ひゃくえむ。ネタバレ。努力と天才のぶつかり合いは手に汗握る!

今回おすすめする漫画は『ひゃくえむ。』です!

 著者は、今話題の『チ。-地球の運動について-』を小学館『ビッグコミックスピリッツ』で連載している魚豊先生です。『ひゃくえむ。』は週刊少年マガジン97回新人漫画賞 特別奨励賞に選ばれています。

 

 突然ですが、あなたは何か1つのことに人生を懸けたことはありますか?

 この漫画は、元々才能のある少年と、努力によって凡人から非凡となった少年による、人生を懸けた陸上競技100m走の物語です。

 

 また一般的には、才能のない非力な者が努力をして勝利を勝ち取る、といった内容が王道だと思うのですが、この漫画は違います。

 

 元々才能のある者が挫折から立ち上がっていく様子が多く散りばめられています。

 スポーツにおいてだけでなく、生きている中でぶち当たる壁をどう乗り越えていくかといった、人生観について考えさせられる内容になっているのもこの漫画の魅力です。

 

 10年以上陸上競技短距離走に取り組んでいた私が、『ひゃくえむ。』の魅力をたっぷりお伝えしていきます!

 

以下はネタバレを含む記事です。ネタバレに抵抗のある方は見ないで下さい。

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1.あらすじ

引用元:まんが王国

 トガシは元々足が速く、100m走は敵なしでした。トガシはこの足が速いというアイデンティティだけで友人関係や居場所を確立していました。つまりトガシにとって走りにおいての敗北は人生の敗北でもあるわけです。

 

 トガシは小学6年生の頃ある少年と出会います。その少年の名は小宮(こみや)。小宮は鈍足でしたが、それでも速さを追い求める努力の塊でした。この小宮の存在がトガシに大きな影響を与えていきます。

 

 さらにトガシは社会人に至るまで様々な人と出会い、その人物たちはトガシを成長させていきます。元々才能のある天才と凡人から非凡になっていく努力家は一体どのような人生を辿っていくのでしょうか?

 

2.ネタバレ!異なる性質のアスリートの運命

1巻、天才と努力家の出会い

 小学生のトガシは100m走の全国大会で優勝するほど足が速く、それは元々の才能でした。そのお陰か、学校では人気者で友達も多くいました。運動会では勿論ヒーロー扱いです。

 

 トガシは走ることが嫌いでしたが、トップを走り続けることでしか自分の存在価値を維持できませんでした。

 私もトガシのように、走ることが人とのコミュニケーションのツールになっていて、勝ち続けなければ居場所はないと思って競技を続けていました。なのでトガシの気持ちはよくわかります。

 

 トガシが小学6年生の頃、転校生として小宮がやってきます。小宮は暗い性格のようでした。しかし、小宮は走ることに対してトガシにはないものを持っていることで、枯の興味を引きつけることになります。

 

 小宮は転校してすぐクラスメイトにいじめられました。性格からかおばけと呼ばれ、足も遅かったので馬鹿にされていました。トガシが下校中、小宮と遭遇します。

 

 トガシが小宮に走るのが好きか尋ねると「いや、辛い」と小宮。小宮は現実より辛いことをすると現実がぼやけるから走っているのだと言うのです。小宮にとって走ることは、逃げ道だったのです。

 

 世界には様々な性格のスポーツ選手がいますが、全員が自信を持っていてポジティブ思考なわけではなく、小宮のように引っ込み思案で暗い性格の人もいます。

 

 私もその一人でした。小宮のように人と接するのが億劫で、その現実から逃げるように競技に打ち込んでいた日が懐かしいです。

 

 

 つまり、トガシと小宮の考えはそれぞれ、自分の存在価値を維持するツールとしての走り、現実逃避としての走りという違いがありました。

 

 そして小宮は、トガシの100mが速ければ全て解決する、という言葉に興味を持ちます。トガシは自分の放った言葉が現実となるように、小宮のトレーニングに付き合うことにしました。

 

 小学6年生とは思えないトガシの観察力と分析力、指導力によって、小宮の能力は確実に上がっていきました。そして運動会当日、小宮はいつも自分をいじめてくるクラスメイトに勝ち、なんと一着でゴールしました。小宮は周りから祝福されます。

 

 2人はその時、速さは全てを変えられるということを知りました。しかし、2人がその時気づけなかったことがあったのです・・・。それは、速さは全てを変えてしまうということです。その意味はこれから徐々にわかっていきます。

 

 トガシたちのクラスに職場体験で、ある有名人がやってきます。中学生では敵なしで、14歳ながら100mを10秒台で走る仁神武(にがみ たける)です。

 

 小数点以下のタイムがわかりませんが、10秒台と言えば大学生や社会人の全国大会レベルのタイムです。仁神の凄さがわかりますね。

 

 体育の授業で生徒たちは仁神に走りを見てもらうことになりました。小宮は速さを追い求めた末、身体に無理な負荷がかかる走り方をしています。小宮は以前より3秒もタイムを縮め、13秒台で走ることができました。

 

 しかしその走り方を見た仁神は、小宮に走るのを辞めた方がいいと告げます。

 「痛みを恐れず感情だけで走れる奴に“ブレーキ”はない。破滅するまで走り続け、いつか陸上に殺される」と仁神は言います。小宮は誤った捉え方をし、自分でも一瞬なら栄光を掴めると思い込みました。

 

 トガシには絶対勝てないと思い、諦めていた小宮でしたが、確実に速くなっていることからその事実に納得できなくなっていました。そしてトガシに真剣勝負を持ちかけるのでした。ここの勝負のシーンは非常に見ものです!

 

 天才が人生で初めて全力で走ることができ、凡人が天才に忍び寄るシーンはかなり熱いです!ぜひ見ていただきたいです!

 

 そして勝負の結果は、トガシの勝利でした。小宮は実は怪我をしており、途中で限界が来て倒れていました。ゴールできなくて泣き崩れる小宮の気持ちは、トガシにはわかりませんでした。100mの何がそうさせるのか・・・。

 

 そしてトガシは小宮が怪我をしていなければ負けていたと悟ります。走りに対して初めて敗北の恐怖を味わったのでした。その後、小宮は転校し、姿を消してしまいました。

引用元:まんが王国

2巻でトガシのアスリート魂が再燃

 中学生になったトガシは、相変わらず100m走は全国で敵なしでした。しかしトガシは自分の才能が劣化していることに気づき始めていたのです。以前より余裕を持って勝てなくなっていました。

 

 トガシにとって陸上は生きる上で一番楽な選択肢でした。楽だから依存し、その結果トガシは陸上抜きのコミュニケーション能力を失ったのです。走るのは怖い、だけど走らないのはもっと怖い。もう退路はなく、トガシが取れる選択肢は1つ、勝ち続けるしかなかったのです。

 

 ここのトガシのセリフは、この漫画で私が一番共感した部分でした。勝者はずっと敗北という恐怖に追いかけられます。自分の存在価値を維持するため、居場所を守り続けるためには勝ち続けるしかないのです・・・。

 

 トガシは敗北を恐れ、プレッシャーに負けた結果、高校では陸上部に入らないと決めます。そもそも陸上部は3人しかおらず、浅草葵(あさくさ あおい)と貞弘総一(さだひろ そういち)、あともう一人は・・・。

 

 トガシはアメフト部のエース寺川(てらかわ)に勧誘されます。トガシは寺川の、負けても仲間がいるから怖くないという言葉に、個人競技にはない新鮮さを感じアメフトに興味を持ちます。

 

 同時に陸上部の葵からもトガシは勧誘されますが断ります。以前は強かった陸上部ですが、栄光の証であるトロフィーをアメフト部に灰皿にされるほど、現在の陸上部の地位は落ちていました。

 

 そしてついに、陸上部はアメフト部によって廃部に陥ります。トガシは、自分を認めてれている葵を見捨てていいのか、これまでの葵の孤独な努力を無駄にしていいのかと考えます。自分の中の敗北の恐怖に打ち勝ち、トガシは陸上部に入部することを決めます。

 

 トガシが入学する前の年、陸上部はアメフト部に体育祭のリレーで負けていました。トガシは寺川にアメフト入部を断ると同時に、リレーの対決を申し込んだのです。しかもアメフト部が800mを8人で走るのに対して、陸上部は4人で走るというハンデを設けたのです。

 

 トガシは再び自信とやる気を取り戻しました。今度は自分のためだけではなく、仲間のためにと・・・。

 この部分はリレー経験者なら気持ちがよくわかるのではないでしょうか?陸上競技は個人競技で仲間は関係ないと思われがちですが、実際はそうでもありません。

 

 リレーは数センチ、コンマ一秒の繊細な調整が必要で、それだけ仲間の信頼関係が重要になってきます。仲間のためにと思えば、一人で挑む時の何倍もの力を発揮できるのです。

3巻で明らかになる神童と言われた者の苦悩

 トガシはリレーでアメフト部に勝つため、やる気のない貞弘を説得させます。貞弘はアメフト部にパシリにされたり、小ばかにされたりと、弱者癖がついて根性が腐りきっていました。しかしそんな貞弘にトガシは言います。

 

 「お願いしにきているわけじゃない。あんたらの人生変えてやるから黙ってついて来いと言ってんだ!」

 このセリフしびれます!完全に自信を持った強者にしか言えない言葉です。かっこよすぎます!

 

 トガシは次々と周り人たちの気持ちを変えていきます。そして最後は部長だけです。

 

 陸上部の部長はある問題を起こし、それ以降不登校になっていました。その部長は元陸上日本代表の息子で中学時代100m敵なしだった男です。

 

 そう、仁神です。仁神は中学3年の時怪我をして1年間休養していました。その1年がブランクとなり、才能は凡庸に、自信は不安に変わり果てていました。どんなに練習しても、どんなに努力をしても劣化を抑えることはできませんでした。

 

 仁神は高校年の時、帰宅部だった同級生が短距離の逸材であることに気づきます。そしてその男を陸上部に勧誘し、見る見るうちにその男は能力を上げていきました。確実にその時の仁神より速かったでしょう。

 

 仁神はその男に勝つことができれば自分の価値は保たれると考えました。そしてインターハイ地区予選。仁神はあまりのプレッシャーで、フライングにより失格となり、その男は1着という結果でした。

 

 仁神の父は仁神に失望し、人々は仁神から去っていきました。これが、勝ち続けた者の敗北という恐ろしさです。敗北した仁神はアメフト部から冷遇され、陸上部まで嫌われていきました。その結果次第に部員は辞めていき、残ったのは3人ということです。

 

 仁神は全て自分のせいだと自暴自棄になっていました。そしてアメフト部に馬鹿にされたことがトリガーとなり仁神の枷が外れます。アメフト部の顧問と生徒を次々と暴行したのです。仁神は自分自身を闇へと転落させたのでした。

 

 そんな仁神を闇から救おうとトガシが立ち上がります。トガシは仁神を100m走の勝負に誘います。結果はわかり切っていましたが、仁神は申し出に応じました。

 

 仁神は全てを100mに台無しにされ、走ることと人生を諦めていたはずでした。しかし、トガシと競うことで徐々に込み上げてきた感情があります。それは悔しさです。そして自分の今の状況を打破できるのは走ることしかないと仁神はトガシに気づかされるのでした。

 

 かつての神童は息を吹き返し、陸上部は全員揃いました。

 そして体育祭当日がやってきました。

 

 陸上部とアメフト部の対決が注目を浴びています。陸上部は自分たちのこれまでの努力を信じ、仲間を信じ、ハンデを負ってもアメフト部と対等に勝負しています。そしてアンカー対決。仁神は途中相手に追い越されますが、気持ちでラスト前へ出ます。

 

 そして、勝利したのです。

 仁神は自分自身を許すことができ、自信を取り戻しました。

 普通の選手なら、1年間怪我のブランクがあり、それに加え不登校にまでなっていたら生半可なメンタルでは立ち直れません。なので、復帰できた仁神は十分強い選手ですし、何より仁神を立ち上がらせたトガシは最高の救世主です。

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4巻で小宮が見せる100mへの異常な執着

 全国各地でインターハイ予選が行われている中、ある記録が陸上関係者に衝撃を与えました。とある高校1年生が叩き出した記録がインターハイの大会記録タイだったのです。

 

 インターハイまで勝ち上がったトガシと仁神はその高校生と久しぶりに出会うことになります。会場で出会ったその高校生は、小宮でした。小宮は中学3年間、陸上部に入らず一人で粛々とトレーニングを続けていたのです。

 

 そして高校を選ぶ際、陸上強豪校を選択しました。小宮は入学当初、陸上部では平均より少し速い程度でした。しかし徐々に頭角を現し、周りから期待されていたエースは小宮の存在を脅威に感じ始めます。敗北を恐れたエースは小宮に嫌がらせを始めました。

 

 インターハイ地区予選、小宮は命と同等とも言えるスパイクを壊されました。しかし、そんな嫌がらせを物ともせず、怒りにも似た感情で自分を奮い立たせます。

 

 「他人に補完されてどうする?僕にしか行けない世界を目指してたはずだろ!?」と小宮は内に叫び声を上げました。このシーンこそ、小宮の100mに対する執念を感じます。恐怖さえ覚える描写です。

 

 インターハイ決勝、ついにトガシと小宮の因縁の対決です。号砲が鳴り、中盤までトガシがリードしていました。すると足音が近づいてきて、小宮はトガシを抜きそのまま1着でゴールしました。

 

 小宮は初めてトガシに勝つことができ、トガシの無敗記録は破られたのでした。

 

5巻、真のライバル

 トガシと小宮の対決から10年後、小宮は日本のトップ選手になっていました。トガシはというと、なんとか企業の契約選手にはなれたものの、緩やかな右肩下がりの“普通”の選手でした。 

 

 トガシは、かつて自分に憧れを抱いていた後輩に負けても何とも思わないくらい、陸上に対する熱意も平凡になっていました。しかし、トガシは短距離界の最前線を走り続けてきた選手と出会い、走る意味を再び考えさせられることになります。

 

 そして自分自身で気づきます。今自分がすべきことは、どんな逆風でも、順位なんかに囚われず、全力で走ることだと。誰かの何かに繋がるかもしれないと、再びトガシは心を改めスタートラインに立つ覚悟をします。

 

 日本陸上まで1週間、トガシは気持ちに身体が追いつかず、肉離れをしてしまいます。勿論日本陸上はドクターストップです。このタイミングでの怪我は最悪です。普通の人なら諦めます。

 

 トガシも例外なく諦めようとします。追い打ちをかけるように、企業から日本陸上に出られなければ契約を切ると言われクビにされます。もう散々です。トガシは惨敗という現実を味わいます。

 

 トガシは100mにおいて全身全霊で勝負すること、評価されることは怖いと思っています。「憂鬱で不安で、心配で辟易して、焦りや悩みも絶えずとてつもなく嫌気がさす」と。

 

 しかし、極僅かな一瞬だけでもワクワクすると言います。その一瞬のためなら何度だって人生棒にふれると。現実を味わったからこそ見えた希望の光でした。

 

 「選手生命が絶たれたわけじゃない、来年がある」という考えはトガシには不要でした。トガシにとって生きるべきは今なのです。

 私も大きな怪我をしてドクターストップがかかった時、この先どうなってもいいから今を乗り切らないと後悔すると思い、試合に臨んだことがあります。

 

 怪我をしたのは自己管理ができていない自分のせいです。なので、周りになんと言われようと、自分で招いた失敗は自分で落とし前をつけたいと思ってしまうのです。

 

 日本陸上当日、トガシは小宮の前に真のライバルとして復活し、立ちはだかります。そして決勝前、2人は最後の会話を交わします。

 

 小宮はトガシに、僕らは一体何のために走っているんだと問います。トガシは「ガチになるため」とシンプルに答えます。しかしそこまで辿り着くまではシンプルではないのです。

 

 トガシは、人間の心理を脅かす様々な感情や摂理は、人間を絶えず不安にさせるけれど、その真理は人間が本気でいる時の“幸福感”を1ミリも奪えないと言います。

 

 記録を出したその先の虚しさは解決できないと言う小宮に対し、トガシはこの100mだけは、研ぎ澄まされて全てが煌めく世界の景色をみようと告げます。

 

  そして最後の10秒の勝負が始まります。

 最後は2人とも真のライバルとしてスタートし、ゴールしたでしょう。非常に熱いレースでした。最後どうなったのかはぜひ、あなたの目で確かめてみてください!

 

3.登場人物

引用元:まんが王国

トガシ

 元々足が速く、100mは敵なしだった。敗北や挫折を繰り返しながらも奮闘していく。走るだけの天才ではなく、100mに人生を懸ける天才でもあるかっこいい奴。

 

小宮(こみや)

 元々足は遅かったが、諦めず地道にトレーニングを積み重ね日本のトップまで上り詰めた努力の天才。しかし走る理由に関しては性格そのもので、超ネガティブな暗い奴。

 

仁神武(にがみ たける)

 元陸上短距離日本代表の息子であり、中学まで100m無敗の神童だった。怪我によるブランクで自暴自棄になるがトガシと陸上部の仲間に救われる。キレると怖いけど、本当は超真面目で優しいリーダー。

 

寺川(てらかわ)

 仁神と同級生のアメフト部エース。嫌がらせをしたり、悪知恵が働く一番の厄介者。

 

浅草葵(あさくさ あおい)

 トガシの先輩で陸上部で唯一の女性。一人でも黙々とトレーニングを続けていた。嫌がらせをされてもそれを逆にパワーに変える超ポジティブな女の子。

 

貞弘総一(さだひろ そういち)

 トガシの先輩でアメフト部にパシリにされていた。トガシに諭されアメフト部に反抗するようになった。外見も中身も弱々しいけど、本気を出せばかっこいい頼れる先輩。

 

4.ひゃくえむ。 感想

引用元:まんが王国

天才と努力家それぞれの苦悩をリアルに表現

 ここからは、陸上経験者の私の目線での考えも盛り込んでいきたいと思います! 

 

 天才と呼ばれる人には天才の、凡人と呼ばれる人には凡人の苦悩があります。

 負け知らずの天才にも、敗北の瞬間は必ず訪れます。その理由は怪我かもしれないし、モチベーションの低下かもしれないし、体力の衰えかもしれません。

 

 どんな世界でも同じことが言えるかもしれませんが、勝ったらその名誉とともに、勝ち続けなければいけないというプレッシャーも背負うことになります。常に敗北の影に追われ、その不安とプレッシャーに押しつぶされないよう強い気持ちを保たなければならないのです。

 

 そして敗北した時には、わかっていてもそれまで自分を見てくれていた人たちが減っていくことを痛感します。そこで諦めるか、這い上がるかはそれこそ自分の気持ち次第なのです。

 

 一方凡人と呼ばれる人は、誰にも期待されない孤独感に耐えながら、どんなことがあっても自分の能力を信じ続けることが必要になります。怪我をして敗北したからと言って世界は何も変わりません。

 

 そんな状況でも目先のことではなく、勝ちたいならそのずっと先の遠くを見つめて気持ちを作らなければいけません。

 

 この漫画には、私が陸上人生を歩んできて感じてきたことや、忘れていたこと、そして新たに気づかされたことがたくさん詰め込まれていました。それだけこの漫画は、きっと誰の胸にも響くよう、リアルに心情が表現されています。

 

スポーツだけでなく“生き方”に通用する物語

 記事の冒頭でも書きましたが、この漫画の魅力は、元々才能のある者が挫折から立ち上がっていく様子が多く散りばめられている点です。トガシは何度も挫折を味わい、その度に様々な人と出会い、心が成長していきます。

 

 他人から影響され、時に他人に影響を与え、周りと支え合う描写がたくさんあります。この漫画は100mの技術的な部分ではなく、100mに挑む者たちの心情を描き出しています。

 

 スポーツだけでなく、何事にも必ず取り組む姿勢が大切になってきます。学生であればそれこそ部活、習い事、勉強、社会人であれば仕事でも共通していると思います。調子の良い時もあれば悪い時もあるでしょう。

 

 困難にぶつかり一人ではどうにもならない時もあると思います。この漫画はそのような、人間誰しもが経験するような出来事をリアルに表現し、読者の考えや生き方を改め直してくれます。

 

 この記事には書ききれませんでしたが、トガシが出会った人たちは色んな名言を残しています。特にトガシと同じ会社のベテラン選手の話は胸を打たれました。ぜひチェックしてみてください!

 

5.まとめ

引用元:まんが王国

 トガシと小宮の10年以上にも及ぶ勝負はとても熱かったです!この2人以外にも魅力的なキャラクターたちが登場しますが、読んでいる自分が言われているんじゃないかと思うくらいリアルな名言が多かったですね。

 

 舞台は陸上100mの世界ですが、陸上競技に興味のない人でも必ず楽しめるくらい、人間の心情をテーマにした作品になっています。勿論、陸上競技やスポーツの経験者は、より感情移入できて楽しめるかもしれません。

 

 スポーツが好きな人は勿論、何かに行き詰っている人、壁にぶち当たってもがいている人にはぜひこの『ひゃくえむ。』を読んでいただきたいです!後悔はさせません!

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