【ネタバレ】映画「スワロウテイル」あらすじとネタバレ・結末・感想

https://eiga.com/movie/17126/gallery/より引用

 

むかしむかし円が世界で一番強かった頃、その街は移民たちであふれていた。
円を目当てに、円を掘りあてに来る街。そんな街を、移民たちはこう呼んだ。
円都(イェンタウン)。

でも日本人たちはこの名前を忌み嫌い、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを
円盗(イェンタウン)と呼んで蔑んだ。
そんな円都(イェンタウン)に棲む、円盗(イェンタウン)たちの物語。

この作品は1996年9月14日に公開された岩井俊二監督の日本映画です。
映画発表当時は、若者のファッションや音楽シーンに多大なる影響を与え、作中に登場するYEN TOWN BANDが、実際にシングル「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」を発売するとオリコン・チャートで1位を記録、約85万枚を売り上げる大ヒットとなりました。

丁寧に描かれた人物や世界観は、20年以上たった今尚、色褪せない作品です。

 

 

 

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あらすじ

・名前のない少女

 

https://cinemore.jp/より引用

 

中国系イェンタウンで名前のない少女。彼女の母は娼婦をしていましたが、麻薬の密売に手をだし、上海系マフィアの手にかかり死んでしまいます。
独りぼっちになった彼女は少女売春の店に売り飛ばされそうなところを娼婦のグリコに助けられました。

胸にアゲハ蝶のタトゥーを入れ、歌を歌うことが好きなグリコは2人の兄と一緒に円を求めて日本に来ました。しかし兄の1人は盗みの最中に交通事故で死んでしまい、もう一人の兄とも、その時の騒動で生き別れていたのです。

そんなグリコは名前のない少女に、自分のタトゥーと同じアゲハと名付け一緒に暮らし始めます。

http://shotguuun.hatenablog.com/より引用

 

・あおぞら

 

グリコのイェンタウン仲間のフェイホンとランたちは「あおぞら」という何でも屋を営んでいました。円を稼ぐためなら多少悪質でも構わないとばかりに、わざと壊した車の修理をしたり、鉄くず拾いをしたり。円のためにまさしく何でもするのです。

アゲハもそこでアルバイトを始めます。昼間の鉄くず拾いや、夜になれば飲み屋を手伝い、少しずつみんなと打ち解けていきました。

そんな暮らしにも慣れた頃、グリコの家に客として来ていた暴力団葛飾組の須藤という男が、クローゼットに身をひそめていたアゲハに気づいてしまいます。
アゲハを犯そうと襲い掛かる須藤。

間一髪のところで隣の部屋に住んでいた元ボクサーのアーロウに助けられますが、須藤はアーロウが殴った勢いで窓から転落し、更にトラックに轢かれて死んでしまいます。

 

・ある男の死とカセットテープ

※以下はネタバレ記事です。ネタバレが嫌な方は見ないで下さい。

 

自分たちが須藤を殺してしまったと慌てたグリコたちは、フェイホンやランを連れ須藤の死体を埋めに墓地に行きます。そして須藤を埋める直前に、ランが須藤の腹から何か飛び出していることに気づきます。

ランが死体の腹に手を入れ取り出してみると、フランクシナトラのマイウェイが録音された普通のカセットテープでした。
ここで、死体の腹に躊躇せず手を突っ込むランって何者なんだと疑問が沸きます。
そして普通のカセットテープに見えたそれは、とんでもない代物だったのです。

一方、上海マフィアのトップであるリョウ・リャンキが、カセットテープを探すため須藤を追い始めます。そのことをランは相棒のシェンメイから聞き、カセットテープの秘密に気づきます。ランはとある暗殺組織の一員でした。須藤が持っていたカセットテープには、リョウ・リャンキが偽造した一万円札の磁気データが隠されていたのです。

 

・さよなら あおぞら

 

https://drama-movie-stage.blog.jp/より引用

 

須藤の事件があった日から、恐怖と不安から逃れるようにイェンタウンたちは、あおぞらで身を寄せるように生活をしていました。

ある日、ランがカセットテープに録音されていたマイウェイは一万円札の磁気データであることをみんな明かし、その磁気データをプリントした千円札を両替機に通して一万円に変える方法を披露します。

それを見たグリコたちは一斉にこれで大金持ち、ついに自分たちは円を掘りあてたと大喜びするのですが、ランは単なるパーティーの手品だ、いずれニセ札偽造で逮捕されると冷めた様子で吐き捨てます。

しかし他のメンバーはこのニセ札で、どんどん円を稼いでいくのです。
そしてランを残し、他のメンバーはあおぞらを去ることになりました。
時を同じくして、最近街に出回りだした一見出来の悪いニセ札について日本の警察も捜査を始めます。

アーロウたちは故郷へ帰り、フェイホンとグリコとアゲハはダウンタウンへ引っ越します。そしてフェイホンは歌が好きなグリコのためにYEN TOWN CLUBというライブハウスを立ち上げます。

 

・娼婦グリコから歌手グリコへ

 

https://hanshinmai.exblog.jp/3431994/より引用

 

メンバーを集め、バンドを結成しグリコが歌う。
それが話題となりYEN TOWN CLUBも好調な滑り出しをみせます。

ライブが話題となりレコード会社の目に留まったグリコは、日本人歌手としてデビューしないかと誘いを受けます。グリコが幸せになれるのならとフェイホンが後押ししますが、グリコはみんなと離れてしまうため気が進まない様子。

そんなグリコの様子にフェイホンは気づかず、デビューの話は進んでいきます。
フェイホンにとってグリコの歌は特別なのです。当然グリコは歌が好きで歌手として成功したいんだ、グリコの夢なんだと疑いません。しかしそれはフェイホン自身の希望であることにまだ彼は気づかないのです。

さらに、グリコが娼婦であった過去やイエンタウンであることが公になるのを恐れたレコード会社は、イェンタウンと縁を切らせるためフェイホンを不法入国者として通報し、彼は逮捕されてしまいます。

捕まったフェイホンのために、差し入れを持って何度も面会に行くアゲハ。
日々の出来事や、グリコのCDが発売と同時に大ヒットしたことなど、中国語を習いながら話す。そんな時間を重ねていくうちに、アゲハはフェイホンに恋心を抱きます。

しかし、アゲハの気持ちに気づかないフェイホンは純粋にグリコの成功を歓びます。そしてフェイホンから強制送還が決まったと告げられるアゲハ。グリコの成功のためにと、彼女を想い潔く国に返る選択をするフェイホンを見て何も言えなくなるのでした。

 

・アゲハとリャンキ

 

アゲハがYEN TOWN CLUBに帰ると、いいものを拾ったと仲間の少年がアゲハを呼びに来ます。いつか街の不良少年たちに絡まれたアゲハでしたが、一発のパンチで不良グループのリーダーをのしてから、ボスと呼ばれ慕われていました。

後をついていくと、そこには大量のドラッグがありました。嫌がる子に興味本位でドラッグを注射しようとする仲間のホァンを制止し、アゲハは自分にドラッグを注射します。その直後、昏睡してしまうのです。

アゲハを助けようと子供たちは、通り掛かった車に必死で助けを求めます。それは偶然にもリャンキが乗った車でした。ドラッグで昏睡したアゲハを見たリャンキは、急いで阿片街の病院へアゲハを運びます。

意識が朦朧としているアゲハが、病院の壁に貼ってあるポスターを見てグリコとつぶやきます。ドクターや部下に流行りのバンドのボーカルだと教えられ、ポスターに目をやるリャンキ。すると懐かしそうにかつての自分について語りだしました。

自分が始めて日本に来たときは、弟と妹の3人だった。日本語など全く分からなかったが、3人で日本人の名前を付けた。自分はトヨタ・ヤオハン。弟はヒタチ・ヤオハン。そして妹はグリコと。そうリョウ・リャンキはグリコの兄だったのです。

 

・ニセ札で作り上げたニセモノの幸せ

 

https://mudage888.biz/post-908/より引用

 

強制送還を言い渡されたフェイホンは、国に帰るための渡航費用を払えと言われます。持っていないと答えると、家から持って来いと釈放され強制送還を免れます。

YEN TOWN CLUBに戻ったフェイホンは、レコード会社からグリコとの手切れ金を受け取ります。そこでもまだフェイホンは、歌手として成功することがグリコの幸せだと信じて疑いません。

自分たちとの繋がりが、グリコの成功の妨げにならないよう金を受け取るフェイホンでしたが、それを見ていたバンドのメンバーがグリコを売ったのかと激怒。フェイホンをボコボコに殴って去ってしまいます。

グリコもいない。バンドもない。YEN TOWN CLUBは閉店を余儀なくされるのでした。

ニセ札で作り上げたニセモノの幸せは、いとも簡単に崩れてしまいます。
みんながバラバラになっていく様をどうすることも出来ない。そんなアゲハはホァンを誘い阿片街へ行きます。

そこはイエンタウンの中でもさらに貧困したスラム以下の場所で、日本の警察もビビッて入れないとホァンが言うように麻薬の密売人や薬物中毒者などがごろごろいるような危険な場所でした。

入り組んだ建物を恐る恐る進み、2人が辿りついたのはリャンキに連れられてきた病院でした。そこでアゲハはドクターにグリコと同じタトゥーを入れてほしいと頼みます。一度は断るドクターの言葉にも、アゲハの決意は変わりません。そんなアゲハの強い気持ちを汲み取るようにドクターはタトゥーを入れることを承諾します。

アゲハはタトゥーを入れながらドクターと初めて見た蝶々の記憶について話します。記憶を辿っていくうちに、自分自身と儚い蝶、そして自分に付けられたアゲハという名前がリンクしていきます。

やがてタトゥーが完成したころアゲハは強く決心します。
それはフェイホンのために、バラバラになってしまったみんなのために、あの一万円の磁気データを使ってYEN TOWN CLUBを買い戻すことでした。

 

・グリコの秘密

 

一方、須藤が死んだことを目撃していたグリコの娼婦時代の仲間であるレイコは、成功し今や有名人となったグリコの情報を記者の鈴木野とリョウ・リャンキの手下であるマオフウたちに売ります。

両者は、須藤を殺しカセットテープの行方を知るとされているグリコを追うこととなるのです。

グリコの大スキャンダルが欲しい鈴木野はグリコを脅してひとり呼び出し、自ら運転する車中で独占インタビューと言わんばかりに次々とグリコに質問を投げかけます。

歌いたくて歌っているんじゃない。歌なんか大っ嫌い。そう答えるグリコはみんなのもとに戻りたいんだと切なくなります。そんなグリコの想いを知らない鈴木野は、歌が嫌いな歌手って面白いわねと。

そこへ血眼になってカセットテープを探しているマオフウたちが襲い掛かります。
しかし一瞬のスキをついて逃げ出すグリコと鈴木野。
助けを求めグリコはフェイホンに電話をかけますが、フェイホンのもとにもリョウ・リャンキの手下たちがやってきます。

グリコが、みんなを捨てて歌手になったことを許してほしいと話すのを聞いて、フェイホンは自分の想いが空回りしていたことに気づきます。そしてグリコを助ける決意をし、あおぞらで待っていろと言い電話を切ります。

 

・逃避行と対決

 

リョウ・リャンキの手下に拉致されたフェイホンは、あおぞらに向かうため必死で逃げ出しますが、逃げる途中で例のニセ札を両替しようとしているところを警察に目撃され逮捕されてしまうのでした。

一連のニセ札偽造の主犯がリョウ・リャンキであると自供を取りたい警察は、執拗にフェイホンに迫ります。しかし暴力的な取り調べにも関わらずフェイホンの口からその名が出ることはありませんでした。
激しい拷問のような取り調べ。その結果フェイホンは留置所で死んでしまいます。

フェイホンが激しい尋問を受けていた頃、マオフウたちに追われあおぞらにやって来たグリコと鈴木野。ランにカセットテープを渡してほしいと懇願しますが、アゲハが持って行ったと言いマオフウたちに動じる様子もありません。

さらに銃を持ち出し、マオフウたちの手下を2人も狙撃します。焦るグリコと鈴木野でしたが、ランとシェンメイがマオフウたちを一掃してしまうのでした。

 

・お金では手に入らないもの

 

仲間の少年たちに協力を仰ぎ、ニセ札で大金を手にしたアゲハは不動産屋を訪れYEN TOWN CLUBを買い戻したいと申し出ます。一瞬大金に目が眩んだ不動産屋はアゲハを殺そうとしますが、思いとどまりクラブは売れないと突き放します。

どうして売ってくれないの、お金ならあるじゃないと激高するアゲハに、不動産屋は金を持ってさっさと帰るんだと叱りつけます。お金では手に入らないものがあると教えるのです。

安置所でフェイホンの遺体を前に警察官から彼の国籍を尋ねられたアゲハ。
上海か北京かと答えを急ぐように問いかける警察官に対しアゲハはイェンタウンと答えるのでした。

あおぞらで葬儀を挙げるアゲハたち。
泣き崩れるグリコを横に、アゲハも静かに深く悲しむのです。そして悲しみのやり場がないアゲハは、YEN TOWN CLUBを取り戻そうとし集めた大金をフェイホンの遺体とともに燃やします。

 

・マイウェイ

 

https://mudage888.biz/post-908/より引用

 

フェイホンの葬儀から時間が経ち生活も落ち着いて来た頃、ランたちの暗殺組織は、リャンキを狙撃すべく待ち構えます。ちょうどその頃、リャンキはいつかの少女と再開します。

少女は助けてくれたお礼として、一本のカセットテープをリャンキに手渡します。それはずっとリャンキが探し求めていたマイウェイでした。驚いたリャンキに対して、少女は「娼婦のグリコにアゲハという名前をつけてもらった」と語り去っていきます。

そんな少女の背中を見送り、リャンキ自信もその場を立ち去るのでした。

 

まとめ

 

作品では様々な国のイェンタウンが登場し、日本語や英語、中国語など複数の言語が飛び交う独特な世界観が描かれています。

実在しない世界であることは頭の片隅でわかっているけれど、現実にあった世界じゃないかと錯覚するような感覚。

すべては丁寧に作りこまれた世界観や人物描写の力が大きいと感じます。

演じる俳優陣も、主演の三上博史、Chara、伊藤歩を始めとし、江口洋介、渡部篤郎、山口智子、桃井かおり、大塚寧々、ミッキー・カーチスと今では実現できないほど豪華です。
日本アカデミー賞等の映画賞の受賞も頷けます。

故郷があるイェンタウンたちとは違い、イェンタウンの二世であるアゲハという少女は目的があって日本に来たわけではありません。
何も持たない、名前のない少女だったアゲハが、グリコたちと暮らす中で自らを確立していく様は正に芋虫が蝶々となって羽ばたいていくようです。

またそれぞれの人物にも物語があり、人と人との心のやり取りがリアルに描かれています。
そのため、いろいろな登場人物の視点で何度でも楽しめる作品です。

とても魅力的な作品ですが、R指定と殺人シーンが含まれるためテレビでの放映はされない可能性がかなり高いです。

配信サイトなど利用しても見る価値のある作品だと自信を持ってお勧めできます。