『寄生獣』
漫画好きであれば誰もが知っているであろう名作漫画。
岩明均による日本の漫画で、モーニングオープン増刊にてF号(1988年)からH号(1989年)まで全3話の中編作品として連載された後、続きの第4話以降が月刊アフタヌーンに1990年1月号から1995年2月号にかけて連載されました。
コミックスは全10巻が刊行され、その後2014年に”寄生獣 セイの格率”としてアニメ化もされています。
また2部構成の実写映画作品として第1部が“寄生獣”のタイトルで2014年に公開され、第2部“寄生獣 完結編”が2015年に公開されるなど数多くメディア化されるなど根強い人気を誇っているのです。
連載そのものは20年以上前に完結しているのですが、
未だにメディアミックスされ、今の世代にも読まれ続けています。
この作品の魅力は斬新なストーリーとグロテスクな描写など読者を惹きつける魅力があることはもちろん、作中でのセリフが現代社会の本質を突いており、単なる漫画としての味わいを超えている部分にもあるのではないでしょうか。
今回はそんな『寄生獣』から生まれた名言について、元古本屋店長で新旧問わずあらゆる漫画を読んできた私が独自の視点で考察していきたいと思います。
※以下ネタバレを含みますのでご注意ください。
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目次
<あらすじ>
引用:まんが王国
ある日突然、空から人知れず多数の正体不明の生物が飛来。
その生物は鼻腔や耳孔から人間の頭に侵入し、脳を含めた頭部全体と置き換わる形で寄生して全身を支配し、他の人間を捕食するという性質を持っていました。
自在に変形する寄生後の頭部はもはや人間のそれではなく、刃物のように鋭くもなり、鞭のようにしなやかにもなり、数名以上の人間あるいは猛獣(ライオン)ですら一瞬で葬り去ります。
頭部は普段は人間そっくりに擬態していますが、捕食時には全体が大きな口のようになるのが特徴。彼らパラサイト(寄生生物)は高い学習能力で急速に知識や言葉を獲得し、人間社会に紛れ込んでいきます。
ある日平凡な高校生であった泉新一は、1匹のパラサイトに襲撃・寄生されてしまいます。
何とか頭部への侵入(脳の乗っ取り)は免れるのですが、パラサイトは新一の右腕に寄生し、右手と置き換わり、新一とパラサイトであるミギーは様々な事件に巻き込まれるのでした。
以上が『寄生獣』の簡単なあらすじになります。
“地球以外の惑星から新生物が地球を支配しに来る”というお話ではあるのですが、
その生物自体は形を成しておらず、人に寄生することで人間同士の戦いになってしまう点が特徴です。
人の形をした新生物が強力な力で人間を襲う為、人間は一度襲われたら確実に殺されます。
そして寄生獣は人間を食料としますので殺された後は食べられます。
この【人を食べる描写】がめちゃくちゃグロイです。
私がこの漫画を初めて読んだのは未だ10代の頃でした。
その頃はただただ「うわ、グロイなあ」という程度しか思っておらず、
しかしながら、ストーリーはとても面白かったので一気読みした記憶があります。
あれから20年。
今、改めて読むとグロ描写だけでなく、登場人物の一人である“ミギー”の言葉が今の世の中の本質を突いているようでびっくりさせられました。
ではまずは登場人物から紹介します。
<登場人物>
迷える主人公
泉 新一(いずみ しんいち)
本作の主人公。
ごく平凡な高校生でしたが、右手に宿ったパラサイト、“ミギー”により数奇な運命を辿ることになります。
ミギーとの共生は、パラサイトを探知する能力と同時に探知される役目も果たし、このためもあって人間と寄生生物との中間者としてパラサイトに関する一連の事件に巻き込まれる羽目になるのでした。
また自身の安全のみを考えるミギーの意向に逆らうわけにもいかず、家族や親しい友人に己の境遇を明かすことのできないジレンマを抱え、物語の終盤までそれに苦しむこともなります。
ミギーとの出会い、母親の死、学友の虐殺など、数々の悲劇や救いの経験を通じて次第に命に対する価値観や死生観を変化させ、紆余曲折を経て成長していく、そんな悲劇のヒーローでもあるのでした。
本作においてもっとも人間らしい人間です。
寄生生物はあくまで合理的な考えで行動しており、人の考えには共感できません。
そんな中、自身は半分が寄生生物、もう半分は人間として体も心もバランスが上手く取れず揺らいでいく様がとても人間らしいです。
頼れる寄生生物
ミギー
新一に寄生したパラサイト。
ベッドに横たわりヘッドホンで音楽を聴いていた新一の耳から侵入できず、鼻孔から侵入を図るが失敗。
その後、目を覚ました新一の右手に突き刺さるようにして侵入し脳を目指すが、新一が自身の上腕をコードできつく縛り上げ阻止したため、そのまま右腕に寄生をするのでした。
寄生当初は他のパラサイトと同じく感情に乏しく、宿主と自分以外の生死には極めて冷淡かつ淡白で、人間を盾にし敵と戦う策を練るなど、人間社会の常識に外れる思考から、新一との間には大きな意識の乖離がありました。
その後、共存関係にある新一に対して徐々に感情に近いものを理解するようになっていき、徐々に互いを信頼し合えるようになります。
最終的にはミギー自身の持ち前の好奇心から別世界へと旅立つことを決意し、新一に一方的に別れを告げた上で無期限の眠りにつくのでした。
この最後のシーンで涙したのは私だけではないはず。
最初は主人公の体をのっとろうとする人類の敵でした。
しかし、人間である新一と行動することにより、徐々に人間が持つ感情や思考が少しずつ
理解できるようになり、最後まで新一の味方でいてくれる頼もしい相棒になるのです。
今回の記事ではこの“ミギー”が放った名言3選をご紹介したいと思います。
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<名言①「そりゃ人間がそれだけヒマな動物だからさ だがな、それこそが人間の最大の取り柄なんだ 心にヒマ(余裕)がある生物、なんと素晴らしい」
【名言が生まれた背景】
パラサイト後藤との戦いから一年が経過したある日。
ミギーは「別の方角へ歩く」と言い残し長い眠りについています。
そんな時、殺人鬼浦上が主人公泉新一の前へ姿を現し、彼女である村野里美を拉致するのです。浦上は村野里美をビルの屋上へと連れて行き、泉新一はその後を追いかけ屋上で浦上と対峙します。
浦上の突きつけたナイフを見て新一は村野里美を助けるために突進しますが、彼女は屋上から落ちてしまうのでした。
泣き崩れる新一の頭の中にミギーが現れ、語りかける、
そこで放たれた一言です。
【考察】
作中での会話はこうです。
「道で出会って知り合いになった生き物がふと見ると死んでいた」
「そんな時なんで悲しくなるんだろう」
「そりゃ人間がヒマな動物だからさ」
「だがな それこそが人間の最大の取り柄なんだ」
「心にヒマ(余裕)がある生物 なんとすばらしい!!」
寄生生物であるミギーが人間を褒めることはありません。
ですが、唯一最終話でミギーが人間を褒めた、その時のセリフがこれです。
これは人間の中に芽生える“情”を表現しているのではないでしょうか。
現実世界でもそうです。
戦争や事故や感染症など今もあらゆる場所で人がなくなっています。
私たちはそれを数でしか見ません。
でも、その中に自分の知り合いがいたとしたら・・・
人は悲しみの感情が芽生え、涙するのではないでしょうか。
ミギーはその現象を“人間の心にはヒマがあるからだ”と説いたのです。
確かにそうだなと考えさせられました。
もし動物が同じ種族が殺さるのを見て涙していたら、
それはそれで恐ろしいと私は思ったからです。
“人って何?”を考えさせられる名言でした。
<名言②わからん……尊いのは自分の命だけだ…… わたしはわたしの命以外を大事に考えたことはない>
【名言が生まれた背景】
人間に寄生した寄生生物が人間を捕食していることに気づき、自分の立場に悩む新一にミギーは「同種が食われるのがそんなにイヤか?」と問いかけます。
新一は「人の命は尊いのだから当然だ」と反論するが、その反論に対してのミギーの返答が本セリフです。
【考察】
“人の命は尊いですか?”と問われたら皆さんはなんと答えますか?
もちろん“はい”だと思いますが、
では“何故、人の命は尊いのですか?”と聞かれたらなんて答えますか?
寄生生物であるミギーにはそもそも同種の命が尊いという意識がありません。
だからこそ素直な気持ちで発した言葉ではないでしょうか。
ミギーでなくても構いません。
小さな子供が素直な気持ちでこう質問してきた時、
あなたならなんと答えますか?
是非コミックスを読んで考える機会にしてみて下さい。
<名言③シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……いちばんそれに近い生物は やはり人間だと思うぞ…… 人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているが わたしの『仲間』たちが食うのは ほんの1~2種類だ……質素なものさ>
【名言が生まれた背景】
まだミギーが新一の身体に寄生した当初、
ミギーは言葉や人間界の知識を学ぶために新一が寝た後もずっと辞書や百科事典を読み漁っていました。
そんな中、自身の正体を明かそうする新一に対してミギーは、
「命を取らずとも口をふさぐ方法はいくらでもある」と脅します。
新一はミギーを「悪魔」と罵るのですが、ミギーはこのセリフで返します。
それに対して、新一は何も言い返すことができなかった、という場面です。
【考察】
『寄生獣』の数ある名言の中でも特に有名なのがこれではないでしょうか。
この漫画の基本的な構図は“人間 VS 寄生生物”であり、
寄生生物はあくまで敵側の存在です。
そんな中、寄生生物であるミギーが放ったのがこのセリフです。
「人間こそが悪魔なのではないのか?」
冷静に考えると確かにそうかもしれないと思わされました。
人間は生きるために様々な生物を殺して食べて生きています。
自分の手は汚さなくても誰かが殺してくれた生き物を食べているのです。
今のこの現状を他の生物が見た時、
人間のことを悪魔だと呼ぶのも無理はないかもしれません。
ですが、名言②にあるように人は自分以外の命も尊いと思える生物です。
だからこそ生き物を食べる際に「いただきます」と言い、食べた後に「ごちそうさまでした」というのではないでしょうか。
ミギーに言われっぱなしなのではなく、人間が人間らしく生きるために何をすべきか、考えてみる機会になるセリフかもしれませんね。
<まとめ>
如何でしたでしょうか?
ちょっと難しい話になってしまいましたが、
『寄生獣』という漫画そのものは難解な物語ではありません。
誰でもすっと読めるシンプルなお話ですので、まずは読んでみてください。
では最後に名言と私が考えるミギーからの投げかけをまとめます。
名言①
「そりゃ人間がそれだけヒマな動物だからさ だがな、それこそが人間の最大の取り柄なんだ 心にヒマ(余裕)がある生物、なんと素晴らしい」
ミギーからの投げかけ:
「人間には他の生物にはない“情”を持っている。その情を大切にして生きるって素晴らしいことなんだよ。あなたはその事に気付いてる?」
名言②
「わからん……尊いのは自分の命だけだ…… わたしはわたしの命以外を大事に考えたことはない」
ミギーからの投げかけ:
「人もそれ以外の生物の命の価値は同じ。じゃあ何故、人の命は尊いと思うの?」
名言③
「シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……いちばんそれに近い生物は やはり人間だと思うぞ…… 人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているが わたしの『仲間』たちが食うのは ほんの1~2種類だ……質素なものさ」
ミギーからの投げかけ:
「人間は人間以外のあらゆる生物を殺して食べている。そんな残酷なことをする者は悪魔だと言える。あなたはそう思いませんか?」
これらはあくまで私の考察であり、
解釈が間違っている部分もあるかと思います。
もし作中でこれらのセリフに出会ったとき、そっと私の記事を思い出してくれると幸いです。
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