
http://www.foxjapan.com/the-devil-wears-prada より引用
プラダを着た悪魔は、2006年に公開された映画で「The Devil Wears Prada」というベストセラー小説を元に映画化された作品です。
私がこの映画の面白いと思うところは、2つの立場や視点に立って観ることが出来るところ。だと思います。
①右も左も分からないアパレル業界で働く新人女性社員の成長を描いたサクセスストーリー。
②仕事において大切なことは何か。
それぞれの立場や視点からストーリーを観ることで学べることがたくさんあります。
私は外資系アパレルブランドで販売員として働いています。私のようにアパレル業界に従事している方やお洋服が好きという方はもう既にご覧になっているのではないでしょうか?アパレル業界に従事されている方は、必ずと言っても過言ではないほどオススメされる作品だと思います。
アパレル業界に精通していないと観ていても楽しくないのでは?ということは絶対にありません。なぜなら、仕事との向き合いかたを学べるからです。特に仕事をバリバリこなすキャリアウーマンは共感の嵐であること間違いなし。
仕事とプライベートの両立の難しさやもどかしさ、それぞれが仕事にかける想いや向き合い方など参考になることがたくさんあると思います。
是非ともこの作品を通して、あなたの幸せとは何なのか考えてみてください。
“以下はネタバレ記事です。嫌な方は見ないようにしてください。“
目次
1.悪魔との出会い
ノースウエスタン大学を卒業し、ニューヨークでジャーナリストとして働くことが夢であるアンディ。いくつかの企業に面接の応募をし、誰もが憧れるミランダ率いるランウェイ誌で面接をすることになる。
ランウェイ誌へ面接に行くアンディ。ファッション業界では誰もが知ってるミランダを知らないアンディに第1アシスタントのエミリーは失望する。そしてアンディは今までに沢山のアシスタントがミランダによってクビを切られたことを知る。
ミランダが予定より早く出社することになり、慌ただしくなる現場。何事かと思いながら辺りを見渡すアンディ。そこへミランダが出社し面接を行うことに。
アンディはジャーナリストになるために働くことが夢だと熱弁する。ミランダは、ランウェイ誌を崇拝するファッションに熱狂的な痩せた女性ではなく、明らかにファッションに無頓着で普通体型の安い服を着たアンディをただただ見つめた。
自分が場違いだと察したアンディは、洋服に無知でもアシスタントとしては有能だと主張するものの、そこへミランダの右腕として働くナイジェルが仕事の話をしに来たことで、面接は終わってしまう。
蔑ろにされたアンディは、呆れた様子でランウェイ誌を後にするが採用されたのである。友人と夢の為にランウェイ誌で働くことになったことを祝うのであった。
2.働き始めたアンディ
早朝6時半、まだ寝ているアンディの携帯電話が鳴る。早く出社する様にエミリーから電話があり、出社途中にミランダために熱いコーヒーを買ってくるようにと指示される。
急いで出社したアンディ。既に社員が揃っていて仕事が始まっていた。電話を取る仕事を任されたが、ドルチェ アンド ガッバーナのガッバーナの綴りが分からず電話を切られてしまう。
ナイジェルは、アンディの装いを見てヒールを用意する。しかしファッション業界で長く働く気がないアンディは断るのであった。
ラン・スルーの現場を見学しているアンディ。ドレスに合わせる用の2種類のブルーのベルトに悩む社員たち。似ているベルト2種類に対して、どれもタイプが違うので選べないという会話にアンディは思わずクスッと失笑する。
ミランダは驚いた様子で「何がおかしいの」とアンディに問う。アンディは「私には同じベルトにしかみえない、こんなもの初めてで」と答える。
ブルーのセーターを着ているアンディに「あなたは知らないでしょうけど、その色はブルーじゃない、セルリアンよ。」と言う。ファッションに無関係だと思って選んだセーターも私たちが選んだものだと続けて言ったのだった。
自宅に帰り恋人のネイトにミランダの愚痴をこぼす。ミランダに従い、働く従業員達のことも大理石の上をコツコツとピンヒールで動き回るとバカにした。しかし、次の仕事のため1年の辛抱だと自分に言い聞かせるのであった。
週末、ミランダはマイアミに出張へ。しかし、ハリケーンで飛行機がキャンセルになってしまう。翌日の子供の演奏会へ行くために飛行機を手配しろと無理を言うのであった。
飛行機の手配ができなかったアンディにミランダは、あなたには失望したと言う。言い訳さえも聞いてくれないことにアンディは涙するのであった。
3.変わるアンディ
アンディはナイジェルに頑張っているのに認めて貰えないと相談する。しかしナイジェルに「君は全然頑張っていない、嫌なら辞めろ。変わりなんてすぐに見つかる」と言われるのであった。
アンディはまず自分が変わらないといけないと知り、ナイジェルにコーディネートを頼む。すっかり心を入れ替えファッションと向き合うようになり、これまでとは違い有能な仕事をするアンディにミランダは微かに笑みを溢した。
アンディはミランダの変わりにドレスのデザインと春夏コレクションの新作の資料を受け取りに、とあるパーティ会場にいく。
そこでクリスチャン・トンプソンと出会う。トンプソンはアンディが尊敬してるライターであり、学生時代にアンディは彼のエッセー集を大学新聞で紹介していたのだ。
仕事を問われたアンディは、ニューヨーカーやヴァニティフェアで執筆し働くことが夢だと語る。それを聞いたトンプソンは、アンディが過去に書いた記事を見てくれることになった。
少しずつ仕事ぶりを認められたアンディは初めて名前を呼んでもらえ、今まで任せて貰えなかった自宅に本を届ける仕事を任せて貰えるようになる。本を自宅へ届けに行ったアンディだが、自宅で旦那と口論しているミランダを見てしまった。
その事実を知ったエミリーは憤怒する。アンディがミスをすればパリ行きが無くなるのでエミリーはもまた必死なのであった。パリへ行き豪華なドレスを着て有名デザイナーと会うのが彼女の夢で、全てだった。
ミランダは双子の娘の為に発売前のハリーポッターの原稿を手に入れるようにという難題を押し付ける。あまりにも無謀な難題にアンディはもう辞めてやるとネイトに愚痴を溢すのだが、トンプソンのおかげで原稿を手に入れることができた。
発売前の原稿にカバーをかけ、娘に届け予備の原稿をミランダに渡すことができたアンディ。彼女の仕事ぶりをミランダも認めざるを得なかった。
エミリーが風邪を引いてしまい、ミランダの主催のパーティに参加することになるアンディ。招待したお客様のリストを覚えるのが仕事で、ミランダがゲストを忘れていたらこっそり教えるのが役目であった。
その日はネイトの誕生日で友人と誕生祝いのパーティーをする予定だったが、参加することが出来なくなってしまう。
いつものようにミランダの自宅へ本を届けに行くアンディ。ミランダに一緒にパリに来ることを命令される。エミリーがパリに行くことを夢に見ていること知っているアンディは怖気付く。
翌朝ミランダはエミリーにパリ行くのは自分だと直接言うように言われ、エミリーに電話をかける。外出中のエミリーに話をしようとしたその時、エミリーは車とぶつかり入院することになった。
入院先の病院で、事実を話すとエミリーは憤怒した。ファッションに興味がなく、ジャーナリスト志望だったくせにと罵られ、ジミー・チュウを履いた日に魂を売ったのねと皮肉を言われるアンディだった。
アンディの仕事が軌道に乗り始める一方で、プライベートが徐々にダメになっていく。仲の良い友人にブランドもので着飾る子じゃなかったと言われてしまい、しまいにはネイトとも別ることになる。
4.パリへの出張
出張先のパリでコレクションを見学した後に、ミランダと翌日の昼食会のスケジュールを調整するアンディ。そこでミランダが離婚をする事を知るのであった。
ミランダはマスコミへの露出を最小限にするように指示する。仕事に取り憑かれた猛女、雪の女王また夫を追い出す、などとゴシップ誌に書かれると涙を溜め胸の内を明かすミランダ。
ミランダを心配し、昼食会をキャンセルするかと問うアンディだがミランダは拒否する。私にできることは無いかと問うアンディに、それは仕事だと答えるミランダであった。
自分の部屋に戻ったアンディの元に翌日のミランダのスケジュールを聞きにナイジェルが訪れる。ミランダの推薦で、ホルト・ブランドの新規事業の代表になる報告を受け、長年の夢が叶ったナイジェルを祝った。
その後、アンディはトンプソンとディナーをする。そして夜を共にするのだが、ミランダをアメリカ版ランウェイの編集長から解任し、フランス版ランウェイの編集長を新たにアメリカ版ランウェイの編集長にするという動きがある事を知る。
5.アンディの決断
ミランダに編集長の座が危ないと必死に訴えようとするアンディだが、ミランダは聞く耳を持たなかった。そして、伝えることが出来ぬままホルト・ブランドの祝賀会パーティが始まってしまう。
ミランダはホルト・ブランドの代表にナイジェルを推薦していたのだが、フランス版ランウェイ編集長を選出したのであった。
祝賀会を終え、車内でアンディはミランダが裏で自分を解任しようとしてる者が動いていることを察知していたことを知る。
この仕事は私以外こなせる者はいないと雑誌を守る為にフランス版ランウェイ編集長をホルト・ブランドの代表に選出したとミランダは言う。
ミランダは「あなたは私に似ているわ。人が何を求め必要としているかを超え、自分のために決断できる。」とアンディに言う。アンディは「私は違います。私はナイジェルにあんな仕打ちは出来ない。」と否定するのであった。
アンディはあなたのような生き方が嫌だったらとミランダに問う。「バカ言わないで。誰もが望んでるわ、誰もが憧れているの。」と言い残しミランダはサングラスをかけ微笑む。そして報道陣の元へ向かい歩き出した。
ミランダの後ろ姿を見つめていたアンディは、その場を後にする。ミランダから着信がなる携帯を池に投げ捨て元恋人のネイトに会い行き、よりを戻すことになる。
アンディはその足でミラー新聞社へ面接に行く。ミラー新聞社はアンディの素性を問うためにランウェイ社にコンタクトを取っていた。そしてミランダ本人からファックスが届いていた。
その内容は「今までのアシスタントで最も期待を裏切ってくれた。彼女を雇わないなら大バカ者だ。」であった。アンディは採用されることになった。
面接の帰り、エミリーにパリで着た大量の服を貰ってくれないかと頼みの電話を入れた。そして道中でミランダを発見する。ミランダとアンディは目が合う。そのまま車に乗り込むミランダ。車の窓から街中を歩くアンディを見て微笑むのであった。
まとめと感想
ラグジュアリーブランドの華やかなファッションや世界観も去ることながら、個々の成長や仕事への向かい方、幸せの価値観の違いなど、とても内容の濃い作品でした。
夢であるジャーナリストになるために、ランウェイに入社したアンディ。特にファッションに興味がある訳ではなく、無頓着だった彼女が変化していく姿はいつ見てもとても感化されます。
それは、お洒落になりたい。とかそういうものではなく仕事を本気でやろうと心に決めたからだと思います。作品の中のジミー・チュウを履いた日に魂を売った。のところですね。
ミランダの無理難題な要求に苦悩しながらも、徐々にミランダの先を読み、行動できるようになっていくアンディ。仕事で大切なことは常に相手の先を読むことだと改めて学ばせて貰いました。それはアパレル業界のみならず、すべての業界でも同じ事だと思います。
仕事に従事すればするほど、友人が離れ、恋人までもが離れていき、プライベートに影響が出てくるところも凄くリアリティがありました。
最終的にミランダの生き方を選ばず、自分の幸せを見つけ自分の道を進んだアンディ。どの道を選ぶのが正解なんて無いのが人生です。自分らしく、自分の幸せを追求する最後の彼女の姿は本当に華やかで美しかったと私は思います。
完璧でとても厳しく、仕事に生きるミランダでしたが彼女もまた様々な選択を迫られてきた人なんだなと思いました。
ミランダに「あなたは私に似ている」と言わせるまでに成長したアンディ。アンディの仕事ぶりを認め、最後の方では弱音を吐くほど彼女を信頼していたミランダもすごく印象的でした。
あらゆる世代の働く人たちの背中を押してくれるようなとても力強く、そして優しい作品だと私は思っています。
解説と考察
ナイジェルへの裏切り
ミランダが育てたデザイナーが新しく事業をスタートさせるにあたって、事業の代表にナイジェルを推薦していたミランダでしたが、自分の地位を守る為にフランス版のランウェイ編集長を推薦したのです。
アメリカ版ランウェイ誌の編集長を務めているミランダの地位をフランス版編集長に務めさせるという計画があるのをミランダはすでに察知していました。
会長と直接話し合いの場を設けたミランダ。彼女が育て上げたファッション関係に従事する人達をリストアップし、ミランダがやめると同時に、皆もランウェイ誌から手を引くことを約束していた旨を会長に伝えていた。それではまずいと、会長はフランス版編集長の推薦を受けざるを得なかった。
ミランダは私が身を引けばランウェイ誌は衰退してしまう、この仕事ができるの私だけだとアンディに言っていました。
アンディがランウェイ社辞めた理由
アンディは、最終的にランウェイ社を辞めることを決意しました。ミランダと共に働いてきたナイジェルを何の躊躇もなく裏切ってしまうところに共感が出来なかったのだと私は考察しています。
ミランダの「バカ言わないで。誰もが望んでいることよ、誰もが憧れいるの」という言葉に、アンディは自分はそれを求めていないのだと改めて気付かされたんじゃないでしょうか。
ミランダの最後の笑み
パーティ帰りの車中。ミランダに「あなたは私に似ている。人が何を求め必要としているかを超え、自分のために決断できる。」と言われたアンディ。そのセリフが全てだと私は思います。アンディもまた、ミランダとの関係に終止符を打ち、自らの人生の幸せに向うことを決意しました。
街中で、自分の道を選んだアンディを見つけたミランダ。彼女もまた自分のために行動ができる。つまり、私と似ているということを改めて感じ微笑んだのだと私は思っております。
主な登場人物紹介
アンドレア・サックス
ジャーナリストを目指し、ランウェイで働くことになる。ファッションに無頓着でアパレル業界を小馬鹿にしていたものの、ファッション誌に携わる者として仕事に向き合い有能っぷりを発揮する。最後に自分の幸せのために行動できて良かったと思います。
ミランダ・プリーストリー
アメリカ版ランウェイの編集長を務め、何があっても威厳と品格を保ち、犠牲を惜しまない。仕事に取り組む姿勢がとてもかっこよく、個人的には1番好きなキャラクターでした。誰もが私に憧れているという自信がすごくかっこよかったです。。
エミリー
第2アシスタントから第1アシスタントになり、パリで豪華なオートクチュールを着るためにダイエットするほど、パリ行きを夢に見ている。少し頑固(現代風に言うとツンデレ)な一面もあり、可愛らしかった。
ナイジェル
ミランダの右腕として働く男性。ミランダのことをよく知り、ミランダに裏切られてもいつか報われると期待し彼女と共に働く。アンディにアドバイスをしたりなど厳しいけど、優しさがある素敵な人でした。
プラダを着た悪魔をもっと掘り下げたい方へ
「ファッションが教えてくれること」というドキュメンタリー映画があります。文今回紹介したプラダを着た悪魔のミランダ・プリーストリーのモデルとなった、アナ・ウィンターのドキュメンタリー映画です。
彼女がどのような人間なのかを観ることで、プラダを着た悪魔をより深く理解して頂けると思います。
興味のある方はぜひ観てみてください。