映画GOの魅力を徹底解析!個人的感想と名言紹介※ネタバレ有り

こんにちは!

本日は映画大好き筆者が大好きな映画「GO」について、作品のあらすじや見どころなど徹底的に解説致します!

原作は第123回直木賞を受賞した金城一紀さんの小説です。
受賞の翌年、当時人気真っ只中の窪塚洋介さんを主演に映画化が決定。
映画も大ヒットをおさめ、数々の賞を受賞しました。

それでは早速作品情報からご紹介します。

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作品情報

制作年:2001年
上映時間:122分
ジャンル:ドラマ
監督:行定勲
脚本:宮藤官九郎

キャスト

杉原(窪塚洋介):生まれも育ちも日本だが韓国国籍を持つ高校生。
桜井(柴崎コウ):杉原と同じ高校に通う女子高校生。
元秀(新井浩文):杉原が通っていた民族学校での同級生。不良仲間。
秀吉(山崎努):杉原の父親。元ボクサー。
道子(大竹しのぶ):杉原の母親。
正一(細山田隆人):杉原が通っていた民族学校での同級生。杉原が親友と語る相手。

あらすじ

主人公の杉原は韓国籍を持つ高校生であり、いわゆる在日韓国人である。
中学までは民族学校に通っていたが、父親の影響で高校からは日本の学校に進学する。

普段は自分と同じく在日韓国人である元秀や、先輩であるタワケ(山本太郎)とつるんでおり、ケンカや素行の悪さが目立っていた。

ある日、杉原のクラスメイトである加藤の誕生日パーティに参加した際、1人の少女と出会う。

桜井という少女は初対面のはずの杉原の名前を言い当てると、一緒にパーティを抜け出そうと提案する。

桜井は流れ星を男女で見るなんて恥ずかしいと言ったり、デートの待ち合わせに国会議事堂を指定したりと、他の女の子とはどこか違う風変わりな性格の持ち主だったが、素朴で明るい彼女に杉原も次第に惹かれ、幾度かのデートを重ね、お互いの距離は近くなっていった。

そんな中、杉原が中学時代通っていた民族学校での親友、正一(ジョンイル)が、日本の高校生に刺殺されるという事件が起こる。親友の突然の死に悲しむ杉原を見て、桜井は今晩一緒にいてあげると慰める。

杉原はその夜に初めて、実は自分が韓国籍である事を桜井に打ち明ける。杉原の突然の告白に桜井は戸惑いを見せ、距離を取った態度を取ってしまう。

桜井の父親は、日頃から韓国や中国の人間を差別しており、彼らは血が汚いと桜井に教えていたのだった。

自分のありのままの姿を拒絶された杉原は1人夜を徘徊し、桜井とは疎遠になっていった。

時は経ち、杉原が受験勉強に精を出していたある夜の事、杉原の元に1本の電話が鳴る。相手は桜井からで、2人が初めて話をした学校のグラウンドに今から来てほしいという事だった。

桜井は、あの日パーティで杉原の名前を当てたのは、杉原と同じ高校に通っていて存在を知っていたからだと話した。

また、杉原が体育館で喧嘩をしていた時の目が忘れられなくて、またどこかで会ったら自分から声をかけようと思っていた事、そしてそれが叶っている今、杉原の国籍が韓国であっても、杉原を好きな事には変わりなく、一緒にいられるなら杉原が韓国籍だろうと構わないと伝えた。

その言葉に杉原は涙し、桜井を抱きしめる。2人の間には元の関係が戻り、空からは初雪が降り始めていた。

著者 金城一紀の自身の半生を綴った作品

 

実は本作品は原作者の金城一紀さんの半生を描いたものなのです。

金城一紀さんは1968年10月29日生まれ。埼玉県川口市で生まれましたが、国籍は韓国。
いわゆるコリアン・ジャパニーズと呼ばれるマイノリティな境遇で育ちました。

中学校は民族学校に通っていましたが、朝鮮から韓国籍に国籍を変えた事をきっかけに日本の高等学校に進学。

まさに主人公の杉原と同じ境遇なんですね!

金城一紀さんの代表的な作品は「レボリューションNo.3」「フライ・ダディ・フライ」「SPEED」など。
通称”ゾンビーズ”といわれる落ちこぼれ高校生達をそれぞれの作品に一貫して登場させています。

1998年に「レボリューションNo.3」で小説現代新人賞を受賞し、2000年に「GO」で代123回直木賞を受賞。

彼の作品は今なお深刻化している在日問題に真っ向から向き合った題材のものが多く、これまでの日本の文学では書かれなかった、「在日文学」という新しいジャンルを作り上げました。

本作品「GO」は、数ある彼の作品の中でも自身の半生を描いた作品であることから、多くの人達の心を掴んだ作品であり、映画を見る前に知っておきたい魅力の1つでもあります!

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本作品の名言紹介

ここからは、本作で個人的に特に心打たれたセリフをご紹介します。

『広い世界を見ろ。そして自分で決めろ』

この台詞は、杉原の父・秀吉がドライブの途中、海岸沿いで車を止めて2人きりになった時杉原に言い残したセリフです。

この直前に、秀吉は役所に行って自分の国籍を朝鮮から韓国籍に変更しました。理由は妻の道子とハワイ旅行に行くため。

しかし秀吉が国籍を変えたのは単に自分がハワイに行きたかったからではありませんでした。

杉原が大人になった時に自分の国籍の存在が自分の人生を邪魔して自由に生きられなかったり、固定観念に捉われてしまわない様に、息子につきまとう足枷を外してやり、なりたい自分になれ、と背中で教えるためでした。

このシーンで2人が眺めている海は、お世辞にも綺麗とは言い難い、波風が立った太平洋の海。しかしなんだかそんな風景が、秀吉の人間臭さや泥臭さとマッチしていてすごくいいんです!

一部のファンの間では、このシーンのロケ地は千葉県の幕張辺りの浜辺だと言われています。

 

『俺は俺であることすら捨ててやるよ』

こちらのセリフは作品終盤のシーン。杉原が自分は韓国籍だと桜井に告白した際、その事実を拒絶され桜井には距離を置かれてしまいます。

大好きな人に自分のありのままの姿を否定されてしまったら、誰だって傷つき落ち込むと思います。

杉原は桜井と会えない日々を過ごす間、自分のアイデンティティについて深く考えます。

自分とは何者なのか。生まれも育ちも日本であるのに、どうして在日韓国人と言われてしまうのか。

そして自分なりに考え辿りついた答えを、再会した桜井にぶつけるのでした。

在日韓国人と名付けるのは自分ではなく周りの人間だということ。自分は自分の事を在日韓国人だと思って生きていないこと。しかし在日と名前を付けられた側の人間は周りの人間から距離を置かれ、次第に排除されていくということ。

そんな人間の勝手な思惑に振り回されて好きな人と一緒にいられなくなるのはおかしい。自分に付けられる名前なんてものは在日韓国人だろうと、マムシだろうと、物体Xだろうと関係ない、自分は自分なんだ。もはや自分という存在すら捨ててやる!と声を張り上げる杉原でした。

私はこのシーンを見て、普段人間がいかに名前という固定概念に支配されているかということを強烈に痛感しました。

人は見てくれの外見だけではその人の素性が分からないから、あえて名前をつけて線引きをする。結果お互いを理解しあえない違う人種だと思い込んでしまう。

でもきっと、人間はそうじゃない所で繋がれる部分ってありますよね。
国籍や人種が違っても、その人の人間性が好きになったのなら、最終的にはその人がどんな人種の人だってきっと国境を超える事が出来るのではないしょうか。

若い時って誰しも“自分とは何者なんだろう”、“本当の自分ってどこにあるんだろう”と、自身のアイデンティティについて考えるのではないでしょうか。

高校生という多感な時期にぶつかるこの永遠のテーマに、ギラギラした答えを出す青年・杉原を演じた窪塚洋介さん、彼自身の人間性と作品がマッチしていて、このシーンではいつも胸を打たれます!

 

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本作品を見て 個人的感想

作品のテーマとしては“在日問題”にメスを入れたものであるため、重い映画なのかと思いがちですが、そんな事はありません!

“これは僕の恋愛にまつわる話だ”と作品冒頭で謳っている通り、主に杉原と桜井の恋愛に焦点を当てた内容となっており、展開もテンポ良く進んでいきます。

だからこそ終盤で、杉原が桜井に在日韓国人である自分の考えをぶつけるシーンは強く胸を打たれます!

個人的には山崎努さん演じる父親役が本当に好きです!
普段は寡黙で、息子をボコボコに殴る超コワモテお父さんですが、実は妻や息子の事を大切に思う優しい性格。

言葉にはせず背中で全てを語る昭和の男!って感じが山崎さんの雰囲気にピッタリだと思えます。

普段は喧嘩ばかりしていて不良高校生だと言われる杉原も、好きな女の子の前ではとたんにウブな男の子になってしまうのも良いんです!

普段自分が周りから何て思われようが全く気にしないタチだった杉原が、桜井と出会ったことで初めて自分をよく見せたい、と思うようになります。

杉原にとっては桜井に嫌われることは、どんな喧嘩相手よりも怖い事だったのでした。
そんな杉原の純粋さがとても愛おしくなりますし、恋っていいなあ!と思える作品です。

キラキラした青春時代を思い出すための映画として見るのもよし、
自分のアイデンティティについて考えるために見るのもよし、
窪塚さんのカッコよさ、柴崎コウさんの可愛さに見惚れるのもよし、
たくさんの魅力がつまった映画です!

まだ見た事のない人はこの機会にぜひご観賞ください!!

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