『髪を切りに来ました。』ネタバレ/高橋しんが描く「何も起こらない」物語とは!?

疲れているときに読みたくなる漫画に、心当たりありますか?
今回は、心がなんとなく荒むときにピッタリな漫画をご紹介します!

それは…高橋しん先生『髪を切りに来ました。』!

『最終兵器彼女』や『きみのカケラ』の高橋しん先生が、2021年11月現在雑誌「メロディ」で連載している新シリーズです。

「世界の終わりに、アナタはどうするのか? 誰を愛するのか?」

…という感じの、重めのテーマが何となく脳裏に浮かぶような作風の先生ですが、今回の新作はなんと「何も起こらない」

舞台は沖縄の離れ小島、主人公はワケあり父子。
早速、作品の魅力をネタバレ込みで語っていきたいと思います!

 

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作品概要

 

1~4巻 好評発売中

作者:高橋しん(代表作:『最終兵器彼女』『きみのカケラ』『花と奥たん』など)

連載:メロディ

既刊はたったの4巻!

基本的に1話完結かつ、主人公親子の沖縄での心温まる日常エピソードのみで構成されているので、読みやすい上に追いかけやすいのが魅力の一つになっています。

高橋しん先生節炸裂の、人の心を柔らかく切なく描いた優しいストーリーと、おいしそうな沖縄メシは、心のデトックスにうってつけですよ!

 

『髪を切りに来ました。』あらすじ

 

東京で美容師をしていた春田睦(はるたりく)は、とある事情から殆ど話せなくなってしまった息子・一星(いっせい)と共に、沖縄の離れ小島・波留田(ハルタ)島へ離島留学にやってきました。

「手に職があればどうしたって食べていける。」

祖母の教えから、美容師と理容師両方の資格を持つ睦は、ハルタ島という新天地でも美容師として仕事をしようとしますが、東京とは時間の流れ方が違う島での生活に、翻弄されっぱなしで…?

 

…といった感じでスタートする物語。

主人公は、優しく真面目すぎる父・睦と、東京での生活で心が疲れ切り、話すことが苦手になってしまった息子・一星くんです。

『髪を切りに来ました。』は、生きることに不器用すぎる春田父子が、自分達と同じ名前のハルタ島で少しずつ、心や関係を「再生させていく」物語。

いつも一生懸命頑張りすぎてしまう二人の姿や、二人にかけられる沖縄の人々の言葉が、疲れた社会人には痛いほど刺さります。

何よりこの漫画、何度でもいってしまいますが…描かれているご飯がめちゃくちゃおいしそう!

以下のネタバレ項目では、登場する沖縄メシも込みで作品を紹介していきたいと思いますので、お楽しみに!

 

注意
※以下より、ネタバレを大いに含みますのでご注意ください。

 

『髪を切りに来ました。』1~4巻ネタバレ解説&魅力紹介

 

この項目では『髪を切りに来ました。』の既刊1~4巻の内容を、ネタバレ込みでご紹介していきます。

飯テロ漫画についつい目を引かれる本記事筆者が注目するのは、やはり作中で登場する沖縄メシ!
もちろん、作品自体の魅力も各巻ごとにお伝えしていきますよ!

 

1巻ネタバレ

白泉社公式サイトより引用

 

勤めていた東京の美容室を辞め、息子・一星とともに沖縄の離れ小島ハルタ島へ「離島留学」をしにやってきた春田睦。

ところが、島の案内係である聡美(さとみ)さんに案内された住居は、ブラック・ジャックの住居を彷彿とさせるような、オンボロの一軒家でした。

引っ越してきた春田父子を待ち受ける最初のミッションは、大きく二つ。

一つは「家を寝られる状態、ひいては住める状態にすること」
もう一つは「御嶽(ウタキ)への挨拶」でした。

家には天井に大きく穴が開いている部屋もあり、そもそもウタキ…精霊への挨拶の仕方など知らない睦は戸惑いますが、近隣住民の人に助けてもらいつつ、一星と一緒に一つずつ問題をクリアしていきます。

しかし、早速自宅で開店した睦の「美容・理容 髪を切りに来ました。」店にお客は来ず…?

 

美容師でありながら、真面目すぎる性格かつ口下手な睦が、一星や近隣住民と不器用なほどまっすぐに向き合っていく離島生活がスタート。

睦自身、これまで東京でしか暮らしたことがなく、実は一星とも一星の母・はるかとも、長い間一緒に暮らしていなかったことが早速明かされます。

しかし、一星の一挙手一投足に一喜一憂し、優しく見守る睦の眼差しは、過保護なほど子供を大切に想う一人の父親。

島にいる間は、一星のために髪を切ろうと、睦は決心するのでした。

 

さて、第1巻に登場した沖縄メシは…

  • 電気屋さんの奥さん手作り弁当
  • おじいちゃんから教わったフーチバー(沖縄ヨモギ)のジューシー(炊き込みご飯)と、小松菜とウリのサラダ
  • ジューシー風混ぜ込みご飯とゆし豆腐の朝ご飯セット
  • ポーク卵のおにぎらず(ポークはスパムの缶詰です)

なんと、電気屋さんの奥さん手作り弁当以外はすべて睦が、一星のために作っています!
(引っ越してきたばかりで電子レンジもないのにすごい!)

本記事筆者が第1巻で気になったのは「ゆし豆腐」。
小鍋で豆乳を木べらでかき混ぜて、にがりを入れて、白だしで味付けをして…。
作り方は簡単で、明日にでも試せそうなのがポイント高かったです!

 

そもそも「離島留学」とは?
日本各地の離島にある小・中学校、高等学校に、島外の子供が“留学”する制度のことです。離島側には学校存続や地域復興というメリットがあり、留学生側には普段触れることのない自然や島文化と触れ合えるメリットも。
里親型、合宿型、孫もどし型など様々な形があり、春田父子は中でも「親子型」という、親子で引っ越してきて島暮らしを体験するという形をとっています。

 

2巻ネタバレ

白泉社公式サイトより引用

 

一星の希望で、天井に大穴の開いた部屋を寝室としている春田父子。

第2巻冒頭で描かれるのは、第1巻では父・睦目線で描かれた初登校の日の、一星サイドのエピソードになります。

父の心配は半分的中して、半分外れ。
一時は質問攻めに遭い、東京でのトラウマが蘇った一星でしたが、島の先生も子供達も鷹揚に一星を受け入れてくれました。

学校のみんなが、近所の人が、みんなすぐに名前を覚えてくれる。

島ならではの密接な距離感は、一星のガチガチに固まった心を柔らかく解きほぐしていきます。
そして一星は、ウタキのそばでは「ノロになる」という不思議な女の子に出会い…?

初めての登校、初めての秘密、そして「美容・理容 髪を切りに来ました。」店初めての予約など。
春田父子にとっては初めてづくしの巻ですが、あくまで描かれるのは沖縄の離れ小島で流れていく、穏やかな日常だったりします。

第2巻では、女性人気が出そうな雰囲気を持つ少年、ナギくんも登場!
代々漁師の家系で中学生ながら腕も確かなナギくんは、東京の高校に進学して医者になりたいと考えていました。

巫女である「ノロ」を目指す小学校5年生の波瑠、医者を目指す中学生のナギ。

この二人との出会いは、一星の島生活に大きな影響を与えていきます。

 

さて、第2巻に登場した沖縄メシは…

  • タマナーチャンプルー(島豆腐と豚肉の炒め物)と、アーサのお味噌汁、島野菜のサラダ
  • ポーク卵のおにぎらず(一星の好物)
  • フーチャンプルー(卵に浸したお麩中心の炒め物)
  • 土鍋で炊いたツヤツヤごはんと、アジ、島豆腐とおねぎのお味噌汁
  • タコライスのおにぎらず弁当
  • 沖縄の郷土料理づくし給食
  • 一星手作りのラフテー(豚肉の角煮)入り沖縄そば

第1巻で解説されなかった料理が紹介されていたり、なんとなく知っている沖縄料理が出てきたりと、読んでいるだけでお腹が空いてきます…。

本記事筆者が第2巻で気になったのは「ラフテー入り沖縄そば」!
波瑠に教わった一星が、睦のためにラフテーを一生懸命作る姿に感動しつつ、漫画からは煮物の甘辛い香りが漂ってくるようでした。

 

3巻ネタバレ

白泉社公式サイトより引用

 

電気屋さんから、青年会の会合に誘われた睦。
昔から飲み会となると、どれだけ努力しても何故か早く帰れたためしがない睦は、一星にお留守番を頼みます。

学校でもお留守番を応援された一星は、放課後にささやかな冒険をし…?

ナギくんから三線を譲ってもらい、早速のめり込む一星。
ハルタ島へ来てから、たくさん本を読むようになり、道草を楽しむようになり、友達を作り…。
独自の世界を作り始めた一星の成長に、睦は嬉しい反面寂しさを感じるようになっていきます。

自分なりに島での生活に馴染み始めた一星と、一星のことを思いすぎるあまり空回りしがちな睦。

ですが、睦は日々の生活や、“美容師”としての仕事、毎日の食事を通して「一星には一星の世界や仕事がある」「親としての子供との距離感」を少しずつ学んでいきます。

そして、第3巻ではナギくんに片想いをしている少女・みさきちも登場!
ゆるやかでどこか切なく、男女の身近な関係性を感じさせる描写は、高橋しん先生さすがとしか言いようがありません。

 

さて、第3巻に登場した沖縄メシは…

  • 一星の好物詰め合わせお留守番弁当
  • ゆし豆腐とうりずん豆のバラ肉巻き
  • テビチ(豚足を醤油などで柔らかく煮込んだ料理)入り沖縄おでん
  • 沖縄野菜の天ぷら

本記事筆者が第3巻で気になったのは「テビチ」!
「テビチ」はまんま“豚足”なので、ビジュアルでギョッとしてしまいますが、丁寧に処理がされ、手をかけられた料理でもあります。

この巻で特に重い一言は…「テビチ」を教えてくれたご近所さんの言葉。

「手をかけて、一生懸命つくれば、思い通りに その通りに ちゃんと美味しくなるでしょう。」
「人は、そうでは無いから。」

酸いも甘いもかみ分けた、おじいやおばあだからこそ出るお言葉。
柔らかいエピソードの中で、時折図星をついてくるようなセリフには、考えさせられたり、癒やされたり、不意に涙がこぼれることも。

作中でたびたび出る心を突くようなセリフは、高橋しん先生の作品ならではの特徴ともいえます。

 

4巻ネタバレ

白泉社公式サイトより引用

 

「海上運動会」をひかえたハルタ島。
島全体でのイベントですが、島民(特に子供達)には「渡名喜島の水上運動会の丸パクリ」として大不評でした。

初参加となる春田父子は、それぞれ「エイサー」と「フラダンス」に挑戦することになります。

運動神経があまり良くない…というか鈍くさい睦と一星は苦心惨憺しつつ練習に励み、ついに迎えた当日。
一星は意外にも得意だった泳ぎや、一生懸命練習したエイサー、そしてナギくんにずっと教わってきた三線を披露しますが…?

一星にとって三線やエイサーは、睦と一緒にハルタ島へ来たときから「挑戦」したもの。
その経過や成果を目の当たりにした睦の親心には、ホロリとさせられます。

しかし、本記事筆者が第4巻で特にサクッと心に刺さったのは、島の案内係である聡美さんの、睦に向けた言葉でした。

「子供は、帰るしか無いんです――家に。」

家にどんな親が待っていても、どんなことが待っていても、帰るしか無い。
「一星のために」と頑張りすぎる睦に、聡美は「「ために」は言った親のための言葉です。」と言い放ちます。

押しつけちゃダメですよ、と諭すようにも聞こえるセリフには、ギクリとくる人も多いのではないでしょうか。

 

さて、第4巻に登場した沖縄メシは…

  • 電気屋さんの奥さん手作りサーターアンダギー
  • 豚バラの油味噌
  • 沖縄風焼きそば

サーターアンダギーは物産展などでもよく見る、定番の沖縄スイーツですね!
作中では春田父子も手作りに挑戦していました。

本記事筆者が第4巻で気になったのは「油味噌」。
なめ味噌の一種らしいですが、豚バラがゴロゴロっとして島唐辛子がピリッと効いて…なんて描かれたら、食べたくなっても仕方がないでしょう!

ちなみに第4巻巻末では、一星による沖縄レシピも大公開されています。

そして…『髪を切りに来ました。』には、他にもまだまだおいしそうな料理が出てくるので、気になる人は是非漫画でチェックしてみてくださいね!

 



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登場人物紹介

 

本項では『髪を切りに来ました。』の主人公である春田親子を、ちょっとだけ詳しくご紹介します。

 

春田睦(はるたりく)

一星の父。
理容師と美容師、両方の資格を持ち、東京では友人・リョウタが構える美容室で働いていました。

美容師としては非常に優秀で、ハルタ島へやってきてからは、自宅で「美容・理容 髪を切りに来ました。」店を開くことに。
一人暮らしが長く、クックパッド頼りとはいえ自炊もお手の物です。

しかし、父親としてはまだまだ初心者で、真面目で心配性かつ、何事にも一生懸命になりすぎる性格。酔っ払うと熱く理想や正論を語り出す“真面目”上戸になる面も…。

一星の母・はるかとは長い間別居しており、微妙な関係の模様です。

 

春田一星(はるたいっせい)

睦の一人息子。
とある事情から声に出して話すことが苦手で、自発的に発言することはほとんどありません。
ですが、表情は豊かで、父・睦の作るご飯が大好き。

ハルタ島へやってきてからは、三線などにもチャレンジし、離島での生活に少しずつ馴染み、のびのびと成長していく様子が描かれます。

父とよく似た真面目で優しい努力家ですが、何かと抜けがちな父をサポートするしっかり者。

 

筆者の考察…春田親子がハルタ島にやってきた理由とは?

 

一星ほど深刻な症状ではないとしても、喉が詰まって思っている言葉が声にならないという経験をした人は多いのではないでしょうか。

あえて明文化するのは野暮でしょうが、作中の表現から察するに、一星が抱えているのは「心因性失声症」と呼ばれる病気だと思われます。

その原因はおそらく、母・はるかとの東京での生活でしょう。

良い子でいなければ、母の迷惑にならないようにしなければ。
作品を読んでいくと、東京で暮らしていたときの一星は、常に概ね上記のような考えに縛られていたことがわかります。

「良い子でいなければ」というのは、ときに子供の身体を縛る鎖にもなる考えです。
とくに、大好きなお母さんからお願いされてしまえば、お母さんを想えば想うほどその鎖は強くなってしまいます。

「わがままを言って、お母さんを困らせちゃいけない」

一星もきっとそんな想いから、だんだん「何を話したら良いのか」がわからなくなり…最終的には言葉を発せられなくなるほど、追い詰められてしまったのではないでしょうか。

そして、一星と同じ分だけ一星のことを想って行動していた母・はるかも同様に追い詰められていました。

一星や睦の回想でしか出てこないはるかですが、彼女は息子と共倒れになる前に、別居していた睦に一星を預けることを決断し、海外での仕事へ行くことに決めたようです。

一星やはるかへの深い愛情を見せる睦が、何故はるかや一星と離れて暮らしてきたのかはまだ不明ですが、ハルタ島への「離島留学」は、疲れた一星の心を救うために睦が下した決断だったと思われます。

要するに、手っ取り早くストレス要因かつトラウマの現場から離れる、という対処ですね。

 

まとめ

 

高橋しん先生の新作『髪を切りに来ました。』1~4巻について語ってまいりました。

心因性で話すことが困難になってしまった息子・一星を連れ、沖縄の離れ小島「ハルタ島」へ「離島留学」をしにやってきた睦。

東京の忙しい喧噪から離れ、春田父子は島で色んな関係性を再生・構築していきます。
それは、親子関係だったり、友人関係だったり、ご近所関係だったり。

お隣さんの顔も知らないことがままある都会では、考えられないほど密接な島民達との距離。
島での生活は、一人での生き方しか知らなかった睦に新しい考え方を与え、一星からは多くの感情を引き出していきます。

ハルタ島へやってきて、少しずつ「お父さん」と声に出して言える回数が増えてきた一星。
成長し、感情豊かになり、島でどれだけ自分の世界を広げていっても、作中で一星が声に出して自分の考えや思いを話すシーンはありません。

心で思うことはたくさんあるのに、言葉に、声にならない。
悔しくて哀しくて、涙が溢れてしまう一星は、読んでいるだけでも思わず涙がこぼれ落ちます。

それはきっと、一星に共感してしまうから。

頑張り屋の睦と一星の葛藤は、社畜…じゃなかった、つい頑張りすぎてしまう人たちにとって、共感できる場面も多いのではないでしょうか。

「ハルタ島」の人々は、そんな睦や一星をあるがままで受け止めてくれます。

穏やかで、優しくて、何も起こらないけど、葛藤の多い日々。
手を尽くして作る料理のあたたかさや、誰かと囲む食卓で得られる勇気と元気。
『髪を切りに来ました。』は、何も起こらないこそ身近な物語といえるでしょう。

だからこそ、本記事筆者としては心が疲れた人にオススメしたい漫画でした。

 

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