いきなり挑発的なタイトルになってしまいましたが、本当にそう思います。
内容が深い。考察すればするほど味が出る。まるでするめのような映画でした。
”響”という人物のおかげで、当たり前と思っていた世界も「いや、違うんじゃないかな?」と見直すことができました。
【響HIBIKI】という映画の感想を片っ端から見てみましたが、「つまらない!」「内容がひどい!」「演技が・・・!」「大コケ!」などなど・・・。
正直それを見たとき、「嘘やん!」と思いました。
もちろん褒める内容のものもありました!
少なくとも私は後者で、とても良い作品だと思います!
面白い棚とつまらない棚があれば、間違いなく面白い棚に私は入れますね!
ぱっと見は、高校生が思ったことを世間にぶつける、その手段の一つが小説だ。小説家は世の中に何か言いたい人たちなんだ。
と言うのが伝わる作品という印象でしたが、この映画自体が、世の中に物申している作品なのでは?と言う結論に至りました。うん。一つ一つが刺さりました。
一度見て「つまらんなぁ」と思った方、この記事を読んでもう一回見てみてください。
印象、変わりますよ?
引用元:「響-HIBIKI-」公式Twitter
こちらの作品が世に出る少し前、私は撮影の裏側を特集したあるバラエティー番組を見ていました。
主人公・鮎喰響(あくいひびき)を演じる平手友梨奈さんの演技力や、アクションなどの裏話を見て私は「観たい!ぜひ観たい!」
と、思ったのですが、一人で映画に行くことが気恥ずかしいのと、周りからの目がとても気になっていました。
当時私のファッションセンスは壊滅的で友人はもちろん、家族からも心配される始末。
そんなこんなで当時映画館に行くことができず観られなかったのですが、ふと最近友人から勧められて観てみたらまぁ!びっくり(笑)
映画館で見たかったなぁ。と思いました。
当時の自分に響ちゃんの言葉を借りて、言ってあげたいですね。
「誰にどう思われてもいい。自分がやりたいからやる。」
と。
というわけで、長くなりましたが、アラサーの私が15歳の少女から学んだことを紹介していきたいと思います!
引用元:東宝MOVIEチャンネルより
名探偵コナンが大好きなアラサーで、コナン検定1級持ってます。
最近は本ではシャーロックホームズを、アニメはコナンもさることながらユーリ!!!on ICE、うらみちおにいさん等を観ています。
現実世界に耐えられなくなると、漫画やアニメ、音ゲーや本の世界に旅立っています。
最近の悩みは、ある(アニメの)アイドルに本気で恋をしてしまい、その人が人でなかったことにショックを受け、心の整理がつけられない事です。
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目次
考察 「仕方ない」「そういうもの」そんな言葉でねじ伏せられた世の中のおかしなところ【ネタバレあり】
暴力は良くない?響の特性
「あの子はおかしい。普通じゃない」
「でも間違いなく天才です。」
「立ち位置だけでも全然変わるのね。こういう世界もあるんだ」
この作品はこの3つの言葉に集約されていると感じます。
この映画では暴力シーンが幾度となく現れます。暴力、良くないですよね。私も痛いのは嫌です。
理由がはっきりしていたとしても完全に相手が悪いとしても、手を上げてはいけない。したくなる気持ちはわかりますけどね。
言葉が達者な鮎喰響(あくいひびき/主人公で女子高生)でも暴力をふるってしまう。ただ、暴力をふるったことで、相手と対等に話ができている、ともとれるんですよねぇ。
女で高校生。というだけで立場的に下に見られてしまいますし、いくら口が達者でも立場的には弱い。
だからこそ、その立場を埋めるために「暴力」という道具を使ったのではないかなと思いました。因みにケンカの相手は年上の男性だったり、ヤンキーだったり、年上の先輩だったり。
そして、響は、衝動的に手を出している、というよりは割と落ち着いて手を出してるようにも見えるのです。
感覚的には
に近い印象を私は受けました。
そして、響は売られたケンカは買い、相手に対してもそれを求める姿も見られます。(殴るんなら殴りなさいよ等。それでも相手も実際に殴ったりはしませんでしたが。)
そんなところを見ていると、殴らなければ対等になれない社会に一石を投じているのかもしれないなと感じたりもしました。
また別件になるのですが、響の行動についてです。現実世界でいえば響ちゃんの行動は異常行動です。でも多分、こういう衝動は幼いころからもおそらくあったのではないかなとも思います。
この響の異常行動を環境が受け入れられるかどうか、ここが他の人とは違う変わった人を作り出すかどうかだと思うのです。
例えばですよ?私はよく思うのですが、アニメの中では良く遅刻してくる部活のメンバーがいたり、よく眠っているクラスメイトがいたりします。
アニメの世界では「もぉ~仕方ないなぁ。」で終わるんです。
でも、現実世界では絶対に受け入れられない。
何度も繰り返せば嫌がられるし、怒られるし、迷惑な人、面倒な人、変な人という烙印を押されます。
※今後こう言った方を総称して変わった人と書いていきます。
とまぁかなり極端な例でしたが、受け入れる人や環境に余裕があればちょっと変わった人も、個性があっていいな。と受け入れられるんじゃないかなぁと思うんですよねぇ。
響でもこれは垣間見ることができるのですが、響ちゃんは文芸部の部室で本棚を倒すという異常行動をします。
ですが、部長の祖父江凛夏(そぶえりか/高校2年生、文芸部部長で父親は有名小説家)
※この記事では祖父江凛夏のことをリカと表記します。
はこれを否定することなくうまく受け入れ、部員として迎えます。(部員を集める仕事を任せます。)
引用元:映画.com
その後この二人はケンカをするのですが今までの他の方とのケンカと違い、かなり対等に戦っています。
響も部員たちを決して力でねじ伏せているわけではないです。なので文芸部の中では響は「個性的な人」でいられるのです。
ですが一歩大人の世界に入っていくと響を取り巻く環境は一変します。
作品の良さよりも世間体ばかり気にする編集長、自分のほうが立場が上だと平気で罵倒しプライベートまで土足で踏み込む大人・・・。
相手が明らかに悪いのに暴力をふるったということで批判され、マスコミからも追われる。大人の世界の響は「危ない人」になってしまいます。(最後響は暴力ではないのですが、警察に捕まります。)
ちなみに響の態度は誰を前にしても変わることはありませんでした。
なので、響が人によって態度を変えたから周りの反応が変わったのではなく、周りの対応や反応で、環境で、響の扱いが変わったのです。
一つ上の文芸部の先輩の小指を曲げるシーンの時に響は
「立ち位置だけでも全然変わるのね。こういう世界もあるんだ」
と言います。まさにそういうことじゃないかな?と思いました。
危ない人を作っているのはその人を取り巻く環境かもしれませんね。
痛いところをついてくる。自分の行動に責任を持つ
これが描かれているのは、同じ文芸部で芥川賞候補と言われているリカとの会話です。
リカの書いた「四季降る塔」はノミネートされませんでしたが、片や響の書いた作品「お伽の庭」は芥川賞直木賞共にダブルノミネートされていました。
1か月前に響がリカの作品について感想を伝えた結果、発表日まで絶交することになってしまいましたが、発表当日、仲直りしようとリカの家を響が訪れます。
無事仲直りができると響はリカの作品のつまらなかった理由を伝えます。
それを聞いたリカは、
- 何度も修正しているうちに自分の書きたいことが見えなくなった。
- ただ、一日に四季のある国を書いてみたかったが、ふみちゃん(担当の編集者、花井ふみ)がそれじゃドラマがないから外の世界も作ることになって・・・。
- 最初に私が考えていたのと全然違う話になっていた・・・。
これに対して響はリカに寄り添うような態度をとります。しかし発せられた言葉はなかなか辛辣なものでした。
ふみはつまらない小説を書けって言ったの?
リカがダメ出しに納得して書いた結果、つまらなかったのなら、それは書いたリカの責任でしょ。
人のせいにしちゃいけない。
うん。そうだよ響ちゃん。響ちゃんの言う通りだよ。
てっきり私は響ちゃんがリカに同情するもんと思っていたよ。
甘ちゃんでした。
自分のやったことの責任、人のせいにしちゃいけない。それがどんだけ無理やりだったとしても。
しかし、痛いなぁ。刺さるなぁ。響ちゃんの言葉は(涙)
自分がされたらやなことを平気で人にやる大人
日中、カメラを携え響の前に現れた一人の記者。
実は少し前、響が小説を送った出版社の文芸雑誌、「木蓮(もくれん)」の新人賞の授賞式が行われました。
響と同時に受賞した相手がいましたが、響は授賞式中にその相手をパイプ椅子で殴ってしまう、という事件が起こります。
その時その場にいた記者なのですが、自己紹介もそこそこに様々な質問をぶつけます。
「小説を書き始めたきっかけは?」「彼氏いますか?」「女子高生なのに彼氏いないの?」
引用元:「響-HIBIKI-」公式Twitter
響から、自分のことを好き勝手書かれたくない、今撮った写真を全部消してと言われたにもかかわらず・・・。
結局響にカメラを奪われ、道路に投げられ、たまたま通りかかったトラックにカメラはひかれてしまいました。
その後記者が自宅に帰ってくると、その背後に響が!
響は鍵を開けて中に入ろうとする記者の背中を押し蹴り中に入ります。
中に入ると響は写真を見つけ「これ息子さん?・・・ゆうた君?どこに住んでるの?」
という響に対して記者は「子どもは関係ないだろ?」
響「私だってお父さんとお母さんの子どもよ。」
響は私のことは記事にしないでとお願いしに来たのです。
これに対し記者は「何書かれてもいいじゃないか!気づいたら天才だった。才能のないやつにひがまれるのもねたまれるのも天才の役割だろ?」なんていいます。
が、響ちゃんの圧に負け、もう書かないと約束します。
しかし、そんな響に対し、「もう君は逃げられない」と伝えます。
このシーン、個人的にめちゃめちゃ怖かったです。別に何をするってわけじゃないんですが、じわじわ来る恐怖というのでしょうか?ついいろいろな妄想をしてしまいました。
また、正直、この記者が言ったこと、思ってたりしませんか?どうせ有名になるのは才能持った人なんだろうな。羨ましいな。自分にもそんな才能があれば・・・。
という考えから才能のある人に対して冷たくあたってみたり、少しでも弱みを見つけるとそこをつついてみたり・・・。なんか、人間の弱いところを見せられた気分になりました。
なぜでしょうね?立場が変わると平気で人を傷つけてしまうのは。
なぜ謝るの?
響が家に帰ると、先日のパイプ椅子事件のせいで沢山のマスコミに家を囲まれていました。
引用元:「響-HIBIKI-」公式Twitter
その場には響とリカの担当編集者の花井ふみもいました。「こうなった以上は記者会見を開いて謝罪しましょう。」
響「どうして謝らなきゃいけないの?本人には謝罪したのよ?どうして世の中に謝罪しなきゃいけないの?」
確かになぁ。子どものケンカであれば、お互い許せばOKだったのが、大きくなればなるほど周りを巻き込んでしまう。
社長同士がけんかをすれば会社同士の対立になってしまうし、国同士のけんかであれば戦争になる。
ごめんなさい。で許せる環境って子どもだけなんでしょうか?
自分はどうしたい?
これは作中何度か問いかけられます。特に記者に対してが顕著ですね。
人の話はいいからあなたの考えを教えて。
といった響に対し、やはり世論で答えてしまう記者。
「また誰かの話をしてる・・・」
この言葉を聞いたとき、
どうしてもその場の空気を読んで、みんながBの意見に傾いてるからそっちの意見がよさそう。とか、世間体的にAが正解っぽいからそれっぽく理由つけよう。とか。
こうしたいからこれがいい!って言ったのはどれくらい前だろう・・・?なんて考えていました。
芥川賞、直木賞ダブル受賞した授賞式会場で、質疑応答が行われたのですが、例の響から自宅に押し掛けられた記者から、「あなたは筆を折るべきだ」と言われます。
それに対し、響は「誰から何と言われても、書きたいものがある限り書き続ける。わたしはそうありたい。」と答えます。
あぁ、なんて強く、まっすぐな子なんだろうって。
そういう考え方だから、どんなにすごいことをしても鼻にかけないし、賞をとっても調子に乗ることもなく、賞に執着していないんだと思いました。
芥川賞、直木賞の作品候補が発表された日、そしてその日は絶交していたリカとの仲直りの日でした。
響は結果も見ずに、学校が終わるとすぐに学校を休んでいたリカに会いに行きました。
響はリカに会うまで、自分の作品がノミネートされていたことを知りませんでした。そんなことより友人との仲直りのほうが響にとって大事だったのです。
ぶっちゃけ芥川賞と直木賞ダブルノミネートされていれば誰だってどうなるのか気になりませんか?自分の作品どうだったんだろう?選ばれたかなぁ・・・。
そもそも響は賞を取りたくて小説「お伽の庭」を執筆し、出版社に送ったわけではありません。自分の書いた作品が「面白いか、つまらないか」それを誰かに読んでもらって評価を聞きたかっただけなのです。
響はそれで十分だったのです。
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映画【響HIBIKI】を見る時の注意点
大人だからこその目線を捨ててみることをお勧めします。
この時間だけ現実世界を捨てて、自分がもっと幼い頃の立場に立ってみてみると面白いと思います。
大人目線が入ってしまうと途端に面白くなくなりますし、現実的には無理でしょ?と興醒め感が出てしまうからです。
目線としては、大人の自分を幼い頃の自分が見てるような感覚で見ると楽しめるかなと思います!
多分、多くの方が響ちゃんと同じような気持ちでいたことがあると思います。
まとめ
私が噛んで味わったするめ(映画【響-HIBIKI-】)の味を感じていただけたでしょうか?
映画【響-HIBIKI-】の中で私が感じた、この映画が世の中に訴えたかったことを映画で描かれたシーンを交えながらお伝えしていきました。
正直グサグサ刺さりました。めっちゃ心痛いです。記者会見のシーンなども「いや謝らな!」って思ってたんですが、響ちゃんから言わせればうん。確かにそういわれればなんで謝らないといけないんだろう?って思いました。
確かに謝ったほうが体裁はいいですし、逆に謝らなかったら後からめちゃめちゃマスコミから叩かれそうですよね。
でも本人同士は納得してるんだからもういいじゃん。って言われば、他人が入ることもないなと。
また、「異常な(自分のあたりまえとは違う)人」をその人の周りの環境の受け入れ方次第で、同じ人物であるにも関わらず、その人を取り巻く環境によって「個性的な人」になったり「危険な人」になったりします。
【響-HIBIKI-】では、そこをわかりやすく表現していたと感じます。ありますよね。学校でいじめられていたり、前の職場で人間関係が合わなかったけど、引っ越したり、転職したおかげで救われること。
また、様々な立場の違いから、認められたりひがまれたり・・・
【響-HIBIKI-】は見る角度が変わるとまた違った味を楽しむことができは作品だなと思いました。
こちらを最後まで読んでいただいた方、騙されたと思って是非一度見てみてください。
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