【ネタバレ有り】映画『人間失格』~生田斗真が熱演した道化の男の姿

引用元:U-NEXT『人間失格』

『人間失格』といえば、言わずと知れた文豪・太宰治の代表作の一つです。

太宰が亡くなる前に完成され「遺書」とも評されるこの作品は文豪・太宰治の魅力がぎっしり詰まっているため、メディア化も多数されています。

でも『文学』と聞くと「堅い・難しい」というイメージを持ったり、青年の転落する様を描いたストーリーに「暗い・怖い」という印象を持ってまだ手にしたことがないという人もいるのではないでしょうか?

今回はそんな人たちにこそ見てほしい!!

太宰治生誕100周年を記念して作られた、荒戸源次郎監督の映画『人間失格』の魅力を独自の感想を交えながらまとめてみました!!

 


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注意

★以下、映画本作のネタバレを含みます。ご注意ください★

 

原作紹介『人間失格』とは

引用元:COCORO BOOKS『人間失格』

まずは、原作となる太宰治著『人間失格』について説明したいと思います。

『人間失格』は太宰治による中編小説です。

物語ははしがき・第一の手記・第二の手記・第三の手記・あとがきという構成で、語り部である「私」主人公・大庭葉蔵(おおばようぞう)の手記に触れる体験談とされてます。

手記の部分においては語り部が大庭葉蔵に置き換わり、こちらでも「私」という一人称を用いて書き進められています。

「恥の多い生涯を送って来ました。」から始まる第一の手記。この中で葉蔵は幼い頃から他人とは違う感性を持ち、そのために人との付き合いで酷く悩み苦しんでいたと記されています。

自身と他人の感性のズレに対して、たびたび混乱し発狂しそうになる葉蔵。

次第に人とまともに会話が出来なくなり、父の財力の下に集まる大人たちが自身を格好の餌にしていることを知りがらも、清く明るく朗らかに「道化」を演じるようになります。そうすることで葉蔵は、他人の心から距離をとる孤独な道を選んでいたのでした。

第二の手記では、そんな葉蔵が中学時代に初めて「道化」を見破られそうになった恐怖と、そこから逃れるため悪友・堀木(ほりき)から教わった酒・煙草・女遊び・左翼思想に溺れていく過程が綴られています。

はじめは「自身を開放するため」と軽い気持ちでこれらを始めた葉蔵ですが、変わりゆく環境の変化から逃避思考が強まり、しまいに心中未遂事件を起こし自殺幇助罪(じさつほうじょざい)に問われます。

第三の手記に残されるのは、罪に問われた葉蔵が『人間失格』の烙印(らくいん)を押されるまでの経緯。

釈放された葉蔵は将来についてますます不安や焦燥感に駆られます。それが原因で葉蔵は破滅的な女性関係に陥ります。

一時は結婚し落ち着いた日々を得もしますが、堀木とのやりとりを通して葉蔵の精神は再び不安定に…。

逃避癖は治まらぬまま酒からついに薬物にも手を出し、病院に押し込まれてしまいます。

葉蔵は自身が入れられた病院が精神疾患者の入る「脳病院」であることに気付き、周囲から「狂人」として見られている自分は『人間失格』だと確信しました。

この作品は、多くの女性と関係を結び心中未遂した太宰自身の生涯と重なる点も多く、作品完成から一か月後に心中によって他界していることからも遺書的作品と評されています。

人間の弱さにスポットを当て、ひたすら絶望へと転がり落ちていくストーリーは、若者を中心に多くの人々から注目されています。

あらすじ

引用元:映画『人間失格』

東北地方の資産家の末子として何不自由なく育った大庭葉蔵(おおばようぞう)は、幼い頃から独特の感性を隠すように振る舞っていました。

ある日、人前で滑稽に振る舞う姿が「わざと」であると級友・竹一(たけいち)に見破られてしまいます。

今まで隠していた絵画に対する嗜好を恐る恐る打ち明けると、竹一は「きっと偉い画家になる」と言い、その言葉通り葉蔵は上京して画家への道を進みます。

熱心に絵を学ぶ葉蔵でしたが、画塾で堀木(ほりき)という男に声を掛けられ生活は一転。

毎夜繁華街に繰り出しては遊び惚け、昼は遊びの軍資金をつくるべくして住まいとしていた別邸にある骨董品を手に質屋を回る日々。

そんな日々の中で葉蔵の胸にあった不安や罪悪感は膨らんでいき、葉蔵は次第に自殺願望を持つようになっていきます。

何気なく堀木に「一緒に死んでくれないか」と告げたところ、「心中するなら女とでなければ格好がつかない」と言われます。

そして間もなく葉蔵は当時出会った女性・常子(つねこ)と共に鎌倉の海に向かっていきます…。

 


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登場人物

大庭葉蔵(おおばようぞう:生田斗真)

東北地方の小富豪の末息子。

幼少期から他人と変わった感性を持っていると考え、それを悟られないように振る舞います(本人曰く、「道化を演じる」)。

画家になるのが夢で、中学卒業後は上京して絵を本格的に学び始めます。

自然と女性が寄ってくるほどの美男子。繊細な神経をもっていて良くも悪くも他人より過敏に物事から刺激を受けます。

堀木正雄(ほりきまさお:伊勢谷友介)

葉蔵と同じ東京の画塾に通う男。

自身は下町の酒屋の出身であり、裕福な葉蔵に目を付け金を無心します。

また、酒・煙草・淫売婦・左翼運動など良くないことばかり教える悪友です。

常子(つねこ:寺島しのぶ)

葉蔵と堀木が訪れたショーパブで働く女性。

周囲に馴染まないどこか寂しげな雰囲気を持っていますが、そんなところから葉蔵と親しくなります。

葉蔵と共に入水し命を落としました。

良子(よしこ:石原さとみ)

マダムの店の向かいにある煙草屋で働く女性。

毎晩酒に酔っている葉蔵を心配し、のちに葉蔵と結婚します。

静子(しずこ:小池栄子)

堀木が挿絵を描いている雑誌の編集者。

女手一つで娘を育てる逞しい一面もあり、仕事を探していた葉蔵に漫画を描く仕事を与え、一時は家で面倒を見たことも。

礼子(れいこ:坂井真紀)

葉蔵の下宿先で暮らす女性。

葉蔵に一目惚れし、葉蔵の部屋に訪れては甲斐甲斐しく身の回りの世話をします。

鉄(てつ:三田佳子)

津軽の静養先で葉蔵の身の回りの世話をする女性。

酷い罪悪感に苛まれる葉蔵を優しく包み込みます。

中原中也(なかはらちゅうや:森田剛)

葉蔵・堀木の馴染みのバーに文豪仲間と通っていた詩人。

酒癖が悪く葉蔵にしつこく絡みますが、葉蔵の独自の感性に惹かれ、死ぬ間際に葉蔵に言葉を託しました。

竹一(たけいち:柄本祐)

中学校時代の葉蔵の学友。初めて葉蔵が「道化」をしていることを見破った人物。

葉蔵がこっそり描き上げた自画像を見て、「女に惚れられる」と共に「偉い画家になる」という予言をします。

律子(りつこ:大楠道代)

葉蔵と堀木が通うバーのマダム。

堀木に絡まれる葉蔵のことを気に掛け、一時は店で面倒を見たことも。

渋田(しぶた:石橋蓮司)

大庭家に仕える執事。平べったい顔つきから「ヒラメ」と呼ばれています。

葉蔵の父の太鼓持ちをする一面が窺え、渋々幼い頃から葉蔵の面倒を見続けます。

みどころ

引用元:映画『人間失格』

「大庭葉蔵=太宰治」混濁する独特の世界観

先述した通り、『人間失格』の主人公・大庭葉蔵は作者の太宰治と同一視されることもよくあります。

本作では原作以上に大庭葉蔵と太宰治の影を重ねる演出があり、『人間失格』のストーリーを知ると共に『太宰治の生涯』にも触れられるところが魅力の一つです。

例えば、葉蔵がこっそり描いていたとされる自画像。原作中では作品の様子について細かな描写はありません。

ところが作中に登場する自画像は、顎に手を添えたポーズをとっています。

作者・太宰は芥川龍之介に心酔していて、こっそり似顔絵を描いていたという逸話もあるほどです。

その他にも檀一雄(だんかずお)・井伏鱒二(いぶせますじ)・小林秀雄(こばやしひでお)など太宰と親交が深かった文豪たちも多数登場するので、文豪ファンの人は胸が熱くなること間違いなし!

「葉蔵=太宰」のオリジナリティーを盛り込みながらも、一貫して原作の物語りの流れは崩していないので、初めて『人間失格』という作品に触れる人でも楽しむことが出来ます。

さまざまな映像演出で鮮やかになる葉蔵の内面

原作『人間失格』の物語の大半は主人公・葉蔵の視点から進行していきます。

そこには、他人より繊細な神経を持っているが故に感じてしまう恐怖や不安がたくさん綴られています。

しかし本作中ではナレーションや葉蔵のモノローグによる心理描写は、ほとんどありません。

それでも主演・生田斗真さんの鬼気迫る表情や息遣いなどの細かな演技、葉蔵の幻覚とも感じられる幻想的な映像演出、風景描写などから葉蔵の抱く感情を察することが出来ます。

葉蔵の心境を描くシーンは、どこをきりとっても一枚の絵になりそうなくらい印象的です。

堕落していく葉蔵の正体

酒・女・薬物に溺れ堕落していく葉蔵ですが、原作の最後でマダムは葉蔵のことを「神様みたいないい子」と話しています。

物語の語り手が葉蔵本人であるために読んでいるこちらも思わず葉蔵の罪悪感に感情移入してしまいますが、大庭葉蔵という人物は本当は自分を押し殺してしまうほどに優しい人間だったのかも知れません。

マダムの言葉が罪に溢れた葉蔵の生涯を救ってくれたように、作中で葉蔵が出会う人物の中には彼の本性を認める者もいます。

中でも印象的なのは、本作にのみ登場する中原中也です。

実際作者の太宰と中原は文豪仲間として接点があり、互いに捻くれた性格のため生前は仲が悪かったと言われていますが、先立った中原のことを太宰は酷く惜しんだとも言われています。(本作でもそんな二人の有名な酒の席でのエピソードが再現されています。)

そんな中原は死期を悟ると葉蔵に『前途茫洋(ぜんとぼうよう:先は掴みどころがないくらいに大きくひらけている)』の言葉を残しました。

葉蔵は中原の死後、転落していく中でこの言葉を思い出してふと立ち止まります。

独自の感性を互いに刺激し合った二人だからこそ落ち込んでいく心を引き留めることが出来たのかと思うと、周りには知られていなかった太宰と中原の絆があったようにも感じられます。

感想

原作『人間失格』は、個人的に鬱々としてとても暗い話という印象を持っています。

初めて読んだときには、止まることのない葉蔵の堕落と不安や恐怖に途中でページを捲るのを止めてしまったほどでした。

…が、生田斗真・伊勢谷友介など大好きな俳優さんが出ているというミーハーな理由だけで本作を見てしまい、とても衝撃を受けました。

葉蔵自身が語り部となっている原作では、葉蔵と周囲の人々の接点が葉蔵の視点からでしか感じられなかったのですが、映画ではそれが客観的に見ることが出来たのです。

すると不安や恐怖を抱えながらも、友のことを気に掛けたり、女性に恋をしたり、それを感じさせない葉蔵の「道化」というものがよりはっきり感じられました。

葉蔵が太宰と同一人物だと考えると、太宰がその短い人生の中で何にもがき苦しんでいたのかという点も理解できた気がします。

同時に葉蔵や太宰が怯えていた不安を優しく汲み取るようにこの作品を作った監督の愛のようなものも感じられました。

原作・作者を知っている人・知らない人でも多くの感情を得られる作品だと思います。

まとめ

引用元:映画『人間失格』

日本文学を代表する作品の一つ、太宰治の『人間失格』。

そこに書かれる主人公・大庭葉蔵の生涯は、まさに太宰治の一生そのもの。

原作には書かれていない独自の演出からも描かれる『人間失格』の魅力と太宰治の人物像を、是非堪能してみてください!

 


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