あいらいく
家の片付けをしている際にいつ買ったのかわからないものが
出てきたという経験はありませんか？
ネットショッピングの台頭により、ますます“もの”が溢れるようになった現代。
今回ご紹介する『365日のシンプルライフ』は
そんな現代社会を象徴するかのような青年の「実験」を描いた物語です。
全ての“もの”を倉庫に預けることで、“もの”と幸せの関係を見つめ直す。
幸せとはどんな“もの”でできているのか？
周囲の人々から反対されながらも、
彼は「実験」を続けるうちに幸せとは何でできているのか理解していきます。
本作品を3回観た筆者の感想を交えながら
そんな彼の様子をご紹介していきたいと思います。
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目次
あらすじ
引用：映画『365日のシンプルライフ』オフィシャル
ヘルシンキに住む青年・ペトリは“もの”が大好き。
彼の部屋は“もの”に溢れ、一時は足の踏み場もないほど。
ふとしたきっかけで彼はある「実験」を始める。
それは
「全ての“もの”を倉庫に預け、1日に1個だけ“もの”を持ってくる生活を行う」
という「実験」。
この「実験」が幸せを見つけるヒントになることを信じ、
彼は夜の街を全裸で駆け抜ける。
幸せを見失った青年は「人生で大切な“もの”」を見つけることができるのか。
365日のドキュメンタリー風ムービー。
登場人物の紹介
ペトリ
本作品の主人公。
映像制作の現場で働く26歳の青年。
彼女にフラれたことをきっかけに「実験」を行うことを決意した。
悩みがある時は信頼する祖母に相談しに行く
ユホ
ペトリの弟。
兄の家へ食料を届けたり、自転車の開錠を手伝ったりするなど
兄弟仲はいい様子。
エーロ
ペトリの親友。
荷物の運搬を手伝うこともあるが「実験」に対しては批判的。
彼の実際的なコメントはペトリの“もの”選びにも影響を与えた。
ペテ
ペトリとは幼なじみ。
ユホやエーロとともに荷物の運搬を手伝ってくれる。
ペトリを食事に誘うためにわざわざ家へやってきてくれるなど友達想いな一面も。
イェッセ
ペトリの友人。
便利屋と称されるほど手先が器用。
そのためペトリから「実験」の手助けを依頼されることもある。
ペトリ(ユホ)の祖母
ペトリとユホの祖母。
「実験」に関する唯一の理解者。
ペトリの相談に優しく耳を傾け、アドバイスをくれる。
マイヤ
ペトリの新しい彼女。
映画館での出会いをきっかけにペトリと付き合うことになる。
サイクリングやキャンプを嗜むアウトドアな女性。
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“もの”と幸せについて考えた1年間
引用：映画『365日のシンプルライフ』オフィシャル・サイト
本作品は監督であり主演であるペトリが
実際に行った「実験」をもとに製作された映画です。
本節では彼が行った「実験」のルールを確認し、
そこでの葛藤や気づきについてご紹介していきたいと思います。
「実験」のルールについて
まずはペトリが行った「実験」のルールを確認しましょう。
「実験」のルールは以下の4つです。
Rule 1. 自分の持ちモノ全てを倉庫に預ける
Rule 2. 1日に1個だけ倉庫から持って来る
Rule 3. 1年間、続ける
Rule 4.1年間、何も買わない
引用：映画『365日のシンプルライフ』オフィシャル・サイト
物語冒頭、ペトリが全裸だった理由はこのルールにあります。
ナルホドくん
「実験」を全裸で始めるのは少しやりすぎな気がするのは僕だけ？
食事を取らなければ生きていくことができないので、
さすがにRule 4に食料は含まれていないようでした。
ペトリの葛藤
「実験」開始当初、ペトリは“もの”が増えていくことを楽しんでいました。
服を身につけることの心地よさに笑みをこぼし、
快適な睡眠を与えてくれるベッドにキスするほど喜びを感じています。
しかし、幸福な日々は長く続きません。
ペトリは次第に“もの”を持って来ることに抵抗を感じ始めます。
「生活に必要な“もの”は7個で十分」ということに気づいたからです。
最低限の“もの”が揃うまでは
必要な“もの”を持ってくれば良いという判断基準で選ぶことができました。
必要な“もの”が揃ってからはそうはいきません。
これ以降の“もの”は
生活をする上では不要な“もの”を意味するからです。
そもそも、この「実験」は“もの”に支配されそうになっている自分を
見つめ直すために始められています。
こういった事情からペトリは7個目以降の“もの”を持ってくることに
抵抗を感じていたのではないでしょうか。
「幸せになるための“もの”は見つけたいけれど、また“もの”に支配されるのはイヤ」
彼の中にはこのような相反する二つの思いがあったため、
“もの”を持ってくることに抵抗を感じるようになったのかもしれません。
ナルホドくん
結局“もの”とは何なのか？
物語終盤まで悩み続けていたペトリですが、祖母の言葉をきっかけに答えを得ます。
「人生はモノでできていない」
引用：映画『365日のシンプルライフ』
つまり“もの”によって幸せになることはできないということです。
それではどうすれば幸せになることができるのでしょうか。
そのヒントもまた“もの”にあると筆者は考えます。
ペトリの祖母が言うように、「モノはただの小道具」です。
彼女のこの言葉は
“もの”を介してどのような体験が得られるかが大切である。
ということを示しているように思えます。
ペトリはこのことに気付いたからこそ
恋人とのレジャーを楽しむために自転車やキャンプ用品を取り出し、
「祖母らしい“もの”」という理由でお菓子入れを譲り受けたのではないでしょうか。
“もの”との正しい付き合い方を知ったペトリ。
恋人のマイヤとともに彼が倉庫へ必要な“もの”を取りに行く場面で
物語は終わりを告げます。
感想
本作品を観た筆者は
「自分の“もの”との付き合い方は正しかった」
と思うことができました。
なぜなら、筆者は“もの”を介した体験に重きを置けていたからです。
筆者はこれまで本や映画に最も時間やお金を使ってきました。
ブランド品や車を持っている同年代の人々を見て、
自分の“もの”との付き合い方は間違っているのではないかと思ったこともあります。
しかし、そうではなく嗜好の問題だったのです。
そこにはブランド品や車を介した体験に幸せを感じるのか、
本や映画を介した体験に幸せに感じるかの違いしかありません。
「自分が幸せを感じることを知り、自らの意思で“もの”を選びとる。」
これこそ筆者が本作品によって得た気づきです。
手軽に“もの”を得ることができ、人々の反応を見ることができる現代。
現代は簡単に“もの”との付き合い方を見失ってしまう時代と言えるかもしれません。
そんな時にこそぜひ本作品をご覧になってください。
真剣に“もの”と向き合う主人公の様子を眺めるうちに
きっとあなたなりの“もの”との付き合い方が見えてくるはずです。
まとめ
本記事では主人公・ペトリの「実験」の様子と気づきについて見てきました。
彼は「実験」を通じて“もの”との付き合い方を学びます。
結局のところ、“もの”との付き合い方は人それぞれです。
あくまでも重要なのは“もの”によって得られる体験にあります。
この点に関しては個人の嗜好の問題です。
自分のことをきちんと理解するしかありません。
「モノはただの小道具」
付き合い方は人それぞれですが上記のことは間違いないはずです。
ペトリの祖母の言葉を参考に
一度“もの”との付き合い方を考えてはいかがでしょうか。
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