たちは救われている

・静かに寄り添うというのも思いやりのカタチ

 

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