鬼滅の刃、呪術廻戦に続いて大ブームを巻き起こしている『東京卍リベンジャーズ』。2017年より週刊少年マガジンで連載され、作者は和久井健。
そんな彼の代表作は『新宿スワン』、ずいぶんと絵柄が変わった、ということでも話題になっています。
そして、東京卍リベンジャーズで最大の悪役として名を馳せた、半間修二(はんましゅうじ)と稀咲鉄太(きさきてった)。今回はそんな悪役の2人にスポットを当ててみたいと思います。
目次
東京卍リベンジャーズの名悪役、半間と稀咲。彼らの間にあった友情
引用:東京卍リベンジャーズ【公式】@toman_official
東京卍リベンジャーズのあらすじ
主人公、花垣武道(はながきたけみち)はうだつの上がらない生活を送る青年。レンタルビデオ店で年下の店長に叱られ、部屋は狭いワンルーム…。
そんな武道でしたが、たまたまテレビで昔の彼女、橘日向(たちばなひなた)が『東京卍會(とうきょうまんじかい)』と呼ばれる犯罪組織の抗争に巻き込まれて死亡したことを知ります。
そして、かつての自分は東京卍會の舎弟にされ、いいように使われたあげくかつての仲間たちや日向から逃げ、そして今の生活があるのだ、と思い出します。
ある時、電車のホームで到着を待っていた武道。突然何者かに背中を押され、轢かれる!そう思った次の瞬間、武道は12年前、中学生にタイムリープしてしまい…。
そこから、現代の日向が死んでしまう原因は『稀咲鉄太』という男が東京卍會と、そのトップである佐野万次郎(さのまんじろう、通称マイキー)を変えてしまったからだと判明。
現代の日向を救うため、稀咲鉄太に接近し、未来を変えようと奔走します。
半間と稀咲それぞれの簡単な紹介
半間修二
稀咲鉄太に付き従い行動する人物。武道は何度もタイムリープしますが、どの世界線でも稀咲鉄太と行動をともにする謎の多いキャラクターです。
右の手の甲には『罰』、左には『罪』のタトゥーを入れており、身長も192cmとかなりの長身。さらにすらりとした細身ですが、ケンカの腕も強く、マイキーの蹴りをやすやすとガードしたことも。
「ダリィ」というのが口癖でいつも薄ら笑いを浮かべており、どこかひょうひょうとしていて憎めないところも。
しかし、読者の方はきっと「稀咲の金魚のふんで、武道のじゃまをするひどいやつ」という印象を持っているでしょうし、私もずっとそう思ってこの作品を読んでいました。
そう、『あるシーン』を目撃するまでは。
稀咲鉄太
武道がいた現代での東京卍會を悪い方向へと変えてしまった張本人。佐野万次郎をそそのかし、うまく取り入ることで組織を内側から操るなど、人心掌握がうまく、頭の切れる人物。
そんな彼ですが、実は一番最初に不良になろうと決めたのは、初恋の人である橘日向を振り向かせたかったから。そんな淡い初恋をかなえるために、誰よりも頑張り続けた努力の人。
彼は武道と違って「タイムリーパーではない」といった旨の発言を途中までしていますし、毎回武道のじゃまをしていたのも、すべて彼が一度の人生の中で行った努力のたまものです。
「ひきょうだ、憎たらしい!」と読者は彼への憎しみを無意識のうちに武道と重ね、共感させるストーリー展開なのですが、彼の最期はそんな読者の心にしこりを残します。
彼は本当にそこまで悪だったのか?と思わざるを得ないものでした。
二人の友情について
半間と稀咲、彼らの日常的なやりとりはそこまで作品中で描写はされていません。しかし、東京卍リベンジャーズ205話で、彼らの過去や、半間がどう思っていたのかが描かれています。
武道に追い詰められた稀咲。そして自分をタイムリーパーではないかと疑う武道に「オマエまだオレがタイムリーパーだと思ってんのか?オレは…」と自分の正体を明かそうとします。
しかし、突然トラックにはねられそのまま息を引き取ります。東京卍リベンジャーズ最大の敵、稀咲鉄太の最期は拍子抜けするほどあっけないものでした。
稀咲の生存を信じていた半間。現場に到着してその事実を目の当たりにすると、めったに表情を崩さない彼がぼろぼろと大粒の涙を流してこう言います。
「派手に逝ったなぁ」
普段はポーカーフェイスの半間が号泣するこのシーン、私は読んでいて思わずもらい泣きしてしまいました…!
今、この記事を書いていてもうるっとするほど。作中の名シーン中の名シーンです。
そして、そんな彼が稀咲に従っていた理由。それは『稀咲といると、世界に色が着いたように見える』というものでした。
それまで歌舞伎町の死神と呼ばれていた半間。最強の名をほしいままにしていましたが、そんな彼の目に映る世界はきっと退屈で、色のないモノクロのように見えていたのでしょう。
稀咲に初めて会い、彼を一目見た時から『他の不良共とは色が違う気がした』と感じた半間。
きっと内なる野心の大きさだとかそんなものだけではなく、いわゆる『第六感』的なものもあったのではないかと思います。
しかしなぜここまで自分に従順なのか、疑問に思った稀咲。「オマエはなんでオレについてくる?」と尋ねると、半間はこう返します。「オマエが死んだら教えてやるよ、約束だ」と。
こうして2人の間に交わされた約束でしたが、半間は逃亡生活の最中、稀咲の墓に訪れて「語りあかそうぜ」と話しかけています。
ここでこの話は終わってしまうので、実際に半間が何を話したのかは不明なのですが、ここまでの流れからするとこういった内容ではないかと思います。
「俺は稀咲と一緒に過ごせて楽しかった、それまでの退屈な世界や日常が変わった気がした」
作中では何度も武道の前に立ちふさがり、日向が死ぬたび憎悪の気持ちが強くなってしまった半間と稀咲。しかし、彼らの中には確かな友情が存在し、半間はきっと稀咲を忘れないでしょう。
そしてそもそも、彼らが『敵』とされているのはこの作品の主人公が武道だからであって、彼らは彼らなりの信念や正義を持って行動していたのだと思います。
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マイキーとドラケン、武道とナオト…他の名コンビの友情と比較
引用:東京卍リベンジャーズ【公式】@toman_official
マイキーとドラケンの場合
龍宮寺堅(りゅうぐうじけん)ことドラケンとマイキーの出会いは小学生のころ。
当時ドラケンが従っていた鮫山一派に命じられ、マイキーを連れてきたドラケン。しかし当時から相当ケンカの実力があったマイキーは、そのトップを一撃でダウンさせます。
そして屈託のない笑顔でこう言うのです、「オレの友達になれ!ケンチン!」と。
そこからドラケンはマイキーといつも行動をともにして、彼の右腕と呼べる存在に。
マイキーはドラケンを信用しているため、彼に対しては普段よりいっそう子どもっぽい一面を見せますし、ドラケンはそんな天真爛漫なマイキーを支えつつも、兄のように接することも。
彼らはお互いを深く信じていて、マイキーの隣にはいつもドラケンがいる…そんな名コンビです。
彼らの場合は、お互い家庭環境が複雑であったという共通点もあったのかもしれません。マイキーは異母兄弟と祖父の家で暮らしていますし、ドラケンは親がいないために、幼いころから風俗店で育てられました。
こうした共通項から、彼らは急速に仲を深めた、というのもあると思います。
こうして見ると、半間と稀咲の友情も、彼らのそれと変わりありません。どちらもとても大切でかけがえがなく、尊いものです。
武道とナオトの場合
武道とナオトは、一番最初にタイムリープした時に初めて深い会話を交わします。現代の日向を助けられるかもしれないから、とほんの少しの望みに掛けた花道は、公園でナオトにこう話します。
「12年後、自分は線路に落ちて死ぬ、そして姉ちゃんは抗争に巻き込まれて死んでしまう。姉ちゃんを守ってやってくれ」
普通、あまり面識がない(一応、武道は日向の彼氏ではありましたが…)人物にこう言われて、信じることができるでしょうか。私だったら冗談かジョークで済ませてしまいます。
しかしナオトはこれを信じて、必死に勉強をして刑事に。そして武道が12年後に線路に落ちる未来を変えて、現代に戻った彼にこう伝えるのです。
「僕はあなたから話を聞いたことで、未来を変えることができた」と。
それからは、ナオトと握手をすることでタイムリープができる、という都合もあるのですが、武道とナオトは協力関係に。
何度も何度も過去に戻っては失敗し、挫折する武道とナオト。それだけではなく、現代がとてつもなく悪い状態になってしまうこともあり、彼らは悔しさ、やるせなさを共有します。
そんな中で、武道とナオトの中には自然と友情が芽生えていました。きっと、一緒に苦難を乗りこえてきたことで『戦友』のようなものになったのでしょう。
半間と稀咲はベストコンビだった
こうして他の名コンビと比較しても、半間と稀咲はベストコンビであったと明言できます。
- ドラケンとマイキーのように、つかず離れず、ちょうどいい距離感で常にそばにいた
- 表面上は半間と稀咲の間に友情はないように見えたが、他の誰よりもお互いが唯一の味方だった
- そして、武道とナオトと同じように『戦友』と思っていた
多くは語らず、しかし常にお互いに尊敬の念を持って一緒にいた…そう思うと、彼らがはなればなれになってしまったことが非常にさみしいです。
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稀咲がいない今後、半間はどう動くのか?
引用:東京卍リベンジャーズ【公式】@toman_official
ネットやSNSでもしきりにささやかれる『半間黒幕説』を検証
そんな半間ですが、ネットやSNSではずっと『半間黒幕説』がささやかれています。
半間黒幕説を推したい。
キサキは友達が少ないから(ひどい)— ささもと (@sa2moto) September 27, 2021
半間修二の喋り方ほんま好き
半間のタイムリーパー説とか黒幕説とか味方になる説の動画見るの面白い— はりゅお (@A3noPc) September 30, 2021
この根拠は、
- 稀咲が自分の正体を言いきらずに死んでしまったことから、恐らくそれまでの文脈から読み取って、「タイムリーパーではないが、トリガー(ナオトのように、タイムリーパーを発動させる人物)である」と言おうとしていたのではないか?
- そして稀咲がトリガーであるなら、彼の一番身近にいる人物がタイムリーパーだということになるので、半間はタイムリーパーで黒幕なのでは?
ということですが、確かにこの説はある程度筋は通っています。
稀咲は武道がタイムリーパーであることを知ったとき、特に驚いた様子もなく、「そういう事か!!」と納得しています。
そもそもこう言っては野暮なのですが、タイムリーパーという概念をすんなり受け入れられるのが不自然です。
最初から身近にタイムリーパーの存在があったか、誰かから武道がタイムリーパーかもしれない、という話を聞いていたとしか思えません。
そして、その存在や人物というのが半間であるとするのなら、先ほどのシーンがしっくり来るのです。100%そうだとは言えませんが、現段階で黒幕の有力候補であることは間違いありません。
今後の半間の動向の予想
そして今後の半間の動向ですが、もし本当に彼がタイムリーパーであるなら、逃亡生活を続けながらタイムリープの機会をうかがっている最中だと思います。
トリガーが稀咲であったと仮定すると彼はもう死んでしまっているので、別のトリガーを探す必要があります。
恐らく、トリガーの条件は『共通のやり直したい事柄がある人物であること』。
だとすると、半間が一番やり直したいのは『稀咲の死の阻止』だと思いますが、彼がそれを望むでしょうか…。
手の甲に入れているタトゥーからして、『罪と罰』。私の予想ですが、半間はこれまでに起こったことを受け入れて、生きていくことを選択すると思います。
よって、私の結論は『半間はタイムリーパーであった可能性は高いが、おそらくもうタイムリープすることはないし、黒幕でもない』です。
まとめ
- 東京卍リベンジャーズ、悪役の半間と稀咲の間には確かに友情があった
- マイキーとドラケンなど、他のコンビと比べても遜色がない、作中一番の名コンビ
- 半間はタイムリーパーではあった可能性はあるが、人間性や生き方を考えると、もうタイムリープはしないと予想。そして黒幕ではない
これから読む、という方はきっと半間と稀咲へのヘイトを募らせながらページをめくることとなると思います。しかし、その苛立ちがやがて喪失感に変わるはず。
興味を持った方は、ぜひ読んでみていただきたいです!そして、もう読んだという方も改めて彼らの生き様に注目してみてください。
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