キュートでポップなサイコ映画「ハッピーボイスキラー」ネタバレあらすじ!

出典:映画.com

“キュートでポップで首チョンパ!”・・・そんな、なんだか物騒なキャッチコピーの映画「ハッピーボイスキラー」は、2014年に公開されたアメリカの映画です。

主演のライアン・レイノルズは、マーベルの人気シリーズ「デッドプール」や2021年5月に日本で公開予定の映画「フリーガイ」でも主演を務めるなど、今注目度No.1の俳優です。

喋る犬と喋る猫と、喋る生首との奇妙な生活…精神病患者が見ている世界をポップでキュートに、少しダークに、そしてコミカルに描いたこの作品。あらすじをネタバレありで紹介していきます。


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あらすじ

出典:映画.com

ミステリアスな青年ジェリーの秘密

アメリカの片田舎にあるミルトン社。バスタブ製造の作業員は全員ピンクのツナギを着ています。その中の一人、ジェリーはなんだか掴みどころのない青年です。

ある日ジェリーは上司から、会社のパーティーの準備係を頼まれます。最初は嫌そうな反応をしますが、可愛い女子社員のフィオナも準備係だと聞いた瞬間「やります!」と答えるジェリー。

帰宅したジェリーを、犬のボスコと猫のMr.ウィスカーズが迎えます。ジェリーが明日の準備をしていると、誰かが話しかけてきました。

「タダでパーティーの準備の手伝いなんて」「みんなお前のダメっぷりを面白がってる」と酷い言葉をかけてきます。ジェリーはボスコを撫でながら「黙れ!」と誰かに怒鳴りました。

ジェリーは精神科医のウォーレン博士の元で、カウンセリングに通っています。薬を飲んでいるかときかれ、曖昧に答えるジェリー。声は聞こえるかといわれ、母は聞こえてたと話を逸らします。

ジェリーの母親は天使の声が聞こえると言っていました。ウォーレン博士はジェリーの母親のことを、天使の声というのは自分を納得させるための言い訳で、正気を保とうと必死だったと話します。

会社のパーティ当日。皆でコンガラインを踊り、フィオナの姿に見惚れたジェリー。気分上々で家に帰ると「お前は彼女に嫌われている。」とMr.ウィスカーズに言われました。

ボスコがMr.ウィスカーズを叱りますが、構わず「お前はダサすぎる」と罵倒してきます。呆れたボスコはジェリーに「散歩に行こう」と言います。汚い言葉で下品な発言をするMr.ウィスカーズを置いて、ジェリーとボスコは散歩に出かけました。

翌日仕事終わり、ジェリーはフィオナがいる経理部へいきます。「パーティーの準備の時に、君が遊びに来いって」と言いますが、フィオナは「覚えてない」と困った反応をします。

すると売掛係のリサに、これから飲み会に一緒に来ないかと誘われ、ジェリーは飲み会に参加します。

飲み会が終わり、ジェリーはフィオナを乗せて車を走らせます。そして半ば強引に、金曜日の仕事終わりに一緒にディナーへ行く約束をしました。

金曜日ジェリーが経理部へいくと、リサとその同僚のアリソンがいました。フィオナは席を外していると言うので、予約したお店の住所をフィオナに渡すようにリサに頼んでジェリーは自分の部署へ戻っていきました。

ジェリーがいなくなったのを確認するとデスクの下に身を潜めていたフィオナが顔を出しました。アリソンが「今日はカラオケの約束でしょ?」というとフィオナは「そうだった、すっぽかそう」と言ってジェリーとの約束は留守電を入れて断ることにします。

デートをすっぽかされたジェリー。そして待ち受ける運命

夜、フィオナとリサとアリソンがカラオケで大いに盛り上がる中、ジェリーは約束のお店でひとりフィオナを待っています。しかし、待てど暮らせどフィオナはきません。テーブルの金魚と「すっぽかされたね」と会話をするジェリー。

閉店の時間になってしまい、天気も大荒れの中とぼとぼと帰路につきました。その頃フィオナ達も解散しますが、フィオナの車はガス欠で動かなくなってしまいます。困り果ててヒッチハイクをしようと道路に出ると、偶然ジェリーの車が通りかかりました。

ずぶ濡れのフィオナを車にのせ、フィオナの誘いで町外れのバーガー店にいくことになります。その店に向かって車を走らせている最中、ジェリーの目にはずぶ濡れのフィオナが天使のように見えていました。

目的のお店まであと少し、雑談をしながら森の中を走っているとハンドル操作を誤ってしまい、鹿を轢いてしまいます。フロントガラスを突き破り、ぐったりしている鹿はジェリーに「殺してくれ、ナイフで喉を切れ」と訴えかけます。

ジェリーは「手伝うよ」と鹿の言葉に応答し、困惑するフィオナをよそにジェリーは車内にあったナイフで鹿の首を切りました。フィオナは鹿から吹き出る血に絶叫し、車から出て逃げます。

「迷子になるよ」「鹿に頼まれたんだ」そう言いながらジェリーは、ナイフをもったままフィオナを追いかけました。そして、転んだ拍子にナイフがフィオナに刺さってしまいます。

口から血を吐きながら苦しむフィオナ。ジェリーは悲しみ泣きながら「痛い?苦しい?」と聞くとフィオナの心臓にナイフを突き立てました。そして涙を流し「ごめん、ごめん」といいながら何度も何度もフィオナを刺し、最後にジェリーは恍惚の笑みを浮かべます。

家に帰ったジェリーはボスコとMr.ウィスカーズに相談しました。ボスコには「警察に行って事情を説明しろ。」といわれますが、Mr.ウィスカーズの口車に乗せられたジェリーは、現場に置き去りにした死体を持って帰ってくることにしました。

そしてフィオナの死体をバラバラに解体し、小さなタッパに小分けにしました。頭だけを冷蔵庫にいれ、ジェリーはうなだれます。そして近くにおいてあった薬を手に取ります。

「友達をなくしたくなきゃ飲むな。」とMr.ウィスカーズ。「それを飲んだら暗くて孤独な世界に迷い込むぞ。」と言われ、一旦薬をしまってしまいます。しかしそのとき、冷蔵庫の中からジェリーを呼ぶ声が聞こえてきました。

冷蔵庫をあけると、生首のフィオナが怒っています。「薬を飲みなさい、この役立たず!」と罵られ、慌てて薬を飲みました。

ソファでうたた寝しているジェリーは、夢を見ていました。それは子供の頃の出来事。義父がジェリーに怒鳴っています。ジェリーは大切にしている靴下人形のウサギザルをとられたくありません。しかし義父は「ウサギザルはただの靴下だ」と怒鳴ります。

「頑張れ、ジェリー。ボクと一緒にいて」とウサギザルはジェリーに声をかけます。ジェリーがウサギザルは友達だと言い張っていると「おまえなんか生まれなきゃ良かった。このイカレ親子め!」と義父は激昂しました。

目が覚めたジェリーはあたりを見渡しました。いつもと部屋の様子が違います。やけに汚くて薄暗く、キッチンは血でひどく汚れています。ボスコとMr.ウィスカーズに声をかけますが、反応はありません。

恐る恐る冷蔵庫を開けると、そこには血色がなく髪もボサボサでおぞましい姿のフィオナの生首がありました。ジェリーは慌てて薬をすべてシンクに流して、さっき飲んだ分もトイレで吐き出してしまいました。

翌朝、目が覚めるといつも通りの明るくてきれいな部屋になっています。冷蔵庫をあけると今まで通りの生首のフィオナが「おはよう」と笑顔で声をかけてくれました。「フィオナが戻った!」ジェリーはガッツポーズをします。

フィオナをカウンターに置いて一緒に朝食をとっていると、フィオナが「友達を連れてきて」と言い出します。それはできない、と断ると「弱虫は嫌いよ」といわれてしまいます。

その日の夜、ボスコとMr.ウィスカーズと一緒にテレビをみているとMr.ウィスカーズに「たまたま殺して快感だった。わざとならもっと快感かも。」と殺しをそそのかされます。しかしボスコに「モラルを忘れるな。」といわれました。

翌日仕事終わり、ジェリーはリサに声をかけました。するとリサから「飲みに行く?」と誘われ、2人はバーに行きました。お互い猫を飼っているので、バーでは猫の話で盛り上がります。そしてとんとん拍子でリサの家に行くことになりました。そのとき、ジェリーは不安げな顔をします。

ジェリーはリサと幸せになれるのか?それとも・・・

ジェリーはリサの家に行く前に、自分が育った家に連れて行きます。そこはもう廃屋となっており、周囲の木も生い茂って誰も住んでいません。そこでジェリーは少しだけ義父と母親のことや昔のことを話しました。

ジェリーは二階にあがっていくリサをみて、過去の出来事がフラッシュバックします。

二階の寝室で母親は施設に連れ戻されることに怯えており、ジェリーは自分に聞こえる声のことは秘密にすると母親と約束します。そのとき施設の車のサイレン音が聞こえてきて、母親は咄嗟に近くのグラスを割った破片で自殺を図ります。しかし死にきれず、「殺して」とジェリーに懇願してくるのでした。

ジェリーの様子がおかしいことに気づいたリサは声をかけます。ジェリーは「あの部屋で母親が死んだんだ。」と話します。悲しみに暮れるジェリーにリサはキスをしました。「家に送って」といいジェリーを連れ出します。

そのときジェリーは、隠し持っていたナイフを置いていきました。

リサの家で2人はからだを重ね、愛し合いました。翌朝、2人はコーヒーを飲みながら話します。「昨夜は予想と違った。寂しくない。」と話すジェリーに、「私も」とリサが微笑みました。

上機嫌で帰宅したジェリーは「昨夜は最高だった」と話しながらボスコをなでます。そして鼻歌を歌いながら2匹のご飯を用意し、冷蔵庫を開けたときにフィオナと目が合います。
「友達はまだ!?」鬼の剣幕で怒鳴ってくるフィオナ。慌てて冷蔵庫を閉め「どうしよう・・・」と頭を抱えました。

仕事の合間にリサは、従業員名簿をもっているアリソンからジェリーの住所を聞き出しました。サプライズでケーキを持っていこうとしていたのです。

その日の夜、ジェリーがテレビを見ていると冷蔵庫の中のフィオナによばれました。言われるがままフィオナをリビングのテーブルに連れて行き、ボスコとMr.ウィスカーズと4人で話します。

そして自分は殺人鬼なのか、話し合いました。ジェリーは「善悪の区別はつくし、いい人でありたい。悪いことはネコにそそのかされている。」と言いますが、フィオナに「あの場にネコはいなかった。あたしを殺したのはあなたよ。」と言われてしまいます。

そしてMr.ウィスカーズは「話すネコなんて実在しない、全ておまえの心の声だ。」と。ジェリーはうろたえ、「いい人でありたいのに、君らに操られてるんだ。そうだろ?」と3人に聞きます。

フィオナは「あなたは悪い子。」ボスコは「いや、いい子だ。」Mr.ウィスカーズは「違う。おまえはおまえだ。」と3人とも違う答えを言います。「僕は・・・」とジェリーが答えようとしたとき、ノックの音がします。

のぞき穴からみると、そこにはリサがたっていました。壁に掛けてあったジャケットをフィオナにかぶせ、扉を開けます。そして玄関先で少し話し、家に戻ろうとしたときに、オートロックで閉め出されてしまったことに気づきました。

ジェリーは屋根に上って天窓から入るからと、リサに帰るように言います。しかしリサは鍵を開けるのは得意だからと、ヘアピンで玄関の鍵穴をいじるとすんなり開いてしまいました。

リサは部屋の様子がおかしいことにすぐに気付きました。怯えていると少し遅れて天窓から入ってきたジェリーに声をかけられ、パニックになったリサとジェリーは揉み合います。しかしその後、落ち着いて話し合うことができました。

「怖がってごめんね。」そう言ってリサが足早に帰ろうとすると、ジェリーに突き飛ばされ運悪く首の骨を折って動けなります。そしてリサも冷蔵庫の生首になってしまいました。

翌日、リサとジェリーと連絡が取れないことで社内はざわついていました。アリソンは同僚から「ジェリーの噂を知ってるか?」と言われます。調べてみるとそこにはジェリーが母親の死後、施設に収容されたことが書かれている新聞記事がありました。

心配になったアリソンはジェリーの家を訪ねます。そしてジェリーはMr.ウィスカーズのアドバイスをうけて、アリソンも冷蔵庫の生首にしてしまうのでした。

追い詰められたジェリーがとった行動とは

冷蔵庫の中の三体の生首と、ボスコと、Mr.ウィスカーズ。それぞれがジェリーに話しかけてきます。そして次第に好き勝手お喋りをしはじめ、部屋中に話し声が響き渡ります。

焦燥しきったジェリーが泣きはらした顔で向かったのは、ウォーレン博士の元でした。「最近泣いてばかりいる。僕は悪い奴だ。」と相談していると、ウォーレン博士に「人を殺したわけじゃないんだから」と冗談交じりにいわれます。

気まずそうに、告白するジェリー。「僕のせいで3人、生きてない。」ウォーレン博士はジェリーから詳細を聞きつつ、通報しようとスマホを手に取ります。

しかしそれに気付いたジェリーは激昂し、ウォーレン博士をガムテープで拘束して車で連れ去りました。そしてジェリーはウォーレン博士に問いただします。

「どうして神様は僕にばかり厳しくするんだ?いつも声のせいでうまくいかない」

ウォーレン博士はこう答えました。

「声は誰にでも聞こえる。でもその声に従う必要は無い。」

その答えに満足したジェリーは、ウォーレン博士を家に連れて帰ります。その頃ジェリーを怪しんだ同僚たちはジェリーの家に侵入し、事件を知って通報していました。

ジェリーがウォーレン博士を連れ帰って間もなく、警察が到着します。サイレンの音に気付いたジェリーはリビングのソファにウォーレン博士を残し、裏口から逃げようとしました。

ウォーレン博士は警察に保護されるとこう言いました。「傷つけないで。彼は病気なの。」

ジェリーは裏口へ向かう途中、ガス管を傷つけてガス漏れを発生させていました。そして偶然起こった火花から爆発し、ジェリーの家は燃えてしまいます。

ジェリーはその時、まだ生きていました。そして頭の中でボスコの声がします。

「お前はここに残るべきだ。炎の中で眠れ。」

Mr.ウィスカーズの声も聞こえてきます。

「眠るって死ぬってことだろ?逃げろ、殺し続けるんだ。」

ジェリーは床に寝そべり、段々と意識が薄れていきます。

すると真っ白な背景にボスコとMr.ウィスカーズが登場し、Mr.ウィスカーズがボスコに「お前がボスにふさわしい」といいます。

そして青いスーツでキメたジェリーが登場し、母親と義父とフィオナとリサとアリソンも登場します。

「殺してごめんね」とジェリーがみんなに謝ります。すると天からイエス様が降りてきて、ジェリーはイエス様に「愛をありがとう。」といいました。

みんなで踊りながら「Sing a happy song」を歌い、ジェリーがイエス様が操縦するフォークリフトに乗ると、天高く昇って消えていきました。


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「ハッピーボイスキラー」の登場人物

ジェリー

精神病を患っていて、幻聴の症状でカウンセリングに通っている青年です。劇中に病名は出てきません。本人にはその症状を治す気はあまりなく、幻聴がなくなったときの孤独に耐えられないジェリーはなかなか薬を飲むことができません。

ボスコ

ジェリーの飼い犬で、ジェリーのことが大好きです。幻聴によってジェリーと会話しています。ボスコのセリフはジェリーの理性的な部分になっていて、ジェリーのことを正しい道へ導こうとしてくれます。

Mr.ウィスカーズ

ジェリーの飼い猫で、ジェリーにはドライな態度をとっています。幻聴によってジェリーと会話しています。Mr.ウィスカーズのセリフはジェリーの本能的な部分で、悪魔の囁きをしてきます。

フィオナ

ジェリーが想いを寄せていた英国人の女性です。ジェリーのことを少し苦手に思っているのか、あまり親しくしようとはしません。しかし車に乗せてもらったことから少し親しくしようとした時、不運が重なり冷蔵庫の生首になってしまいます。
生首になってからは「薬を飲め」「あなたは悪い子」と、ジェリーが言って欲しくない言葉をよく発します。

感想考察

出典:映画.com

 

精神病患者の世界と現実

いままでにこんな終わり方の映画はあったでしょうか。突拍子もないラストシーンは、賛否がわかれるところです。しかし、こんな見方をすることも出来ます。

この映画は基本的にジェリー目線、つまりジェリーの妄想の世界を描かれています。ということはこのラストシーンも、ジェリーだけがみている世界かもしれません。

ジェリーは自分にとって都合の悪いものはみえなくなっています。リビングの血の汚れもなかったことになり、本来おぞましい姿になっているはずの生首たちも、健康的で美しい姿のままです。

ジェリーが薄れゆく意識の中でみたものこそこのラストシーン。「ごめんね」と軽く謝ればみんなが許してくれて、イエス様から愛を受けて、みんなで楽しく歌って踊る。それがジェリーにとって都合のいい、ジェリーが望む終わり方だったのではないでしょうか。

また、この映画の素晴らしさといえば、ジェリーが見ている世界と現実との対比です。

ジェリーがみている世界は可愛らしい色使いで、明るく鮮やかに映されています。しかし現実が映っているときには、血の汚れをつけたり生首の様相を変えるだけでなく、映像自体も暗く彩度も低くなっています。

そしておもしろいことに、リサが殺されるシーンのみリサ視点になるのです。ジェリーはMr.ウィスカーズにむかって「傷つけたくない、大切な人だ」「うるさい、黙れ!」と怒鳴ります。

視聴している側からすれば、きっとまたMr.ウィスカーズに悪魔の囁きをされているんだろう…と想像はつきますがそれでも、一人で誰かと喋って怒鳴る姿には恐怖を感じます。

幻聴のことをしらないリサからすれば、その恐怖は計り知れないでしょう。

ジェリーは何故、愛する人を殺してしまうのか?

母親、フィオナ、リサ、アリソン。ジェリーが殺した4人のうち、3人はジェリーが愛していた人です。

愛しているのに、殺してしまう…。それは何故なのでしょうか?
その理由はジェリーの初めての殺人、母親を殺した時の状況に隠されています。

母親を殺した時の状況は、母親が施設に連れ戻されることに絶望し自殺を図ったというところです。そして母親に懇願され、ジェリーは母親を手にかけました。

この状況によって、ジェリーは母親を殺したくはなかったけれどジェリーの中で「殺したことで母親を救った」ことになりました。

また、鹿にとどめをさしたときにも鹿からの「殺してくれ」という声に従ったのです。
そしてフィオナを殺した時もリサを殺した時も、すでに何かしらの攻撃を受けて苦しんでいる状況でした。

このことから、ジェリーの中で「苦しんでいるので殺してあげる」という考え方が存在していることがわかります。

しかし劇中では、ジェリーがシリアルキラーに少しづつ変わっていく様子もみることができます。

まずフィオナの時とリサの時を比較してみましょう。フィオナに最初に攻撃してしまったのは転んだ拍子のことでした。

しかしリサの時は揉み合った末、落ち着いて話し合っているように見せて、帰ろうとしたリサを突き飛ばしたことでリサは動けなくなってしまいます。

つまり、フィオナの時は事故的に、そしてリサの時は故意的に「苦しんでいるので殺してあげる」状況になっているのです。

そして最後のアリソンに至っては、苦しんでもいないけど都合が悪いので殺しています。ジェリーの殺人のハードルが徐々に下がっていっているのがわかります。

最後にボスコが「ここに残るべきだ。」と言ったのも、きっとこのまま生きていても人殺しを続けてしまうということに気付いていたからなのでしょう。

まとめ

出典:映画.com

ライアン・レイノルズの名演技に唸らされる映画でした。表情や一挙手一投足に「普通じゃない」と感じさせられ、ジェリーを見事に演じきっています。

実はボスコやMr.ウィスカーズの声もライアン・レイノルズが演じています。そのボスコやMr.ウィスカーズのセリフも、皮肉が効いていてクセになるものばかりです。

全てのシーンを現実に置き換えて、2匹も生首も喋っていない、ジェリーが1人で腐った生首に向かって話していると思いながらみてみるのもまた一興。一度で二度おいしい映画です。

この病的な魅力溢れる世界観、ぜひ体感してください。


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