薄星【はくせい】の死は本当に泣ける!!漫画『女王の花』感想 亜姫・薄星の結末は?

引用元:コミックシーモア

『女王の花』。古代の国「亜」の女王が自分の墓に添えられることを願ったというその花は、千年に一度だけ咲き、どんな望みも叶える力があったといいます。

通称"千年の花"。

母を毒殺され、黄国へ人質として送られた亜国の姫"亜姫(あき)"と金髪と天の色の眼を持つ奴隷少年"薄星(はくせい)"が境遇の違いを超えて強い絆で結ばれ、過酷な運命に立ち向かっていくドラマチックストーリー。

戦乱の世を共に歩み、生き、戦ってきた二人が最後に唯一望んだものとは何だったのでしょう?

終盤の薄星の死は涙を流さずにはいられません!!

この漫画は本当に色んな事を感じさせ、考えさせられるものでした。

今回は、薄星の切なすぎる死と二人の結末を解説していきたいと思います。

 

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注意

これより先はネタバレ記事ですので、ご注意ください。

あらすじ

 

戦乱の世。互いに勢力を争う、亜国・土国・黄国・曾国の国々。

亜国の姫として生まれた亜姫は、正妃である母の実家が小国であるため、第二妃の「土妃【どひ】」から蔑ろにされていました。

(亜国の王には妃が二人います。正妃は"黄国"から嫁いできた黄妃【こうひ】で亜姫の母親。第二妃は"土国"から嫁いできた土妃。)

ある日亜姫は、土妃の息子の祝いに贈られた金髪碧眼の胡人の奴隷の少年、薄星に出会います。

金の髪や青い瞳のせいで差別を受ける薄星に、亜姫は偏見を持たず称賛。

土妃から彼を守ります。

奴隷の身を救われた薄星は、亜姫に心からの忠誠を誓い、二人は固い絆で結ばれます。

しかし、二人を待ち受けていたのは悲しく過酷な運命だったのです。

薄星の死は本当に切ない!最後に亜姫はどうなる? 感想

亜姫と薄星の愛、そして死

引用元:コミックシーモア

亜姫は幼い頃、土妃に母や父(亜王)の命を奪われ、亜国から黄国(母の故郷)に人質として送られていました。

彼女は薄星と共にそこで力をつけ、必ず亜国に戻り、土妃へ復讐をすることを誓います。

そして時は流れ、土妃との最終決戦。

戦いのさなか、味方とはぐれてしまった亜姫と薄星は、森の中で二人きりの夜を過ごします。

亜姫はこれから亜国の女王となる身。

また薄星は奴隷の身分であるため、結ばれることは不可能ということから亜姫は気持ちを抑えていましたが、ここで二人は愛を確かめ合い、恋人の契りを交わしました。

その後、亜姫の首を狙う敵から彼女を助けるために、一人敵陣へ向かった薄星。

嫌な予感しかしません。。。。

薄星の後を追い、彼を見つけましたが、敵に囲まれボロボロの状態でした。

【薄星が殺されてしまう!】と亜姫はその場に駆けつけようとしますが、薄星が出てこないように制止します。

『千年の花!千年の花!』と叫びながら戦う薄星。

幼い頃、病気の母親のことを誰も助けてくれない、父親ですら助けてくれない状況で、どうしたらいいのか途方に暮れていた亜姫に薄星がおまじないとして送ってくれた言葉。

「ずっとずっと遠くの山に、どんな望みも叶えてくれる花が咲くんだって。でもその花は、"千年に一度"しか咲かなくて・・・誰も手に入れたことがないんだって。」

「だからこれは言葉のおまじない。"いつかあなたの望みが叶いますように"。」

薄星の願いは奴隷として売られたり、ど突きまわされないで生きること。

ここで彼は、一生亜姫のものになると心からの忠誠を誓い、彼女と運命を共にする旅を始めます。

当初、亜姫の願いは母の病気を治すことでした。

しかし土妃により母を毒殺され、黄国へ人質に出されてしまったため、亜姫は必ず亜国に戻り土妃を討つことを強く願うのでした。

なので「千年の花」という言葉は、ある意味二人の合言葉のようなものであり、窮地に立たされる度に発しています。

全ては土妃を討つため。

この言葉により、二人は幾度となく困難を乗り越え、気持ちを奮い立たせているのです。

【俺たちはさ、今は一緒に生きられない。けど、十年・二十年・百年・たとえ千年経った後でもいい。亜姫を必ず迎えに行く。そしてそこから先はずっと一緒だ。】

亜姫は今や土妃を討つために兵を率いるリーダーであり、未来の亜国の女王となる人。

今、仲間とはぐれてしまっている中、敵が彼女を見つけてしまえば必ず殺されてしまいます。

亜姫をここに来させてはいけない。

自分一人でも絶対に亜姫を守らなくては。愛する人を必ず守り抜いてみせる!!

フラフラになりながらも敵を倒し続ける薄星。

そんな彼の姿に亜姫は涙します。

【いつだって驚くような強さで守ってくれた。大好きよ。心から愛してる。だからもうあなたも逃げて。】

【私達はまたきっとめぐりあえるもの。】

薄星の気持ちが痛いほどわかる亜姫は動くことができず、ただ祈るばかり。

後少しだと思った瞬間、敵の槍が薄星の腹部を貫きます。

血まみれで瀕死の状態でしたが、亜姫を守るために剣を振り、敵を倒していく薄星。

【君は俺が守るよ。十年先も百年先も、魂魄だけになっても俺は君を守るだろう。だから、泣かないで。】

そして薄星は絶望に震える亜姫に微笑みながら、「再見(じゃあね)」と言い残し、川の流れに消えていきました。

もう、涙腺が崩壊です。。。。。だって、こんな別れ方悲し過ぎます!!

愛する人が死にそうなのに助けに行けず、ただ黙って見ていたわけですから。

薄星は、死体が浮かび上がってこなかったので"消息不明"となっていますが、状況からして、やはり途中で息絶えているとしか考えられません。

「薄星、どこ?もう出てきても大丈夫よ。」

「私は無事よ。あなたのおかげでこんなに無事だもの!!」

放心状態の亜姫。目から涙がこぼれ落ちます。

【死にたい・・・・】

しかし薄星を失った悲しみとは裏腹に、戦の指揮を執る者としての考えが頭の中に浮かんできます。

【夜中に軍を整えたとして、きっともう味方が軍を動かしているはず。ここが本陣よりどのくらい離れていて、進軍速度は・・・・・。】

【こんなに悲しいのになんで・・・。頭と心が別のもののようだ。何より大事なものを失っても狂えない、自分は人でなしだ。】

自分はもう、バケモノになっていたんだと亜姫は気付きます。

その姿は悲しみに溢れていました。

恐らくまだ10代そこそこの女の子。なのに、こんな過酷な運命を背負っていくなんて辛すぎます。

二人の心の内や、愛し合っていることが凄く伝わるシーンだっただけに、読んでいて胸が苦しくなり、込み上げてくるものがありました。

その後、亜姫の軍は土妃が籠る最後の城を陥落させ勝利。

亜姫は亜国の女王となりました。

即位式の日、亜宮の城を見渡しながら昔を懐かしむ亜姫。

「人の生など、しょせん数十年。数十年でも永遠に等しい。」と言っていた薄星の言葉を思い出し、彼を永遠に愛することを誓います。

いつかまた、薄星と"再見"(逢う)ことを信じて。

女王となった亜姫

 

引用元:コミックシーモア

亜国の女王となった亜姫は、何年も何年も人々に尽くしたため、皆にとても好かれました。

大きな戦も飢饉もなく平和な暮らしが続き、皆女王に、永遠にこの国を治めてほしいと願っていました。

ある日、女王は「千年の花を探しなさい。」という不思議なおふれを出します。

"千年の花"とは、千年に一度だけ咲き、どんな願いも叶えてくれるという幻の花。

女王はこの花にどんな願いをこめたのか・・・。

そして、"千年の花"を飲んだ女王は眠ったまま目を覚ましませんでした。

持ってきた商人いわく、"千年の花"とは元々薬師が使う眠草であり、苦痛を取り去り無限の世界に誘う花とのこと。

今でいう麻薬のような作用のある薬草ではないでしょうか?

実は、女王の願いは「女王のまま死にたくない」ということでした。

長年の激務で身体を壊して倒れ込む日々が続き、もう長い命ではないと悟っていた女王は、この"千年の花"で夢の世界へ。

肩の荷を下ろして普通の女性として死ねるよう、安らかな時を迎られるように。

それはただの亜姫だった頃、薄星と二人でいたあの懐かしい頃のように。。。

そして、寝台で眠っている女王のもとへ誰かが迎えにやって来ます。

「来たよ。約束、忘れてないよね?」

それは忘れもしない愛する薄星でした。

「行こう!」

亜姫と薄星は二人の望んだ世界へ旅立って行きました。

このシーンはなんとも夢見心地なものであり、 二人の老いた姿を描かなかったのは死を連想させる意図があったのではないかと思います。

寝台から消えるような演出も意味深で、やはり亜姫は死んでしまったのでは?思わせる描写でした。

亜姫と薄星の人生は辛く悲しいものでしたが、ラストは二人が幸せに旅立つ姿に心が救われました。

亜姫と薄星が"再見"できた結末が凄く嬉しいです。

解釈は色々できると思いますが、二人は望み通り、別次元の世界を幸せに歩んでいっているのではないかと思います。

運命に翻弄された二人に「お疲れ様。」と伝えたいです。

 

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人物紹介

亜姫(あき)

引用元:コミックシーモア

亜国の姫君。聡明な姫君で王としての器を兼ね備えていましたが、正妃である母が病弱であるため、第二妃である土妃に蔑ろにされていました。

幼い頃奴隷の薄星に出会い、忠誠を誓った彼を側に置きますが、やがて相思相愛の関係に。

その後、母や父(亜王)を殺した土妃に復讐を果たし、亜国の女王として即位。

晩年は「女王の花」を飲んで深い眠りにつき、寝台から煙のように消えてしまいましたが、
夢の世界で薄星と再びめぐりあい、旅立つ姿は幸せそうです。

薄星(はくせい)

引用元:コミックシーモア

胡人(こじん、異民族の総称)。土妃の息子6歳の祝いに土国より贈られた奴隷の少年。

金髪碧眼のために差別を受け奴隷とされていましたが、亜姫に助けられ、彼女に忠誠と淡い恋心を抱いていました。

しかし戦いのさなか、亜姫を守るために一人で敵陣へ向かい命を落としてしまいます。

悲しい別れ方をしてしまいましたが、最後は彼女のもとへ迎えに行き、幸せに旅立って行きました。(夢の世界の中ですが・・・)

土妃(どひ)

引用元:コミックシーモア

亜国の第二妃。自身の権力を確固たるものにするべく、正妃(亜姫の母)や亜王を殺し、我が子の即位を企みました。

最後は兵を率いた亜姫に敗北。殺されるために亜姫に口汚く罵りますが、牢に入れられ、この戦いで死んでいった者たちのために生きることを罰として与えられます。

その後、亜女王の相談相手となり、関係性は向上したと思われます。

まとめ

 

引用元:コミックシーモア

今回は、漫画『女王の花』薄星の切なすぎる死と二人の結末についてまとめてみました。

亜姫が女王の責務を全うして普通の女の子に戻り、薄星が迎えにくる約束を果たしに来たシーンは、涙無しでは読めなかったです。

また1巻と15巻の表紙が同じ服装で、15巻は薄星が亜姫に真紅の花を降らせているのですが、話を読んだ後に再度二つの表紙を見てみると、それだけで泣けてきます。

(記事のはじめにある"15巻"の表紙を見てみて下さい。作中では明確な記載はありませんでしたが、この真紅の花は"女王の花"なのではないかと思います。)

辛い道を歩んできた亜姫には、薄星と共に穏やかで笑顔の絶えない旅を楽しんでほしいと思いました。

ドラマチックで壮大な、言葉にするのが難しいほど心に残る物語でしたので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

 

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