『トランスポーター3』ネタバレ、あらすじと分かりにくさを一気に把握

トップ画像画像 Asmik Ace オフィシャルサイト より引用

ジェイソン・ステイサムのカーアクション映画『トランスポーター3 アンリミテッド』、皆さんはご覧になりましたか?

事実上、ステイサム版『トランスポーター』の最終章になってしまいました。

ステイサム版の新作が見られないなら、もう、スルメのように楽しむしかありません!

あらすじから、話題となった女優の素顔まで、この映画を楽しむヒントを沢山盛りこみました。是非、見逃している魅力がないかどうか、本記事でチェックしてみて下さい。

意外と理解が難しい本作なので、観たけどイマイチ分からなかったという方も必見です。

なお、本記事はAmazon Prime Videoにて配信中の「吹替版」「字幕版」に基づいて執筆しています。また、英語の会話内容に基づいている箇所もありますので、あらかじめご了承下さい。

MEMO
まだ本作を観ていない人は、「吹替版」の鑑賞を強くお勧めします。
「字幕版」では、本来の脚本にはない、重大なネタバレ字幕が出てしまいます。
本記事では、その辺の事情もご紹介していますので、まずは「吹替版」を鑑賞後に、戻ってきていただければ幸いです。

映画『トランスポーター3 アンリミテッド』とは

ストーリーを一言でいうと

外せない爆弾を抱えてしまった主人公が、グローバル企業の陰謀のために運び屋をする物語です。

映画の基本情報

2008年 104分 アメリカ・フランス作品
原題:(米)Transporter 3 /(仏)Le Transporteur 3
監督:オリヴィエ・メガトン
脚本:リュック・ベッソン / ロバート・マーク・ケイメン
製作:リュック・ベッソン / スティーヴ・チャスマン
ジャンル:アクション / カーアクション / ドラマ
オフィシャルサイト:EuropaCorp オフィシャルサイト
日本配給元オフィシャルサイト:Asmik Ace オフィシャルサイト

前二作のルイ・レテリエ監督から、幻覚的な映像が得意なオリヴィエ・メガトン監督に変わりました。また一方で、一作目の共同監督だったコリー・ユンが、武術指導で復活しています。

この組み合わせが、どう映像に結実しているのか、そこが楽しみなところでもあります。

Trailer

こちらがトレーラー動画です。

動画 EuropaCorp オフィシャルサイト より引用


注意
以下はネタバレ記事です。ネタバレが嫌な方は見ないで下さい。

あらすじ

本作の舞台は、スペインからウクライナまで、東西ヨーロッパを横断する、シリーズ最大のスケールとなっています。

そんなストーリーを10ステップで一気に追ってみましょう。

1 すべての原因を積んだ船

ウクライナの港湾都市オデッサに向けて、一隻のコンテナ船が、黒海洋上を航行しています。すべての原因となるエココープ社の汚染廃棄物を積んだ船です。

2 エココープ社に脅迫される環境保護大臣

一方、ウクライナの首都キエフでは、クライナの環境保護大臣レオニードが、アメリカのエココープ社に雇われたジョンソンから脅迫を受けます。

既に交渉を打ち切っていた、エココープ社による廃棄物処理事業の案件でした。

ジョンソンが送りつけた情報に顔色を変えるレオニード。

彼は、ウクライナの将来に影をおとしかねない事業を、再びテーブルの上にのせなければならない状況に追い込まれてしまいます。

3 フランクと友人のトランスポーター

同日夜、フランスのマルセイユに居を移していたフランクの自宅に、知り合いのトランスポーター、マルコムが、車ごと突っ込んできます。

フランク自身が、ジョンソンに推薦したドライバーでした。

撃たれているマルコムを救急車に預けますが、彼がしていた奇妙なブレスレットが原因で、救急車ごと大爆発を起こすことになってしまいます。

一緒に乗っていた若い娘の話から、車から離れすぎると爆発することを察します。

4 ブレスレットをはめられたフランク

不覚にもジョンソンの手下に襲われて意識を失ったフランクは、ブレスレットが装着された状態で目覚めます。

そして、ジョンソンから、直々に仕事を受けるように強迫されます。

強迫されるフランク
画像 EuropaCorpオフィシャルサイト より引用

依頼を断ろうとしたため、ジョンソンに銃を突きつけられるフランク。
本作のフランクは、屈辱に耐えつづけて・・・からの
怒りのラストバトルというところが見どころです。

荷物は、一つのバッグでした。

そして、マルコムと一緒にいた娘(ヴァレンティーナ)も、ブレスレットをつけられて一緒に乗せられています。

5 出発

目的地の分からないまま出発させられるフランクでしたが、目的地をあらわす「4桁のコード(暗号)」が、電話で知らされていきます。

ハンガリーのブダペスト、ルーマニアのブカレスト、そして、最後の目的地はウクライナのオデッサでした。

6 ウクライナの工作員とタルコニ警部

レオニード側でも、事態を逆転させるため、極秘裏に工作員が動き出していました。

マルコムが乗っていた車からナビシステムを抜き取るため、フランクの自宅の捜査を開始していた、タルコニ警部側のトラックを襲撃します。

そして、タルコニ警部も次第に事件の真相にせまっていきます。

7 ヴァレンティーナの真実

フランクもまた、ヴァレンティーナこそが荷物で、レオニードの娘ゆえに誘拐され、居場所が判明しないように移動し続けていることを知ります。

そしてまた、フランクとヴァレンティーナは、愛し合うほどの絆を持つことになります。

夕暮れの丘の上で寄り添ったフランクに、ヴァレンティーナは謎を解き明かすように、イビサ島からフランクの自宅までの出来事を説明します。

レオニードに電話で助けを求めようとしたことが原因で、マルコムはジョンソンから狙われることになったのでした。

8 オデッサEU環境会議

翌朝、ついに、レオニードがエココープ社に署名を確約していた、オデッサEU環境会議の開催日が訪れました。

レオニード側では、フランクとのカーチェイスがもとで、すでに工作員を失っていました。

しかし、フランクと連絡をとりながら、真相にせまってきたタルコニ警部が、レオニードに協力を申し出ます。

9 ヴァレンティーナを手に入れるジョンソン

レオニードは、ヴァレンティーナの声が聞けたら契約書に署名すると、ジョンソンに伝えます。

その言葉を聞いたジョンソンは、フランクと落ち合い、ヴァレンティーナを再び手に入れます。

フランクを処分しようとするジョンソン達から、一斉に銃撃を受けたフランクですが、ダム湖に車ごと飛び込むという大胆な方法を使い、その窮地を脱します。

10 最後の死闘、愛するもののために

救助に来たタルコニ警部から、ジョンソンの位置情報を確認すると、フランクはアウディでそれを追います。

列車での移動に切り替えていたジョンソンでしたが、フランクはその列車の上に、陸橋からアウディごと飛び移ります。

おなじみの後輪をバーンアウト(煙が上がる状態)させた状態からの、列車へのダイブです!ここからは、息をもつかせない展開で、クライマックスへと一気に加速していきます。

フランクとジョンソン
画像 EuropaCorpオフィシャルサイト より引用

最後の死闘を演じるフランクとジョンソン。
1作目ではトレーラーの中、2作目では飛行機の中、そして本作では列車の中での死闘です!

ブレスレットの距離制限に邪魔されながらも、怒濤の展開でジョンソンとの闘いを制し、ブレスレットも外すことに成功したフランク。

愛情の芽生えたヴァレンティーナを救い出し、彼女の故郷、ウクライナの国土をも守りきったのでした。

登場人物とキャスト

では、あらためて、主要登場人物をご紹介します。

主役 フランク・マーティン
俳優ジェイソン・ステイサム

元特殊部隊の隊長で、掃討作戦のスペシャリスト。裏社会では、名の知れたトランスポーター(運び屋)です。

ブレスレットをつけられて、屈辱的に仕事をさせられるフランクはいつもと違います。彼の疲れきった姿を見ることになるとは、思いもしませんでした。

ヒロインとの愛情関係も深く、これまでにない情緒感にあふれたフランクが印象的です。

ヒロイン ヴァレンティーナ
女優ナタリア・ルダコーワ

物語では名前以外、すべてが謎のまま進行します。休暇にスペインのイビサ島で遊んでいたところを、ジョンソンの手下にさらわれてしまいました。

実は、ウクライナの環境大臣・レオニードの娘なんですが、字幕版では序盤にネタバレしてしまいました。

イビサ島といえば、若者達の憧れスポットともいえる、パーティアイランドですね。クラブで踊っていたままの格好で物語が進みます。

でも、後半にでてくる、大学卒業時と思われるポートレート写真には、しっかりと、真面目そうな雰囲気で写ってました。

自分の命よりも、為すべきことをするように、父親に伝える気丈さももっています。

環境保護大臣 レオニード・トミレンコ
俳優ジェローン・クラッベ

ウクライナの環境保護大臣。発展する経済環境の中で環境保護を進めていますが、ジョンソンに脅迫され、一度打ち切ったエココープ社との再交渉を余儀なくされてしまいます。

環境を守る姿勢に毅然としたものを感じます。

執務室の机には、女の子の写真が置かれていました。あれは、「娘はいるけどまだ小さい?」それとも「ヴァレンティーナの幼い頃の写真?」と、観客を迷わせる仕掛けだったのかもしれません。

MEMO
クレジットではレオニード・ヴァシレヴとなっているため、そのように紹介しているサイトがあります。しかし、劇中ではレオニード・トミレンコとして登場していますので、ここでは姓をトミレンコとしています。

悪役 ジョンソン
俳優ロバート・ネッパー

アメリカのグローバル企業エココープ社が、ウクライナでの事業承認を得るために雇った人物です。

レオニードにとって不都合な荷物を運ぶ、トランスポーターを探していました。

短気で残酷な人間ですが、レオニードに名前がばれてることが分かると、ちょっと焦り出すところがいいですね。

最後もフランクに逆転されると、手の平を返したりと、いい味が出ている悪党です。

演じるロバート・ネッパーは、『プリズンブレイク』のティーバッグ役でおなじみらしいですが、『HEROS』のファイナル・シーズン最大の悪役、サミュエル・サリバンとしても有名です。

警部 タルコニ警部
俳優フランソワ・ベルレアン

マルセイユに近い小さな所轄の警察署の警部。フランクの友人で、文学、料理、ユーモアなどに造詣が深い初老のフランス人です。

休暇中だった前作とは違って、しっかり捜査を行う姿がみられます。

ちなみに、1作目では愛車がスウェーデン車のサーブ・900でしたが、本作では、フランス車・ルノー16になっていましたね。

1966年のモデルがヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したこともある、5ドアハッチバック草分けとも言えるシリーズです。

クラシックカーの趣が、彼の雰囲気にぴったりでした。

友人 マルコム・マンヴィル
俳優デヴィッド・アトラクチ

フランクがジョンソンに推薦したトランスポーター。フランクほどではないにしても、腕の立つドライバーです。

まるで1作目の冒頭のような、市街地でのカーチェイスを演じてみせました。

ヴァレンティーナが彼との出来事を回想するシーンは、ドジを踏んだクライム映画の主人公と、そのヒロインみたいな、いい雰囲気がでていました。

ここがこの映画の壁!最低評価の傾向と対策

さて、ステイサム版『トランスポーター』もこの作品で終わりを告げました。皆さんならどの作品を一番に推すでしょうか?

本作が最も好きだという人も、もちろんいるに違いありません。

しかし、多くのレビューサイトでは、最も低い評価になっているのが現実です。

そこで、本記事では、なにが評価を下げる「壁」だったのか、その点に力をいれて考察してみたいと思います。

次のような壁を考察していきます。

● ヒロイン、ヴァレンティーナの壁
● 物語のスケールの大きさ、複雑さの壁
● なじみのない食文化や雑学などの壁

私と同じような壁を感じた方には、本作をあらためて好きになるヒントがあるかも知れません。

特に、字幕版しか観ていない人には、必見の事情についてもご紹介しています。

不品行なヒロイン、ヴァレンティーナの壁

ヴァレンティーナ
画像 EuropaCorpオフィシャルサイト より引用

回想シーン・・・マルコムを説得し、父親に電話をしようとするヴァレンティーナ。
イビサ島のクラブで踊っていた時のウイッグをつけています。
彼女の青い瞳が印象的ですが、そばかすの多さが話題となりました。

本作のレビューを読むと、彼女の評価が本当に多く目に飛び込んできます。

「キュート」「スタイルがいい」「好み」

という好意的な評価から、

「ウザい」「イライラする」「魅力がない」「安タトゥーがバカっぽい」

という、低評価、さらには

「そばかすが嫌」「ブサイク」「汚い」など

少なからずヘイト目線な低評価まで、目白押しです。

私も、見始めたときは決していい印象をもちませんでした。

無愛想な態度、きらびやかではあるけれど、軽薄さも感じられるファッション、一貫性が感じられない行動や感情など、この「大臣の娘」に、なかなか感情移入できませんでした。

ドラッグを服用したとはいえ、ガソリンスタンドの店内で「用」を足してしてしまう品行の悪さも、まったく描かれる意味が分かりませんでした。

でもそれは違ったんです!

ここでではまず、字幕版を観た人が陥ると思われる、ヒロインの壁からご紹介します。

解決への第一歩!
字幕版はヴァレンティーナがかわいそう

本作の脚本は、ヴァレンティーナの素性が不明なまま、進まなければならない仕掛けになっています。

そのためには、大臣の娘とは思えないような素行を見せるヴァレンティーナが、描かれなければなりません。

観客に明確に示してしまっては、脚本家の頑張りも、役者の頑張りも水の泡です。

ところが、字幕版では序盤で堂々とネタバレしてしまいます。それは、環境保護大臣レオニードが、役人から報告を受けるシーンです。

役人は「精鋭達が救出に向かっています」と言ってしまうんです。

「救出」と聞いて、フランクが預かった「バッグ」を思い浮かべる人はいないでしょう。(1作目では人が入っていましたが・・・)

普通に考えれば、ヴァレンティーナしかいないよね?やっぱり娘の誘拐だったんだ、となってしまいます。

それが分かってしまうと、ひたすら「そんな風には思えない」という、ありえなさだけが募っていく状況になってしまうんです。

すると、他にもこんなことが起きてきます。

● フランクの車にバッグを積み込んだ意味がなんなのか、逆に分からなくなる。
● ヴァレンティーナを無傷で助けなければならないはずの工作員が、カーチェイス中にヴァレンティーナの乗っている車に発砲するのが「え?いいの?」となってしまう。
● フランクが真実に気づくシーンで、「みんな知ってたよ」となってしまう。

状況的にも、ますます白けてくるといってもいいでしょう。

吹き替え版では、よりオリジナルの意図に即した訳になっていますので、謎を維持する仕掛けを保っています。

ですので、字幕版を観た人が、より厳しい評価をしているかもしれません。心当たりのある人は、是非、吹替版で本作の名誉挽回に付き合ってあげてください。

さて、吹替版をみた人でも、彼女の外見や振る舞いに、壁を感じる人は多そうです。ここからは、その点をみていきましょう。

意外な印象!
インタビュー映像で女優の素顔に触れてみる

役者が好きになると、その役も好きになったりするものです。

ヴァレンティーナを演じるのは、ナタリア・ルダコーワです。

ロシアのレニングラード生まれですが、17歳のときに家族でニューヨークに移ったみたいですね。そのニューヨークの路上で、リュック・ベッソンにスカウトされたのが、女優になる切っ掛けだったようです。

実は、そんな彼女の撮影当時のインタビュー映像があるんです!

彼女のものと思われるYoutubeチャンネルに、二つだけ動画がアップロードされています。

彼女のYoutubeチャンネル
natalyarudakova.channel

一つ目の動画は自然を背景にした、飾らないナチュラルな雰囲気が印象的な写真動画です。

動画 NatalyaRudakova Youtubeチャンネル より引用

二つ目の動画が、撮影当時のインタビュー映像です。メイクはヴァレンティーナですが、表情豊かな素顔がみられます。

動画 NatalyaRudakova Youtubeチャンネル より引用

ジェイソン・ステイサムやロバート・ネッパー、そして、クルー達との仕事が本当に素晴らしいものだということも話されてますね。自分のことをサーシャ・ウィトカーと名乗っているのも興味深い点です。

しかし、ここで一番大事なのは、ヴァレンティーナの印象について語っているところです。

ヴァレンティーナはまさに映画の通りの人だった

質問はカットされていますが、冒頭では「あなたの演じるヴァレンティーナについて、教えていただけますか?」のような質問を受けたのだと思います。

彼女の話からは、次のようなヴァレンティーナ像がみえてきます。

● すごくクレイジーで、本当に変わっている
● 彼女は内面にいろんな性格を持っている
● 生命力、クレイジーさ、そして、若さにあふれている

劇中のヴァレンティーナは確かにクレイジーで、一貫性のない性格のようにも見えました。また、若さ故の愚かな一面や、性への衝動も持っていました。

あれが、まさに、描こうとしていたヴァレンティーナなんですね。

さて、女優の素顔とそのヴァレンティーナ像が見えてきましたが、どうでしょうか。

ここまででヴァレンティーナの壁を乗り越えられそうな方は、しめたもの、
以下を飛ばして、物語のわかりにくさの考察に進んで下さい。

まだまだ、という人もいらっしゃると思いますので、さらに踏み込んで壁をみて行きましょう。

これで解決!
「ウザい」彼女を受け入れるフランクの度量を考える

前作のフランクのルールのうち、少なくとも

ルール2 人に挨拶をすること
ルール3 シートベルト装着

を、完全に無視している、冒頭のヴァレンティーナでした。

たとえ脚本の狙いがあったとしても、フランクに対して非協力的な態度をとるのは、フランクのファンであればあるほど、イライラを感じるにちがいありません。

フランクの制止も聞かずラリったり、状況打開のために頑張っているフランクに、セックスを求めたりと、一度イラッとした人には、イラッとポイントにことかきません。

でも後半では、もう死ぬかもしれない時間を、思い残すことなく生きたいという、そんな気持ちもみえてきます。

ウザいといえばそうかもしれませんが、セックスやストリップショーを要求するところは、二人とももう終わるかも知れないのだからという、切実さの裏返しとも言えます。

フランクはそういったところも汲んで、結局は彼女に付き合ったのではないでしょうか。

また、愛し合ったあとに「最初に会ったときに、もう大丈夫って思えた」みたいなことも、ヴァレンティーナが告白していました。ツンとしながらも、思いっきり甘えていたのかもしれませんね。

是非、フランクも許した、そんなヴァレンティーナの心情に寄り添ってあげて下さい。

ちなみに、字幕版では

「私とヤレる最後のチャンスかもよ」

なんてセリフがでますが、彼女はそんな勘違いしたことは言っていません!彼女の名誉のためにも、声を大にしてお伝えしておかなければならないところです。

やっぱり吹替版がおすすめ、ということになってしまいますね。

これで解決!
「魅力がない」「ブサイク」心の広さを振り返る

好みはひとそれぞれ、思ったことはしょうがないですよね。それはそれでいいんです。

ですが、ここまで読んでくれている方なら、きっとフランクのファンなはずです。ここは是が非でも彼の心の広さを見習って乗り越えましょう!

向かってくる者には「目には目を」な人間ですが、そうでない者には慈しみをもって接する、そんな心の広さもっているのが、フランクだと思います。

(今回はちょっと怒ってましたけど…)

彼のたくましい体やアクションだけが好き、という方には効き目がありませんが、人間性にも惹かれているファンなら、ヴァレンティーナを相手に、自分の心を振り返ってみるのもいいのではないでしょうか。

あるいは、字幕版しか観ていない人限定ですが、吹替版の再鑑賞をおすすめします。というのは、吹替版の声の方が、より幼さを感じる声をしているからなんです。

これぐらいの若さなら、まぁしょうがないかな、と思っているうちに、かわいく見えてくる可能性があります。

これで解決!
「そばかす」はグローバル基準で個性とみるのが妥当

たしかに、日本では肌が真っ白なことを、良しとする傾向があります。「そばかす」や「シミ」は人の価値さえも貶めるかのようです。

それにくらべ、ヨーロッパの方では、そばかすはそういうものではなく、ひとつの個性だととらえられているようですね。

そういえば、前作に登場したローラもそばかすがありましたし、オードリーも若干あったと思います。

ヴァレンティーナの「そばかす」が気になった人は、是非、この記事を読んでみてください。ヴァレンティーナを通して、より人間として成長できるチャンスかもしれません!

無数のそばかすでイジメられた少女がSNSの力でトップモデルへ転身!(edamame)
そばかすは美しい? ザラの広告が中国で論争に(BBCニュース)

ちなみに私は彼女の唇の大きなそばかすだけが気になりました。私も唇にホクロがあって、それがコンプレックスになっているからですね。

「人は自分を映す鏡」

とはよく言ったものです。

これで解決!
「安」タトゥーは一度ツッコミを入れて忘れるのがおすすめ

脚本コンビのセンスなのか、監督のセンスなのか、うなじに「安」とタトゥーをいれているヴァレンティーナ。日本人としては、気になりますよね。

外国人の「東洋文化に対する憧れ」は確かに存在しますので、まぁ、その程度の演出だと割り切るのが一番だと思います。

私たちも異文化の文字に対しては、だいたい同じレベルかもしれません。Tシャツのプリントとか、視覚的なインスピレーションで選ぶ人も多いはずです。

それに、和製英語を英語だと思って使っているのが私たちです。目くじらをたてずに、ここは、彼女の顔を立ててあげたいものです。

どうでしたでしょうか?

ヴァレンティーナは噛めば噛むほど味が出る、そんなヒロインかもしれませんね。

彼女の壁を乗り越えて、本作品をもっと楽しみましょう!

物語の分かりにくさを一気に把握

さて、ヴァレンティーナを理解しただけでは、まだ足りないのが本作です。前二作とは比べものにならないぐらい、視野が広く、関係者が多い作品なんですよね。

東西ヨーロッパを横断するスケールですし、国際関係も、アメリカ、ウクライナ、フランスと3カ国が関わります。

登場人物の構図も、メインの二人、フランス警察側、ウクライナ側、ジョンソン側、エココープ社側、さらに、友人のトランスポーターまで登場し、シリーズ随一の見取り図が必要になります。

前作までのシンプルさが恋しい・・・

そんな風に思った方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、相関図や地図をつかって、ストーリーを俯瞰的に把握してみましょう!一気に壁を乗り越えられるかもしれません。

また、冒頭の釣りのシーンの会話や、あちこちで出てくる料理の会話など、理解できなければ、ただ素通りして終わってしまうという、そんな見えない壁についてもご紹介しています。

再鑑賞の際のご参考にして頂ければ幸いです。

相関関係をフカン的に把握!

本作では、フランクと敵対する相手が複数あるため、混乱してしまう方もいるはずです。

こちらの図で、チェックしてみて下さい。

相関図
ウクライナの工作員(黒ベンツを使用)と、ジョンソンの手下達(黒ハマーを使用)を、しっかり分けて把握するところがポイントでしょうか。

タルコニ警部が最初に追うのは、まずトラックを襲撃したウクライナの工作員のほうで、あとのほうからジョンソンなります。

また、フランクとカーチェイスを演じるのは工作員のほうですね。

ルートと出来事を地図上で把握!

さて、ヨーロッパになじみのない人にとっては、向かっている場所やルート、その距離感など、いまいちイメージが沸かなかったと思います。

そこで、大まかですが、地図上にプロットしてみました。

地図

© OpenStreetMap contributors

MEMO
キエフについて
映画では、ジョンソンがオデッサ国際空港から入国し、そのあとすぐ双眼鏡で覗きながらレオニード環境大臣を脅迫しているようにも見えました。
しかし、現実の省庁はキエフにあると思いますので、ジョンソンも移動して、レオニード環境保護大臣の執務室を覗いていたものと解釈しています。
別のシーンでは、「署名はオデッサでする」とも言っていたので、多分合っていると思います

どうでしょうか、地図にすると、ちょっとすっきりしませんか?Googleマップでルート検索してみると、3,000kmを超えるドライブだったようです。

鹿児島から日本最北の稚内まで2,800km(東京経由)ですので、日本縦断に匹敵する長い道のりだったんですね。

さて、まずは、わかりやすい壁について考察してきました。ここからは、素通りしてしまいがちな、見えない壁を二つご紹介します。

冒頭のドタバタ劇の後の話・・・何が面白いの?

ボート上でフランクとタルコニ警部がドタバタ劇を演じた後、ディーン・マーティンとジェリー・ルイスの話題で盛り上がっていました。

これも知識がないと、オモシロさを見逃してしまうところです。

日本では「底抜けコンビ」として知られていたという「マーティン&ルイス」。幸い、Youtubeを検索してみると、どんなコンビだったか知ることができます。コンビを解消したあとは、それぞれ映画でも活躍しました。

そんな二人の作品が、実は本作と絡んでいてちょっと面白いんです。

たとえば、ジェリー・ルイスの「Hook, Line and Sinker」という映画があるのですが、このタイトル名は、「すっかり、まんまと、うのみ」などの意味の英語表現なんです。

「魚が餌と一緒に、釣り針、釣り糸、おもりまで、すっかり飲み込んでしまう」というところからきているらしいのですが、なるほど!と納得できますよね。

映画の内容も主人公が「すっかり」騙されるというシナリオで、釣りのシーンも出てくる作品です。

フランクに騙されて、奮闘したタルコニ警部のことのようですよね。

また、ディーン・マーティンのほうは、カーアクション映画『キャノンボール』の二作にも出ていますし、アクション映画『サイレンサー』シリーズが人気となった人物。本作のような列車上でのアクションシーンもみられます。

まるでフランク(ジェイソン・ステイサム)のようです。

フランクにすっかり騙されたタルコニ警部が、すっかり騙される主人公を演じたジェリー・ルイスを天才だと褒めれば、逆にフランクは、姓も同じで、アクション映画で人気を博したディーン・マーティンを天才だと褒めるところが、隠し味がきいていて面白いです。

フランクもまた偽の荷物にすっかり騙されながら進むこの作品、脚本コンビは、ディーン・マーティンとジェリー・ルイスの作品から、着想を釣り上げていたのかもしれません。

料理話が把握できれば、多分ずっと楽しい

全編を通じて、ヨーロッパ各国にちなんだ料理の話が交わされるのも、本作の特徴ですよね。二人の関係が親密になっていく課程を描くための、キーとなるアイデアだったのかもしれません。

そんな大事なネタなのに、私の経験では、まったくイメージがわいてこないんですよね。自分もそうだったという方も、多いのではないでしょうか?

ここで料理話を一気に把握!
・・・といきたいところですが、正直、私には本作の料理話を理解する自信がありません。

ということで、もしも、日本製作の作品だったら?

を考えてみたいと思います。

日本が舞台なら、ぐっとイメージが沸くはずです。
例えば、山形に向かっていたら・・・

ヴァレンティーナ「米沢牛・・・しゃぶしゃぶよりも、郷土料理のすき焼きがいい。新鮮な春菊は絶対必要」
フランク「お酒は?」
ヴァレンティーナ「・・・山形だから、リンゴっぽい香りがたのしめる『秀鳳』かな」
フランク「冷やで?」
ヴァレンティーナ「リンゴの香りよ、冷やに決まってるじゃん」

みたいな、会話だったらどうでしょうか?

ぐっと身近に感じられますし、つっこみも自在に出来そうですよね?

次の目的地では、どんな食材や料理がでてくるんだろ?という楽しみも、より広がったはずです。

・ ・ ・

さて、どうでしたでしょうか。

こうみてくると、日本人にはあまり身近でない地理や文化の知識が、必要となる映画なんですね。

他にも、フランクがルールを破る展開や、ジョンソンのリストバンドにある、ブレスレットの解除キーの存在に気づきにくいなど、いろいろ納得のいかない点もでてくる作品です。

でも、一度飲み込めてしまうと、フランクのアクションシーンやロマンスを純粋に楽しめている自分がいて、うれしくなること間違いなしです。

カット酔いにご注意を

あと、これ、地味に効いてきます。

前二作のルイ・レテリエ監督から、オリヴィエ・メガトン監督に変わりましたが、その辺の事情が、映像の見せ方に大きな変化をもたらしているんですね。

カーアクションなどは前作よりも、リアルな手法で撮影されているそうなんですが、カット編集を多用して魅せようとしているため、カットの切り替わりが非常に細かいです。

ただでさえ、シリーズ中、最も長い作品ですので、こういう編集に慣れていないと、途中で疲れるかもしれません。

ここが見どころ!

さて、この作品の壁が明らかになったところで、今度は、見どころをご紹介したいと思います!

コリー・ユン・アクションの復活

アクション
画像 EuropaCorpオフィシャルサイト より引用

本作最初のアクションシーン。
カメラワークも相まって、迫力がありました。

まずはアクションシーンから。

冒頭のほうでも書きましたが、本作は『トランスポーター』でルイ・レテリエ監督とコンビを組んでいた、コリー・ユンがアクションをまとめ上げています。

前作ほどバラエティに富んでませんが、一作目のような、切れのあるアクションシーンが復活していて、見応えがあります。

今回は鉄パイプも「ふにゃふにゃ」ではなく、よりリアルな格闘シーンになっていますよ。

その見どころを二つだけご紹介します!

[1]閃光を放つセクシーさ『シャツ・ストリップショー・アクション』
本作イチオシのアクションは、自動車整備工場での、ストリップショー・アクションです!

スーツのジャケットから始まり、ネクタイ、そして、シャツへと、一つ一つ脱ぎながら、それらを使ってモッブ達を伸していきます。

本当に鮮やかです。

また、本作では、劇後半のフランクのストリップショーも、非常に話題となりました。その原因となったのが、ヴァレンティーナが目撃してしまった、このストリップアクションです。

特にワイシャツを脱ぐカットは、閃光のようにセクシーさが炸裂します。

生意気な感じでニヤニヤしていたヴァレンティーナも、本気で見とれたのか、素の顔になってましたね。

[2]シリーズ最強の対戦相手はガチな格闘家のあの人!
同じく自動車整備工場での闘いになりますが、あのフランクの蹴りにも、微動だにしない巨人、その名も「ザ・ジャイアント」が登場します。

その演者はなんと、前年にK-1格闘技のヘビー級王者3連覇を成し遂げた、ガチの格闘家、セミー・シュルト(セーム・シュルト)です。

映画公開時は残念ながら王者から陥落してしまったタイミングでしたが、現役格闘家にフランクが投げ飛ばされる時の迫力は圧巻です!

アウディがやっと壊れた!最後の雄姿

前作から、アウディA8の頑丈さについては、ファンの間でも話題になっていました。

実は、現実に防弾仕様も存在していて「Security」というオプション名がつきます。ドイツのメルケル首相の公用車の中の一台でもあるようです。

すこし寄り道になりますが、それがどのようなものかご紹介します。

[1]映画よりも奇なり?現実のアウディA8の防弾オプションはこんな感じ
参考 A $685k Audi A8 that will blow its own doors offAutoblog(英語サイト)

名称
Audi A8 L W12 quattro Security

価格
5,000万円〜7,000万円台
※2020年12月現在のレートで換算しています。

2007年頃のオプションでは、基本約5,600万円、実際にドイツの政治家が購入したものは、約7,000万円との情報もあります。

防弾性能
ヨーロッパ標準の防弾性能を定めた規格「EN1063」では、最高クラスのB6+、B7に該当し、7.62×51mmNATO弾*1でも貫通できません。

*1 ざっくりとゴル○13が使うような弾丸をイメージして頂ければ良いかと思います

耐榴弾性能
その床面はなんと、手榴弾や即席爆発装置*2も無効化します。

*2 犯罪やテロで使われるような、あり合わせのもので作られた爆弾のことです

緊急脱出装置
通常の方法でドアが開かなくなった状態では、アウディが特許をもつ爆破システムによって、ドアを車体から切り離します。

その他の装備
● 客室内に排煙システムを装備
● ボディ下やエンジンルームなどには、ジェットスプレーによる消火装置を装備
● タイヤはランフラットタイヤ(空気圧が0になっても走行できるタイヤ)
● etc.

という、驚きの性能です。

フランクの愛車の頑強さも、あながち、荒唐無稽な描写ではないように思えてきますね。

しかし、そんなアウディA8が、ついに普通の車らしさを見せてくれるシーンがあります。

[2]アウディA8、目に焼き付くボロボロの姿
列車の屋根の上で加速していき、ジョンソンによって切り離された前方の列車に突っ込んでいくアウディの雄姿。

フランクの怒りのほどが伝わってくる、クライマックスにふさわしい迫力のシーンでした。

そして、フランクにギアをバックに入れられると、ジョンソンを引きずりながら線路に落ちていき、スクラップのような姿で、次第に列車から離れていきました。

このシーンがいいんです!

実際に観ると、超地味な見どころですが、ジョンソンとの闘いに決着をつけるため、そして、フランクが愛するヴァレンティーナを救うため、ボロボロになるまでフランクに尽くした、あのアウディの姿が忘れられません。

ジェイソン・ステイサム版『トランスポーター』のラストを飾るにふさわしい、アウディA8の最後ではないでしょうか。

関連作品

(1)『トランスポーター』
映画、前編、フランク役はジェイソン・ステイサム

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(2)『トランスポーター2』
映画、続編、フランク役はジェイソン・ステイサム

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アクションシーンはもちろん、BMW735iとアウディA8の比較や、タルコニ警部の料理話まで、映画の魅力をたっぷりお伝えします。

(3)『トランスポーター ザ・シリーズ』
TVドラマ、シーズン1、フランク役はクリス・ヴァンス

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シリーズのコンプリートには避けて通れないテレビ版の魅力について、各話の特徴なども踏まえてお伝えします。

(4)『トランスポーター ザ・シリーズ ニューミッション』
TVドラマ、シーズン2、フランク役はクリス・ヴァンス

(5)『トランスポーター イグニッション』
映画、リブート作品、フランク役はエド・スクライン

(6)『The Hireシリーズ』
BMWのプロモーションムービー、主演はクライヴ・オーウェン
※リュック・ベッソンがインスピレーションを得た作品

まとめ

ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。

では『トランスポーター3 アンリミテッド』とはどんな映画なのか、ざっと、おさらいしていきましょう。

吹替版と字幕版

● 字幕版はネタバレがあるので、謎の展開が台無しになってしまう

● 字幕版でヴァレンティーナに壁を感じた人には、吹替版の再鑑賞もおすすめ

制作関連

● 映画『フィフス・エレメント』でコンビを組んだリュック・ベッソンとロバート・マーク・ケイメンが、前作に引き続き脚本を担当

● 監督は前作のルイ・レテリエから、幻覚的な映像が得意なオリヴィエ・メガトンに交代

● 武術指導は1作目と同じコリー・ユンが担当

● ジャンルはカーアクションだが、格闘アクションも見応えあり

ストーリー

● 外せない爆弾を抱えてしまった主人公が、グローバル企業の陰謀のために運び屋をする物語

● 東西ヨーロッパを横断する、シリーズ随一のスケールで展開する

登場人物

● フランク役は前作と同じジェイソン・ステイサム

● ヒロインの不品行さは、脚本の仕掛けを成功させるために必要だった

● 前作の他の登場人物からは、ただ一人、タルコニ警部だけが登場する

カーアクションとアクション

● 主人公の愛車は、前作と同じアウディA8

● タルコニ警部の愛車は、1作目のサーブ・900から、ルノー・16に変化

● オーソドックスなスタイルながらも、コリー・ユン指導のアクションが復活

● 本作のイチオシは、スーツを脱ぎながら闘うストリップショー・アクション

ドラマ

● これまでにないほどの情緒感あふれるフランクが観られる作品

● 料理話がヒロインとフランクを次第に結びつけていく隠し味になっている

トリビア

● ナタリア・ルダコーワのYoutubeチャンネルで、撮影当時のインタビュー動画が観られる

● フランクの蹴りにビクともしなかった対戦相手は本物K-1ヘビー級王者、セミー・シュルト

● 現実の防弾仕様のアウディA8は、ドイツのメルケル首相の公用車の一つでもある

関連作品

● ジェイソン・ステイサムが4作目以降のオファーを断ったため続編はない

● 次作のトランスポーターはリブート作品で、フランク役はエド・スクライン

です。

 

劇中の登場人物たちのみならず、観客も字幕に騙されるという、まさに限界知らずのアンリミテッド要素。

日本語セリフとの付き合い方を考えさせられる、なかなかの問題作でした。

でも、私は好きな作品です。